医療法は、病院・診療所・助産所の開設・管理・施設等の基準および監督、公的医療機関の設置・補助、医療法人に関する規制、医業広告取り締まりを内容とする法律で、1948年7月30日に公布されました。

5月21日、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律(医療法等改正法)が成立しました。
今回の改正の趣旨は、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する観点から、医師の働き方改革、各医療関係職種の専門性の活用、地域の実情に応じた医療提供体制の確保を進めるため、長時間労働の医師に対し医療機関が講ずべき健康確保措置等の整備や地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に対する支援の強化等の措置を講ずる」とされています。

改正の概要は次の通りです。
Ⅰ  医師の働き方改革
長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置の整備等
医師に対する時間外労働の上限規制の適用開始(2024年4月1日)に向け、次の措置を講じる。
・勤務する医師が長時間労働となる医療機関における医師労働時間短縮計画の作成
・地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度の創設
・当該医療機関における健康確保措置(面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制等)の実施

Ⅱ 各医療関係職種の専門性の活用
1.医療関係職種の業務範囲の見直し
タスクシフト/シェアを推進し、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を活かせるよう、各職種の業務範囲の拡大等を行う。
2.医師養成課程の見直し
①共用試験合格を医師国家試験の受験資格要件とし、②同試験に合格した医学生が臨床実習として医業を行うことができる旨を明確化。

Ⅲ 地域の実情に応じた医療提供体制の確保
1.新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置付け
医療計画の記載事項に新興感染症等への対応に関する事項を追加する。
2.地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援
令和2年度に創設した「病床機能再編支援事業」を地域医療介護総合確保基金に位置付け、当該事業については国が全額を負担することとするほか、再編を行う医療機関に対する税制優遇措置を講じる。
3.外来医療の機能の明確化・連携
医療機関に対し、医療資源を重点的に活用する外来等について報告を求める外来機能報告制度の創設等を行う。

今後、医療法等改正法の着実な施行に向けた準備を進めて行く必要があり、各検討会等(医師の働き方改革の推進に関する検討会、第8次医療計画に関する検討の場等)において、各改正項目の施行に向けた具体的な検討を行っていくことになります。
具体的なスケジュールは下図の通りです。

 



このうち「外来機能報告制度」は、2019年末に全世代型社会保障検討会議で方向性が示された、「大病院における『紹介状なし外来受診患者』に対する特別負担の金額を増額し徴収義務対象を『200床以上の一般病院』に拡大する」という制度改正を具体的に進めていくために実施されます。ちなみに検討会議では、報告対象として「医療資源を重点的に活用する入院前後の外来」「高額等の医療機器・設備を必要とする外来」「特定領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)」の3類型が例示されています。
この点については、6月3日に開催された社会保障審議会・医療部会でも様々な意見が出ました。

私は、民間病院の200床以上はケアミックスであるケースが多く、回復期・慢性期機能も混在した病院に定額負担を導入するのは理に適っていない。ケアミックス病院は除いて、例えば循環器に特化した急性期病院等を対象に考えるべきではないかと考えています。また、制度見直しで外来患者数の減少が予想される医療機関の経営支援も考慮すべきではないでしょうか。引き続き、議論の行方を注視していきたいと思います。
 

財政制度等審議会は、財務省の審議会等の一つで、予算や決算をはじめとする国の財政について審議を行う財務大臣の諮問機関です。いくつかの分科会が組織されていますが、財政制度分科会は、国の予算、決算及び会計の制度に関する重要事項を所掌しています。

5月21日、財政制度等審議会財政制度分科会が「財政健全化に向けた建議」を公表しました。建議の内容のうち、先週は介護保険料の動向と一緒に介護保険制度に関わる部分を述べましたが、今週は医療提供体制に関する記述をご紹介したいと思います。

