40年ぶりの家康大河!俳優陣で比べる『どうする家康』×『徳川家康』 | 天地温古堂商店

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来年の大河ドラマ『どうする家康』の第一次、第二次出演者が決定した。

大河ドラマのオールドファンは、徳川家康と聞くとどうしても1983年の『徳川家康』を思い出してしまう。
40年の年月を経て、大河はふたたび家康に回帰する。

『徳川家康』は、山岡荘八の「徳川家康」が原作。全26巻の超長編小説だ。

脚本は『3年B組金八先生』の小山内美江子。




この前年の大河は『峠の群像』で、今までの忠臣蔵のイメージを批判的に捉えるストーリー。
その前年は『おんな太閤記』で、秀吉ではなくその妻が主人公。
さらにその前は『獅子の時代』で、主人公は架空の人物。
変化球の3年間のあと、ド直球勝負で、山岡荘八の家康だったとか。

『徳川家康』は、見ごたえのある大河ドラマだった。
個人的には大河史上五指に入る作品ではなかろうか。

まさに王道の大河ドラマだった。

原作者の山岡は、第二次世界大戦中、鹿児島県鹿屋基地で、従軍記者として多くの特攻隊員を取材した経験があった。
特攻機に乗り、飛んで行ったまま帰らない多くの若者たちを見て、「俺は生き残ったこの人たちのためも日本を戦争のない平和な国にしよう」と考えたという。
平和への祈りを胸に秘めて散っていった彼らの思いを、徳川家康の欲した「泰平」に重ね合わせて描いた〈山岡の家康〉が、そのままドラマのコンセプトだった。

一方、『どうする家康』は、古沢良太のオリジナル脚本。
古沢氏が描く家康のコンセプトはこうだ。

カリスマでも天才でもなく、天下取りのロマンあふれる野心家でもない、ひとりの弱く繊細な若者が、ただ大名の子に生まれついた宿命ゆえに、いやが応にも心に鎧をまとわされ、必死に悩み、もがき、すべって転んで、半ベソをかきながらモンスターたちに食らいつき、個性的な仲間たちとともに命からがら乱世を生き延びてゆく。

ひとりひとりは完璧でなくても、集まると大きな力を発揮する仲間たちと家康を描く戦国大河ドラマ。
戦国の強豪たちと家康が渡り合えたのは、個性豊かなみんなの支えがあったからという設定のようだ。

徳川家康と仲間たちが力を合わせて、絶対絶命のピンチを乗り越えてゆくドラマのような予感がする。

 

 

キャストの比較は次のとおり。

左は『どうする家康』右『徳川家康』。
※随時、更新予定。

 

