外国人投資家の買いはまだ戻ってきていない・・ヘッジファンドによる日本株売り?? | 東京リーシングと土地活用戦記

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【第98回】 2014年2月18日

藤井 英敏


今の日本株は積極的に買えないが
弱気にはならない2つの理由


外国人投資家の買いはまだ戻ってきていない

 1月の投資部門別株式売買状況では、外国人投資家は1兆1696億円の売り越しでした。売り越しは昨年8月以来5カ月ぶりです。一方、個人投資家は1兆4270億円の買い越しに転じ、月間ベースでは1982年の統計開始以来、過去最高額を記録しました。

 なお、2月第1週(3~7日)でも、個人は5週連続で買い越しました。しかし、買越額は前週の6198億円から大幅に減り1148億円でした。そして、信用取引では1161億円の売り越しと、7週ぶりに売り越しに転じています。足元の相場急落で、さすがに逆張り大好きな個人も、リスク許容度が低下したのでしょう。

 一方、外国人投資家は買い越しに転じたものの、買い越し額は412億円と低水準にとどまっていますので、外国人投資家が積極的な買いに転じたとはいい難いですね。

ヘッジファンドの日本株売りが1月中旬から加速

 それはそうと、足元の市場では、ヘッジファンドのジョージ・ソロス氏が日本株を売り仕掛け、米株に関しても「下」をみているとの観測や報道が相次いでいます。

 噂には、ソロス氏が現地時間1月22日にダボスで安倍首相に会って、見限ったらしいとの尾ひれも付いています。また、ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメントが、米株の下落に備え、第4・四半期にS&P500指数に連動する株式ETFのプットオプションを前期比で154%増やしていたことが分かったと報じられています。ショートポジションの全体に占める比率は11%強で、ファンドが保有する最大のポジションとなったということです。

 ちなみに、株式市場では、現地時間1月10日発表の2013年12月の米雇用統計が下振れた直後の日本時間1月14日以降、326億ドル規模の巨大ヘッジファンド会社、ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントが積み上げていた大量の225先物の買い建て玉の急激な解消売りが観測されていました。

 このようにヘッジファンドによる日本株売りが1月中旬から加速し、現在も継続している様子が窺えます。

 さらに、外国人の日本をみる目も厳しくなってます。有力新興国を「BRICs」と最初に呼んだ英エコノミストのジム・オニール氏(前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長)は、2月7日のインタビュー記事で、最近の日本株の下落について、“円安が進んだ昨年は楽だった。今年は簡単ではない。安倍晋三首相は第1の矢(の金融政策)は忘れることだ。これ以上の円の下落を他国は受け入れない。第3の矢となる女性活用、労働供給力の強化、生産性の向上に真剣に取り組まねばならない。安倍氏は強い言葉こそ発しているが実行する証拠がない”としています。

 この意見・見方が、外国人投資家の代表的なものなのでしょう。


いまの日本株が「買えない」理由

 その安倍首相は、就任から1年にあたる昨年12月26日午前、靖国神社を参拝しました。また、安倍首相は12日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使は憲法解釈の変更で認められるとの認識を示しています。

 このような状況下、ロイス米下院外交委員長(共和党)ら米超党派議員団は17日、安倍首相や日本の日米国会議員連盟の中曽根弘文会長らと相次ぎ会談しました。ロイス氏は首相の靖国神社参拝について「中国を利するのではないか」と伝えたそうです。歴史認識問題に絡めて米国で不満が燻っているようです。

 あなたの主義主張は別として、株式市場的には、日本株が上がるためには、日本の政権が新米的で、かつ米国との関係が蜜月であることが必要です。

 また、投資主体別では外国人投資家が買うと上がり、売ると下がるということが繰り返されています。さらに株式市場は、時の政権が「経済」を政策の最優先課題にしていれば上がり易いのですが、「経済」が二の次にされていると下がり易いのです。そうこう考え、以上述べてきた状況を総合的に判断すると、今の日本株は買えませんねぇ・・・。

日経平均はダブル・ボトムを形成しつつある

 ただし、目先の日経平均については、5日の1万3995.86円付近まで再び下がり、「ダブル・ボトム」を付け、その後、ネックラインである12日の1万4874.79円をブレイクし、「ダブル・ボトム」を完成させる展開がメイン・シナリオです。

 つまり、下値不安は乏しいとみています。その理由は投機筋による円高がこれ以上進み難く、よって、225先物への売り圧力が低下し、裁定解消圧力も弱まると考えるからです。

 まず、11日時点の建玉報告では、CMEの通貨先物市場で、投機筋(非商業部門)の円の対ドルでの売越幅は前週比1957枚多い7万8786枚でした。売越幅の拡大は7週ぶりのことです。ちなみに、ピークは昨年12月24日の14万3822枚からほぼ半減したのです。