建議は、「効率的で質の高い医療提供体制の整備」と題した章の冒頭、「我が国は、積年の課題とされてきた医療提供体制の効率化に向けた取組の進捗が捗々しくない中で新型コロナの感染拡大を迎えた。医療資源が散在し、手薄な人的配置となっており、医療機関相互の役割分担や連携等に課題を抱える現状の体制では、感染者の増加に十分に対応しきれていない実情がある。国民の医療提供体制に対する関心が高まっている今こそ、地域医療構想の実現を加速させ、効率的な医療提供体制への改革と医療の質の改善の両立を目指すべきである」と述べています。

事実、1月7日に2回目の緊急事態宣言の対象となった1都3県ですら、直前の昨年末時点での療養病床等を除いた一般病床全体の使用率は低下しており、使用されていない病床の割合が増えたにもかかわらず、新型コロナ病床への受入れが十分なものとはならず、療養先を調整している新型コロナ感染者が増加するという状況が生じました。




そして、新型コロナを踏まえた医療提供体制の在り方として「医療機関の再編・統合を含む地域医療構想の実現、医療従事者の働き方改革医師偏在対策の三位一体での推進が重要であり、時計の針を戻すのではなく、進めることが求められている。なお、病院数の8割・病床数の7割を民間医療機関が占めることからすれば、民間医療機関の対応が重要となる」としています。
さらに、診療報酬については、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」との方針を掲げ、「医療機関・医療行為単位の全国一律の出来高払い制度を基調とする診療報酬制度について、効率的で質の高い医療提供体制の実現に資する制度へと見直していく必要がある。入院診療の1日当たり包括払い(DPC)制度を見直すことや「かかりつけ医」の普及のための包括化の推進等により、医療機関相互の役割分担や連携を評価し、促すとともに、地域ごとの実情を反映できるものとしていく必要がある」と述べています。

厚生労働省の試算において、2015 年度6.0%、2025 年度6.7%にとどまると見通されていた医療給付費対 GDP 比が、すでに2018 年度に 7.25%と、2025年度の予測値を突破しているのは事実であり、医療費適正化が喫緊の課題であることは間違いないと言えます。
私は、医療提供体制を議論する際には、地域ごとに各医療機関の病床稼働率、マンパワー充実度、収支状況等を分析し、地域医療の実態を把握することがまず求められると考えています。地域の医療や介護が崩壊してしまってからでは遅いのであり、丁寧に議論を進めていく必要があると思います。



 

介護保険制度は、3年を1期とした介護保険事業(支援)計画に基づいて運営されます。地域(市町村・都道府県)ごとにサービス整備量を計画に定め、それを基に保険料も3年ごとに設定しています。

2021年度から「第8期計画」(2021~23年度)がスタートしていますが、5月14日、その内容が厚労省から発表されました。それによると、第1号保険料(65歳以上の月額)は全国平均で6,014円と、前期(2018~20年度)比2.5%増となり、初めて6,000円を超えました。
介護保険料には地域差があり、たとえば同じ東京都の島しょ部でも、青ヶ島村が9,800円(ちなみに全国1位です)、小笠原村が3,374円(全国で低い方から3番目)とおよそ3倍もの差があります。