【徳川家・徳川家臣団】
徳川家康 松本潤 → 滝田栄

松平広忠(父) 飯田基祐 → 近藤正臣

於大(母) 松嶋菜々子 → 大竹しのぶ

華陽院(祖母) ?→ 八千草薫

築山殿(正室) 有村架純 → 池上季実子

お愛の方(側室) 広瀬アリス → 竹下景子

お万の方 松井玲奈 →  東てる美

阿茶局  松本若菜 → 上村香子

松平信康(長男)細田佳央太 → 宅麻伸

結城秀康(次男)岐洲匠 → 堀秀行

徳川秀忠(三男)森崎ウィン → 勝野洋

松平忠輝(六男) ?→ 田中健

亀姫 當真あみ → 原日出子

徳姫(信康正室) 久保史緒里 → 田中美佐子

水野忠政  ?→ 北村和夫

水野信元 寺島進 村井国夫

鳥居忠吉 イッセー尾形 → 宮口精二

鳥居元忠 音尾琢真 → 川久保潔

本多忠勝 山田裕貴 → 高岡健二

本多作左衛門  ?→ 長門裕之

石川数正 松重豊 → 江原真二郎

数正の妻 木村多江 → 高田敏江

酒井忠次 大森南朋 → 福田豊土

大久保忠世 小手伸也 → 織本順吉

榊原康政  杉野遥亮 → 内田勝正

井伊直政 板垣李光人 → 平泉成

大賀弥四郎 毎熊克哉 → 寺泉憲

平岩親吉 岡部大 → 宗近晴見

服部半蔵 山田孝之 → 樋浦勉

本多正信 松山ケンイチ → 内藤武敏

久松俊勝 リリー・フランキー → 橋本功

本多正純 井上祐貴 本田博太郎

柳生宗矩  ?→ 夏木陽介
板倉勝重  ?→ 山本亘
大久保長安 ?→ 津川雅彦

渡辺半蔵 木村昴 →  加藤精三

夏目広次 甲本雅裕 →  國井正廣

奥平信昌 白洲迅 →  渡辺篤史

鳥居強右衛門 岡崎体育 → 上條恒彦

【織田家】

織田信長 岡田准一 役所広司

濃姫   ?→ 藤真利子

織田信秀 藤岡弘 → 伊藤孝雄

お市の方 北川景子 → 真野あづさ

明智光秀 酒向 芳 → 寺田農

柴田勝家 吉原光夫 → 大山克巳

丹羽長秀 福澤朗 → 竜崎勝

滝川一益 ?→ 新田昌玄

平手政秀 上杉祥三 → 戸浦六宏

織田信雄 浜野謙太 → 立川三貴

森蘭丸 大西利空 → 土家歩

【豊臣家】

豊臣秀吉 ムロツヨシ → 武田鉄矢

淀君    北川景子 → 夏目雅子

北政所   和久井映見 → 吉行和子

大政所   高畑淳子 → 鈴木光枝

豊臣秀頼  作間龍斗 → 利重剛

     山田真歩 → 岩本多代

千姫    原菜乃華 → 石原真理子

前田利家  宅麻伸 → 瑳川哲朗

黒田官兵衛 ?→ 入川保則

黒田長政  阿部雄之介 → 倉石功

石田三成  中村七之助 → 鹿賀丈史

島左近    高橋 努  → 川津祐介

加藤清正  淵上泰史 伊吹吾郎

福島正則  深水元基 →  綿引勝彦

大谷吉継  忍成修吾 有川博

小西行長  池内万作 → 桜片達雄

前田玄以  村杉蝉之介 → 福山象三

浅野長政  濱津隆之 → 金内吉男

長束正家  長友郁真 → 石濱朗

増田長盛  隈部洋平 → 堀勝之祐

藤堂高虎  網川凛 → 前田昌明

小早川秀秋 嘉島陸 堀内正美

片桐且元  川島潤哉 久米明

大野治長  玉山鉄二 → 谷隼人

真田幸村  日向亘 → 若林豪

【諸大名家】

今川義元 野村萬斎 → 成田三樹夫

今川氏真 溝端淳平 → 林与一

関口親永 渡部篤郎 → 佐藤英夫

太原雪斎  ?→ 小林桂樹

武田信玄 阿部寛 → 佐藤慶

武田勝頼 眞栄田郷敦 → 藤堂新二

穴山梅雪 田辺誠一 → 生井健夫

伊達政宗  ?→ 尾上辰之助

浅井長政 大貫勇輔 → 柴田侊彦

足利義昭 古田新太 → 篠原大作

毛利輝元 吹越満 → 御木本伸介

宇喜多秀家 柳 俊太郎 → 浜田光夫

上杉景勝 津田寛治 → 横井徹

直江兼続 TAKAHIRO  → 睦 五朗

北条氏政 駿河太郎 → 川辺久造

【ブレーン】

天海   小栗旬 竜雷太

茶屋四郎次郎 中村勘九郎 → 中山仁

西笑承兌  でんでん → 里居正美

金地院崇伝 田山涼成 → 森塚 敏

【その他】

常高院(初) 鈴木杏 → 三浦真弓

大蔵卿局 大竹しのぶ → 柳川慶子


1983年の『徳川家康』のキャスティングについては、こんな証言がある。

主役の家康について。

嫌われ者の家康像をくつがえす戦略として、これまでのイメージとまったく違う男をキャスティングしようと考えました。それで選んだのが滝田なんです。あえて長身で端正な顔をしたやつを選んだ。僕は『草燃える』の時の滝田はすごくよかったと思ってきました。それで、滝田を大抜擢したんです。
〈チーフディレクター・大原誠〉

信長については、戦国時代に無名の人がダークホースのように尾張の一角からのし上がってくるというこのなので、既成の役者は嫌だったんです。それで、ふっと思ったのが役所広司でした。
役所広司は『おんな太閤記』に出ています。織田信孝という信長の三男の役で。その時の印象がずっと残っていました。

〈同上〉

ただ、滝田、役所、武田で行くって言ったら、NHK内で猛反発を受けましたよ。

でも、『今までのキャリアで何本もやって勘がある。だから任せてくれ』と言って強引に通しました。(略)
人気のあるやつを持ってくれば視聴率が上がると思っている。

それは大間違いなんです。
〈プロデューサー・澁谷康生〉
(春日太一『大河ドラマの黄金時代』より)


徳川家康(演・滝田栄)


織田信長(演・役所広司)


豊臣秀吉(演・武田鉄矢)

NHKアーカイブス NHK放送史より


さて、『どうする家康』の歴史上の人物でどう描かれるのか注目したいのは、石川数正(松重豊)と松平信康。
家康ピンチの場面は数々あるが、この2人もそれに当事者として大きく関わってくる。
ちなみに『徳川家康』オンデマンドはこの回!

 

 

 

時代が変われば、ドラマのコンセプトも変わる。視聴者も変わる。

役者も変わる。

狸おやじ、平和の希求者…と、家康のイメージも変わる。

 

桶狭間の戦い

三河一向一揆
三方ヶ原の戦い
武田内通疑惑
神君伊賀越え
小牧長久手の戦い
関ヶ原の戦い

時は戦国だ。

家康の人生は、ひとつでも間違えると死や没落が待っているピンチの連続だった。
ピンチの壁をどう乗り越えていくか、また、大坂の陣の時の74歳の老獪な家康を松本潤がどう演じるかいまから楽しみだ。
新しい家康大河をぜひ期待したい。



1983年大河の『徳川家康』主演の滝田栄氏の取材記事(『週刊朝日』2022年12月16日号)

「やるからには、おっと驚くような家康の魅力を見つけてほしいですね」