 また、裁定買い残も大幅に減少し、潜在的な裁定解消売り圧力も低下しています。7日時点の裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)は、金額ベースで5週連続で減少しました。残高は前週比4211億円減の2兆7829億円でした。ちなみにこれも昨年12月27日は4兆433億円です。大幅に減っています。

 なお、日経平均がダブルボトムを完成させるというメインシナリオ崩壊の条件は、(現時点では確率が低いとみていますが)2月末の日経平均終値が、9カ月移動平均線(18日前場現在1万4545.77円)や、月足ベースの一目均衡表の転換線(同1万4368.03円)を割り込むことです。2月末時点で両線を割り込むようだと、相場はもう一段の下落に見舞われる見通しです。その際は、24カ月移動平均線(同1万1915.49円)付近が下値メドになるとみています。


最後に、日本株に弱気にならない理由のひとつは、14年1月20日の産業競争力会議の「成長戦略進化のための今後の検討方針」です。

 そこでは、「外国人受入環境の整備・技能実習制度の見直し」を掲げています。“外国人材受入のための司令塔を設置し、高度人材の受入れはもとより、労働人口の減少等を踏まえ、持続可能な経済成長を達成していくために必要な外国人材活用の在り方について、必要分野・人数等も見据えながら、国民的議論を進める。高度な外国人材が海外と同じような環境・条件で働くことができるようにするため、生活環境を整備するための制度改革を含む総合的な推進方策も検討する。また、技能実習制度について、制度の適正化とともに、一定の要件の下で再技能実習を認めることや、介護等の分野を追加することを含めた制度の見直しについて制度本来の目的を踏まえた検討を行い、平成26年年央までに方向性を出す。”としています。

 今後、日本が少子高齢化、総人口減少に踏み込んだ具体策を打つようなら、日本の潜在成長率は高まり、外国人投資家の日本株への評価が高まるはずです。

 また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見通し期待も、日本株に弱気にならない理由です。

 公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議で座長を務めた伊藤隆敏東京大学大学院教授は、GPIFは運用資産の半分を内外の株式に投じ、主要国並みに年5%程度の収益率を目指すのが望ましいとみています。

 伊藤氏は、日銀巨額の国債買い入れを進めているうちに、国債を「2年程度で早く減らすべきだ」と語っています。株式を24%、債券を71%と定めている基本ポートフォリオに関しては、年央までに見直すべきだとしています。