一方で5月21日には、財政制度等審議会が「財政健全化に向けた建議」を公表しました。その中で介護保険制度について、「創設から約 20 年を迎えたが、介護費用は、制度創設時に予測した水準に比べて増加・・・足もとでは 10 兆円を上回る水準となっている。・・・今後については、介護保険創設以来増加してきた保険料負担者である 40 歳以上人口が2023 年をピークに減少し、とりわけ 40~64 歳の支え手の割合が減少していくことが見込まれる。他方で要介護認定率や一人当たり給付費が高い 75 歳以上の高齢者は2030 年頃まで増加し、その後も 85 歳以上人口が増加していくことが見込まれる。このような状況の下、介護保険制度の持続可能性を確保するためには、保険給付範囲の見直しをはじめとする制度改革を第9期介護保険事業計画期間から着実に実施するなど、制度の持続可能性を高めていく必要がある。」と主張しています。 具体的には、以下のような政策を進めるよう、政府に求めています。
●利用者負担の見直し(現在の一定の高所得者2割を原則2割化)
●人材確保とICT化による生産性向上
●ケアマネジメントの在り方見直し(利用者負担の導入)
●多床室の室料負担見直し(基本サービス費等からの除外)
●地域支援事業の在り方見直し
●区分支給限度基準額の見直し(一部加算の例外措置の見直し)
●居宅サービスに対する保険者等の関与強化(訪問介護・通所介護・短期入所生活介護について、市町村が都道府県に事前協議を申し入れ、その協議結果に基づき都道府県が指定拒否等を行う「市町村協議制」の実効性確保)
●軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付適正化
●介護サービス事業者の経営状況把握(見える化推進)

給付と負担の見直しは非常に難しい課題ですが、子どもから現役世代、お年寄りまで、すべての世代が安心できる「全世代型社会保障改革」を実現するためには避けて通れないものです。私も引き続き、国民皆が満足できる制度設計に取り組んでいきたいと思います。

医療費適正化計画とは、生活習慣病の予防推進などにより、増加する医療費を抑制するための計画を指します。高齢者の医療の確保に関する法律では、制度の持続可能な運営を確保するため、国と都道府県が保険者・医療関係者等の協力を得て、住民の健康増進や医療費の適正化を進めるため、6年を1期として、国において医療費適正化基本方針を定めるとともに、都道府県において医療費適正化計画を定め、目標の達成に向けて、取組を進めることとしています。

経済財政諮問会議において、「1人当たり医療費・介護費の地域差半減・縮減」が議論されています。
年齢構成の違いを考慮に入れた1人当たり医療費の地域差縮減が進んでいません。

 

 

この背景には、①病床の地域差解消の遅れ、②医療費適正化計画の実効性の欠如、③都道府県の主体的機能強化とそのインセンティブの不十分さ、④医療サービスの標準化の遅れ等が指摘されました。その上で、諮問会議は都道府県に対して、地域の医療提供体制や国保の財政運営等における主体性の発揮を求めています。
●地域医療構想の実現や後発医薬品の使用割合などを必須目標として医療費適正化計画に盛り込むとともに、その目標達成を促すための都道府県へのインセンティブ強化、毎年度の医療費の見込みの改訂やKPIの検証と必要な取組への反映、保険者協議会の役割強化など毎年度のPDCAが機能するようにすべき。さらに、後期高齢者医療制度の都道府県への移管など1人当たり医療費の地域差半減に寄与する都道府県知事の役割や権限の強化を検討していくべき。
●レセプトに医療機関や医師等の供給側のデータを紐づけ、医師会や学会と連携しつつ、医療サービスの標準化を推進すべき。

「医療費適正化」については、財政再建推進本部の「骨太の方針2021」に向けた提言にも盛り込まれましたが、当初、高齢者医療費の高い都道府県をターゲットにして診療報酬1点単価の切り下げにより医療費削減を図る旨、強調されました。

この点、私は、高齢者医療という1つの要素だけで医療費適正化を図るのはやや無理があるのではないか、地域医療は2つの面から見なければならない、1つは地域住民の健康指数、すなわち特定健診・特定保健指導の受診率、疾患別の外来・入院患者数、糖尿病の重症化予防等、いま1つは地域の医療提供体制、具体的には各医療機関の病床稼働率、マンパワー充実度、収支状況等である、これらの指標を幅広く分析しないと地域医療の実態は把握できない、高齢者医療費だけで判断するのは若干危険であり、医療や介護が崩壊してしまってからでは遅いので慎重に考える必要があるのではないか、と主張しました。

