ハンニバル スキピオの危険をはっきりと認識する
5~6巻で展開されたカンナエの戦いで(『アド・アストラ』5巻・6巻について)、ハンニバルに歴史的惨敗を喫したローマ元老院は、兵員不足を補うために、それまで兵士にしていなかった者たちも徴兵して対抗していきます。
そんなローマの中で、ついにハンニバルに門戸を開く都市(同盟都市カプア)が現れ、話が展開していきます。
展開と感想
カンパニア地方の内陸の大都市カプアは開城してハンニバルを受け入れ、周辺の小都市も開城していきますが、同地方のネアポリス(現、ナポリ)は抵抗し、そこをハンニバル軍は攻撃をしますが、野戦では強いハンニバル軍ですが、攻城兵器も足りなく、落とせずに苦戦します。
そこで内陸部の都市ノラ方面に、”ローマの剣”の猛将マルケルスがローマ軍を率いて近づいてきたので、ハンニバル軍もそちらに向かい、ノラにて両軍が対決します。
ハンニバルとしては、猛将マルケルスは戦いやすいと考えていましたが、そのマルケルス軍にはスキピオがおり、スキピオがハンニバルにやられた策を逆にやり返す形での策を提案し、みごとに勝利し、ここでハンニバルは、はっきりと危険な存在としてのスキピオの知を意識します。
攻城戦がうまくいかず、またノラでの敗戦で、ハンニバル軍の中でマハルバルらがハンニバルの方針により一層の不満を募らせます。
ハンニバルは、兵数の足りないこともあり、アフリカのカルタゴ本国に弟のマゴをローマでの戦果報告と増援を求めて派遣しますが、マゴはカルタゴ本国での指示で、ローマ軍に攻め込まれて苦戦しているイベリアのハンニバルのもう一人の弟のところに送り込まれることになりました。
そんな折に、マケドニア王が対ローマの同盟締結を持ち掛けてきます。そこでハンニバルはそれに乗り、交渉役を送りますが、結局それはローマ艦隊にとらえられてしまい、カンナエ以降、ハンニバルの方針に不満を膨らませ続けたマハルバルが爆発し、自分がローマの倒し方を教えてやるということで、次の戦いはマハルバルが指揮を執ることになり、7巻が終わります。
ハンニバルから学び続け、ハンニバルの戦術を吸収し、それを生かそうとするスキピオ、ようやくそれを軍で指揮官に提案して生かせる状況にまでなったスキピオ、そのスキピオの知をついにハンニバルは厄介な敵ではないかと認識しました。ハンニバルVSスキピオに向かってようやくスキピオが追いつき始めてきた7巻でした。
アド・アストラ 1~6巻まで
『アド・アストラ』1巻は、こちら
『アド・アストラ』2巻は、こちら
『アド・アストラ』3巻は、こちら
『アド・アストラ』4巻は、こちら
『アド・アストラ』5巻は、こちら
『アド・アストラ』6巻は、こちら