仮に、これが実現するようなら需給面で相当なポジティブ作用が見込めます。

2014年02月19日
●「IMFの謝罪でアレシナ学説崩壊」(EJ第3733号)
 緊縮財政の有効性を説くアルベルト・アレシナ教授の論文とラ
インハート&ロゴス教授の論文「債務時の経済成長」に関して、
後者の論文の間違いは決定的ですが、アレシナ教授の論文に関し
ては、それに対する批判や反対は多いものの、決定的に間違いで
あるとはいい切れないのです。
 アレシナ教授の論文では、1960年~1994年のOECD
諸国で緊縮財政が行われた国を調査したところ、プライマリーバ
ランスが1年で1.5 %以上、2年連続で1.25 %改善した国
を62例抽出して調査しています。
 その結果、緊縮財政後の3年間、プライマリーバランスが2%
以上改善するか債務残高が5%以上削減した国を成功例とし、調
査すると、成功例は16ヶ国であったというのです。その成功例
と失敗例を比較すると次のことが判明したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
      ≪成功事例≫
       ・歳出削減:72% ・・・ 7
       ・増  税:28% ・・・ 3
      ≪失敗事例≫
       ・歳出削減:44%
       ・増  税:56%
―――――――――――――――――――――――――――――
 アレシナ教授の学説が「ナナサンの法則」といわれるのは、歳
出削減と増税の比率のことをいっているのです。このアレシナの
学説を信奉している学者としては竹中平蔵氏がいます。竹中氏は
田原総一朗氏との対談で
アレシナに触れています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 実例を挙げると、アルベルト・アレシナというハーバード大学
 の教授が行った調査があります。彼は、戦後に財政再建に取り
 組んだOECD加盟20ヶ国を対象に調査を実施し、財政再建
 に失敗する例として、「何もやらないで増税だけをする」ケー
 スを挙げています。結局のところ、歳出を抑えに抑えて、事務
 的経費はもちろん、人件費や社会保障までも抑えた国が財政再
 建に成功しているんです。でも、これって当然ですよね。すご
 く常識的な結論だと思いますよ。実際、常識的なことが各国で
 起きてきたということです。いままでの歴史の中で。
  ──田原総一朗×竹中平蔵/『ちょっと待って!/竹中先生
   アベノミクスは本当に間違ってませんね?/ワニブックス
―――――――――――――――――――――――――――――
 アレシナの学説は、歳出削減の努力「7」にプラスして、増税
「3」をするというので、完全な財政緊縮策です。常識から考え
ると、歳出削減と増税を行えば、全体的な需要の減少をもたらし
それが生産高や雇用の減少につながるのです。クルーグマン
教授
にいわれるまでもなく、そんなことをすれば、経済はさらに弱く
なってしまうのは必定です。
 しかし、アレシナの学説はそういう常識的な判断を否定し、次
の考え方によって経済は成長するというのです。こうなると、宗
教とはいわないものの、心理学の分野です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 断固として財政緊縮を実行すれば、民間部門に信用が生まれ
 この信用が財政緊縮のマイナス面を相殺する。
          ──ポール・クルーグマン
著/大野和基訳
     「そして日本経済が世界の希望になる」/PHP新書
―――――――――――――――――――――――――――――
 ヨーロッパの多くの国で注目されて調子に乗ったアレシナ教授
は、求められるままにEU経済・財務相理事会で講演し、その主
張は受け入れられたのです。2010年4月のことです。そして
この考え方がそのまま欧州委員会の公式見解になったので
す。
 2010年6月には、当時のECB総裁であるジャン=クロー
ド・トリシェ氏は、イタリアの新聞「ラ・レプブリカ」で、緊縮
政策が経済成長を阻むという懸念を一蹴し、次のように述べてい
るのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 (デフレの危険があるのではという記者の質問に対し)そんな
 リスクが実現するとは思いません。それどころか、インフレ期
 待は驚くほどわれわれの定義したもの──2パーセント以下、
 2パーセント近くにしっかり固定されていますし、最近の危機
 でもそれは変わっていません。経済についていえば、緊縮財政
 が停滞を引き起こすという考えは間違っています。(中略)じ
 つはこうした状況にあっては、家計、企業、投資家が財政の持
 続可能性について抱く安心感を高めることはすべて、成長と雇
 用創出の実現に有益なんです。私は現状において、安心感を高
 める政策は経済回復を阻害するどころか促進すると固く信じて
 います。今日では、安心こそが重要な要因だからです。
    ──ポール・クルーグマン著
/大野和基訳の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 この間違ったEUの経済財政政策の最大の犠牲になったのは、
何といってもギリシャです。ギリシャは歳出削減と増税を実行さ
せられ、その財政赤字はGDPの15%に相当する額に達したの
です。アイルランドやポルトガルでも緊縮財政策は行われ、激し
い経済の下降を余儀なくされた
のです。
 ところが、これまでアジア諸国に対して、厳しい財政緊縮策を
強いてきたIMFがその過ちを認めたのです。2010年当時の
ストロスカーンIMF前専務理事は、調査報告書において、厳し
い財政緊縮策による経済への打撃は以前想定していた規模の3倍
に及ぶ可能性があることを指摘したのです。
 これは、厳しい財政緊縮策を強いられているEU諸国に衝撃を
与えたのです。それはEUでの緊縮政策の悲惨な結果が表面化す
る前のことです。これによって、アレシナの学説の評価は地に落
ちてしまったのです。しかし、緊縮財政派はそれでも反省という
ものをしないのです。    ─
─[消費税増税を考える/31]

≪画像および関連情報≫
 ●IMFが緊縮策の過ちを認めた!/岐路に立つ日本を考える
  ―――――――――――――――――――――――――――
  IMFのプログラムの妥当性は、その当時にすでに明らかに
  なっていたはずです。それなのに、こうしたプログラムに関
  する過ちに、どうしてIMFは最近まで気がつかなかったと
  言っているのでしょうか。この問題を考える際にヒントとな
  るのが、歴代のIMFの専務理事(IMFのトップ)の出身
  国です。正式な理事は初代専務理事から現在の第11代専務
  理事のラガルド女史まで、11人全員が欧州勢です。(欠員
  による代行で2~3ヶ月間だけ米国人がなっていることが2
  回ありますが、それを除けば全員欧州勢です)実は、世界銀
  行の総裁はアメリカが決め、IMFの専務理事は欧州が決め
  るという「棲み分け」が成立してきたのです。そして今、こ
  のIMFのお膝元である欧州でとてつもない事態が進行
して
  いるのは、皆さんご承知のところです。南欧の各国で緊縮策
  を求められているのは、欧州で最も経済力のあるドイツにと
  って利益があり、ドイツに逆らいにくい状態になっていると
  いう事情もありますが、IMFとしても従来とのダブルスタ
  ンダードを指摘されないために、緊縮を求める方針を継続し
  てきたのでしょう。ですが、この方針ではもはや欧州を守る
  ことができなくなってきたので、過去の過ちを認める方針に
  転換したのではないかと思います。ノーベル平和賞にEUが
  選ばれたことも、欧州が現在の危機を軟着陸させるのに必死
  であることを示しているように感じられます。このIMFの
  方針転換は、レーガン・サッチャー時代から急激に進んでき
  た新自由主義的な流れが、世界的に転換点に達したことを如
  実に物語るマイルストーン
にもなっていると思います。
                   http://amba.to/MZtg7s
  ―――――――――――――――――――――――――――


前ECBトリシェ総裁
posted by 平野 浩 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費税増税を考える | |



日本は・・政治がダメだからねーーー