私の見解に対しては、多くの参加議員からも賛同を得ることができました。結果として、高齢者医療費だけをインディケータにして報酬の1点単価引き下げにより都道府県間の医療費格差を解消するという部分は、地域住民の健康や医療提供に資する指標を加味した内容になりました。これからも、地域医療の現場の声を政策に反映させていきたいと思います。

 

フェムテック(FemTech)とは、女性の健康の課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指し、狭義にはテクノロジーをベースとしたFemale ×Technology、広義には女性の体や健康をケアするフェムケア(Femcare)を広く含む概念です。

このところ、海外では、フェムテック関連製品が続々と発売されており、調査会社のCBインサイツによれば、世界市場規模は足許の350億ドル(約3兆8,500億円)から2025年には500億ドル(約5兆5,000億円)にまで拡大すると見込まれています。
翻ってわが国を見ると、1961年の薬事法改正で紙製生理処理用品(ナプキン)が「医薬部外品」として指定され急速に普及したものの、その後は目立った製品は登場していません。ナプキン等の既存製品については、薬機法上の位置づけのある製品として審査基準や業界の自主基準が整備されています。これに対し、フェムテック関連製品は、国内企業が新製品を市場に出そうとしても、薬機法上の位置づけや審査にかかる時間、費用の見込み等を把握できず、承認申請に至るまで長期間を要する、承認申請自体を断念するケースが多いと言います。

2019年3月に経済産業省ヘルスケア産業課が発表した「健康経営における女性の健康の取り組みについて」によれば、健康経営を積極的に推進する企業においては、特に女性特有の健康問題対策に高い関心が寄せられています。
例えば、女性特有の月経随伴症状などによる労働損失は4,911億円と試算されています。健康経営を通じて女性の健康課題に対応し、女性が働きやすい社会環境の整備を進めることが、生産性向上や企業業績向上に結びつくと考えられています。

 



私も参加しているフェムテック振興議員連盟では、①先進的な技術で、生理期間を快適に過ごせる社会に、②不妊治療を含む妊活を支援することにより、子どもを望む人が希望を実現できる社会に、③更年期の諸問題を解決し、社会・経済のリーダーとなる世代がより活躍できる社会に、を三つの柱に掲げ、不妊治療・妊活支援、更年期等の課題に対し、フェムテックを活用してどのように解決するかを議論しています。

日本医療研究開発機構(AMED)や医薬品医療機器総合機構(PMDA)等の研究機関も改革に向けた強い志を表明しており、フェムテックを推進していく好機です。審議会等で議論のテーマになっている経血や尿失禁に関連する衛生材料や器具については、すぐに保険収載できないのであれば、まずは利用促進のために保険外製品・サービスとして特定療養・選定療養の枠組みで扱うことも一法ではないかと思います。また、不妊治療にはクリニックへのアクセス等が壁になっていますが、技術面ではウェアラブルデバイスやアプリの導入によるオンライン診療、人材面では不妊治療を行う医師をサポートする役割、介護分野におけるケアマネジャーのような人がいると良いのではないでしょうか。
私は、より良いものを早く安価で入手できる社会は国の成長戦略にも合致する、女性のWell-beingにつながるフェムテックの普及がもっとも大事ではないか、と考えています。




 

政府は、2010年施行の「子ども・若者育成支援推進法」に基づき、「子供・若者育成支援推進大綱」を2010年と2015年の2次にわたり策定し、施策を総合的に推進してきました。2021年4月6日、第3次の大綱を発表しました。

子ども・若者育成支援推進法の施行後10年が経過、教育、福祉、医療、雇用等の関係分野間の連携が進むなど一定の成果が見られる一方、コロナ禍の中、子供・若者の不安は高まり、状況は深刻さを増しています。



大綱では、以下の5本の柱を基本的な方針として設定しています。

1.全ての子供・若者の健やかな育成
全ての子供・若者が、かけがえのない幼年・若年期を健やかに過ごすことができ、かつ人生100 年時代、絶え間ない変化の時代を幸せ(Well-being)に、自立して生き抜く基礎を形成できるよう、育成する。

