もうすぐ家康!『どうする家康』界隈の史的世界 | 天地温古堂商店

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来年の大河ドラマ『どうする家康』の放映開始(2023年1月8日)が近づいている。


実に家康を主人公にする大河は40年ぶり。
私にとっては、40年前の『徳川家康』があまりにも鮮烈だ。


いろいろな情報が解禁されるなかで、番組チーフプロデューサーの磯智明氏への取材記事があった。
40年ぶりという観点で、稿を進めたい。

また、末尾に、過去に投稿した徳川家康界隈の史的世界を併載。

ご笑覧のほど。

 

大河ドラマ『どうする家康』徳川家康役の松本潤(C)NHK マイナビニュースより

磯氏は、主演の松本潤へのインタビューのなかで、松本自身と家康の機縁についてこう言っている。

松本さんご自身も徳川家康という人物を直接知っているわけではなく、演じる上で理解していく部分もあると思うんですけれども、答えの中で印象的だったことがあります。
徳川家康という人物が大河ドラマで主人公になるのは来年、40年ぶりになるんですね。
松本さんは来年40歳。自分が今のこのタイミングで家康公を演じるというのは、運命で結ばれていて、使命感、やり甲斐を感じるとおっしゃっていました。


意地の悪い比較かもしれないが、『徳川家康』の主演・滝田栄が家康を演じたときは32歳。松本よりも8歳若かった。
滝田は最終話「泰平への祈り」で75歳の家康を演じ切った。

 

大河ドラマ『徳川家康』の家康(演・滝田栄)NHKアーカイブスより


『どうする家康』の完結期は、家康の生涯のどこになるのか。
そのあたりを磯氏はこう言っている。

40年前に徳川家康を作った僕らの先輩が残してくれた言葉に、「徳川家康はとにかくエピソードが多すぎて入りきらないから気をつけた方がいいよ」というのがあります。

とにかく家康は次から次へと面白いエピソードがあります。うまく料理していかないと最後までたどり着けないんじゃないかという心配があるので、上手に配分していきたいと思います。ついつい面白く描きすぎて、時間を費やしてしまわないように気をつけないといけないですね。(略)

織田信長がとても重要に描かれていきますが、茶々・淀殿(※秀吉の側室で、秀頼の母)、秀頼もまた織田家の血筋を引くという人たちであります。
家康にとって、織田家をどう乗り超えていくのかが、このドラマのテーマのひとつでもあるので、淀殿・秀頼と対峙する大坂の陣は、戦乱の世の終わりを告げる、最後のクライマックスになるのではないかと思っています。


大坂夏の陣の翌年に家康は亡くなっているのだから、おそらく松本家康も75歳を演じ切るのだろう。

大河ドラマの歴史は長い。
同じ主人公が繰り返し演じられることも少なくない。
今年の大河『鎌倉殿の13人』にしても1979年の『草燃える』と時代も登場人物もほぼ同じだ。
(今月18日が最終回だが)そんななかで三谷幸喜氏や製作陣は、見事に『草燃える』とは違う大河を作り上げたと思う。

そうした重荷を来年の『どうする家康』も背負わされている。
またそれを、制作陣は十分意識しているはずだ。

磯氏のことばを聞いてもそのことがわかる。

家康とのつながりでいうと、たまたま僕ら(大河ドラマ制作側)は40年間、家康を主人公にするチャンスがなかったというだけで。
40年前は山岡荘八さんの原作があり、大河ドラマ「徳川家康」があった。
そのときは我慢だとか辛抱というかそうしたことが、当時「おしん」という朝ドラがあったこともあって人に評価されたというか、時代の空気もあったんだろうと思います。


今の時代に家康を描くということは、これは古沢(良太)さんも松本さんも言っているのですが、今、戦争というものが割と身近に思えるようなところもある中で,どうやって戦乱の世を終える、平和ってどうやったらばできるんだろうという、現実的な視野に立った時に家康という人物は1つのヒントになるのではないかと。
長い政権を作れた徳川家康という人物がグローバルに評価されつつあると思うんです。
その家康を描くとしたらこういう視点なんじゃないか、戦乱とか平和とか、家康がどうしてそういう結論に至ったのかというところはいま家康を描く上で外せないテーマだなと思います。


(NHKウェブサイト NHKニュース たっぷり静岡より抜粋・引用)

『鎌倉殿の13人』の主人公・北条義時は62歳、家康は75歳。いずれも当時は長寿であり、功業の人であり完結した人生を送った人である。

彼らには青春時代があり、風雲の時代があり、権謀の時代があり、そして新時代を臨んで生の終焉を迎えている。
『鎌倉殿〜』は、時代の変化をとらえた上で、時として時代に翻弄される人間像を、丁寧に、深々と、情感をこめて描きこんでいた。

大河ドラマが作品(商品でなく)だった時代の『草燃える』を知る視聴者がいるという重荷を背負いながらも、『鎌倉殿〜』はまったく別の作品として素晴らしかった。

『どうする家康』も同じ重荷を負いながら、そのようにして作品として素晴らしい遺産となることを期待したい。

 

 

40年ぶりの家康大河!俳優陣で比べる『どうする家康』×『徳川家康』※随時更新

 

〈天海、太原雪斎〉

兵にあらず、信のみ〜ふたりの僧を通して見る家康の本性〜

 

〈水野信元〉

戦国弱小国の生き様・死に様〜水野信元の場合〜

 

〈本多忠勝〉

家康に過ぎたる男・本多忠勝①〜平八郎奮迅、一言坂〜

 

家康に過ぎたる男・本多忠勝②〜深きご恩の君を思えば〜

 

〈井伊直政〉

井伊に宿る数奇①〜直政が赤鬼になった理由〜

 

〈酒井忠次〉

どうする家康①〜信長の災厄と理性の小箱〜

 

〈石川数正〉

どうする家康②~天正13年の岡崎大変~

 

どうする家康③〜数正出奔で変わったもの、変わらぬもの〜

 

〈甲州攻略〉

信長死す、甲斐で何が起こったか〜死人が国を盗る話〜


〈関ヶ原の戦い〉

天下分け目をプロデュースした男

 

〈大坂の陣〉

大砲は何を砕いたか〜関ヶ原のあと、家康が考えたこと〜

 

〈大御所時代〉

家康、生涯最後の一策〜慶長タスクフォース〜

 

〈番外①〉

僕の人生を変えた大河ドラマ〜役を生きて見えたもの〜

 

〈番外②〉

制作者から見た『どうする家康』〜ついでに大河ドラマ小考〜