2.困難を有する子供・若者やその家族の支援
困難を有する子供・若者が、速やかに困難な状態から脱し、あるいは困難な状況を軽減・コントロールしつつ成長・活躍していけるよう、家族を含め、誰ひとり取り残さず、かつ非常時においても途切れることなく支援する。

3.創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援
子供・若者が、一人一人異なる長所を伸ばし、特技を磨き、才能を開花させ、世界や日本、地域社会の未来を切り拓いていけるよう、応援する。

4.子供・若者の成長のための社会環境の整備
家庭、学校、地域等が、子供・若者の成長の場として、安心・安全な居場所として、Well-beingの観点からより良い環境となるよう、社会全体、地域全体で子供・若者を育てる機運を高め、ネットワークを整え、活動を促進する。

5.子供・若者の成長を支える担い手の養成・支援
教育・心理・福祉等の専門人材から、地域の身近な大人、ひいては当事者たる子供・若者自身に至るまで、多様な担い手を養成・確保するとともに、それぞれの連携・協働の下、持続的な活躍が可能となるよう、支援する。


今回の大綱で特筆すべきは、多様なデータ(子供・若者の意識や状況、支援計画・機関の整備状況、他の大綱・基本計画における関連指標等)からなる参考指標(子供・若者インデックス)を新たに設定、複雑な課題を可視化して社会全体での支援推進に活用している点です。



 

大綱では子供の“Well-being”についても指摘されています。“Well-being”は、一時的な幸せの感情を意味する“Happiness”ではなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態を指す概念です。ユニセフの調査によれば、わが国の子供は、「身体的健康」では38ヵ国中1位なのに対し、「精神的幸福度」では37 位となっています。社会的な面でも、「すぐに友達ができると答えた15 歳の生徒の割合」が40ヵ国中39 位だといいます。
Well-beingは多くのメディアで取り上げられるようになっており、国政でも「日本well-being計画推進特命委員会」をはじめ様々な場面で議論されています。私が専門とする医療との関連では、well-beingで免疫力が上がる、自律神経系が安定する、メンタルヘルスが安定するという効用があります。well-beingによって国民のモチベーション向上につながり国全体が良くなるという好循環を実現すべく、ぜひ骨太の方針に盛り込み国の施策の一つにしていけたらと考えています。






 

管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。病気を患っている方や高齢で食事がとりづらくなっている方、健康な方一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術を持って栄養指導や給食管理、栄養管理を行います。一方、栄養士は都道府県知事の免許を受けた資格で、主に健康な方を対象にして栄養指導や給食の運営を行います。

2021年度介護報酬改定において、管理栄養士・栄養士の業務を評価する改定が行われました。

施設系サービスについて、栄養マネジメント加算が廃止され、人員基準に現行の栄養士に加えて管理栄養士の配置が規定されました。また、基本サービスとして、状態に応じた栄養管理の計画的な実施が求められるとともに、入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や体制強化等を評価する「栄養マネジメント強化加算」が新設されました。


通所系サービスについては、栄養改善加算で管理栄養士が必要に応じて利用者の居宅を訪問する取り組みが求められることとなりました。「栄養改善加算」の点数がアップするほか、「栄養アセスメント加算」が新設され、看護小規模多機能型居宅介護も対象に加わりました。また、認知症グループホームについても、管理栄養士の関与が評価される「栄養管理体制加算」が新設されました。



管理栄養士による居宅療養管理指導について、診療報酬の例も参考に、当該事業所以外の他の医療機関、介護保険施設、日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」の管理栄養士が実施する場合の区分が新たに設定されました。



 

私は常々、高齢者のADL向上には、リハビリはもちろん、栄養のあるものを口から食べることが非常に大事だと考えていますが、今般の改定で管理栄養士・栄養士の関与が評価されたことは素晴らしいと思います。
医療においても、急性期病院から慢性期病院に転院する際に低Alb血症となっている患者さんが多いと聞きます。急性期病院でも管理栄養士・栄養士をしっかりと配置し栄養管理を徹底する仕組みを検討してほしいと思います。
入院患者さんや介護施設入所者、在宅療養者には高齢者が多く、摂食嚥下、栄養ケア、排泄ケアが非常に重要です。ちゃんと食べてリハビリして出して元気になるという好循環をつくることがポイントだと思います。診療情報や介護報酬においても、こうしたケアに点数がついてきていますが、より一層評価を高めていくことが求められます。




 

医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き、気管切開部の管理,人工呼吸器の管理,吸引,在宅酸素療法,胃瘻・腸瘻・胃管からの経管栄養,中心静脈栄養等の医療的ケアが日常的に必要な児童のことです。

 


(資料)日本重症心身障害福祉協会医療問題検討委員会報告(2017年5月19日)

医療的ケア児の数は2005年の9,987人から2018年の19,712人へと約10年間で2倍近く増加しています。



2021年度障害福祉サービス等報酬改定において、医療的ケア児に対する支援の充実が図られました。

 



今回の改定で見逃せないのは、知的・肢体に障害はないが医療的ケアが必要な「動ける医療的ケア児」へのサービスが評価されたことです。


これまで動ける医療的ケア児の基本報酬は、自閉症等の一般的な障害児と同じ830単位でした。このため、人工呼吸器等の医療機器の管理や見守りにかかるコストを吸収できず、受け入れが進まなかったのです。
詳細は上図の通りですが、人工呼吸器を装着していて、外れた場合に即時対応が必要で、胃瘻をしている場合、人工呼吸器(基本スコア)10点+人工呼吸器(見守りスコア)2点+胃瘻(基本スコア)8点=20点、報酬単価は1,885点と大幅にアップします。これにより、ケアに必要なだけの看護師を配置できるようになりました。

医療的ケア児に対する支援充実に向けた取り組みが本格的にスタートしたことは高く評価されると思います。地域包括ケアの概念は、単に高齢者にとどまらず,障害児者も含めた様々な支援を必要としている人たちが,地域で暮らしていくための地域共生社会へと進化しつつあります。引き続き、医療的ケア児を持つご家族の方の声に真摯に向き合い、国政に訴えていきたいと思います。


 

「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられます。




2021年度障害福祉サービス等報酬改定改定率は+0.56%と、前回2018年度改定の+0.47%を上回りました。
 

この背景には、2020年障害福祉サービス等経営実態調査結果収支差率で前年比▲0.9ポイントのマイナスになったことがあります。



全国の障害者数は936.6万人に達し、人口の約7.4%を占めています。内訳をみると、身体障害者436.0万人、知的障害者108.2万人、精神障害者392.4万人となっています。

自民党のいわゆる「ひきこもり」の社会参画を考えるプロジェクトチーム(PT)では、障害とひきこもりの関係を議論しています。
内閣府は、2015年度に満15歳から満39歳、2018年度には満40歳から満64歳までの者を対象とするひきこもりの実態調査を実施しています。これによると、調査対象年齢は異なりますが、ひきこもり推計数は54.1万人から61.3万人へと増加傾向にあります。

●2015年度調査


●2018年度調査



ひきこもりの方は障害とも非常に関係が深く、医療、特に精神科とかかわる事例が多いのが実情です。翻って政府の体制をみると、地域包括ケアは厚生労働省老健局、共生社会は社会・援護局と所管が分かれており、福祉の領域は社会・援護局の所管となり狭義の共生社会となってしまっています。しかしながら、今後は、地域包括ケアと共生社会が一つになった広義の共生社会が求められるのではないでしょうか。住み慣れた街で幸せに最期まで暮らせるように、医療、介護、福祉が不足なく、地域の力、保健所の力、ボランティアの力が重なり合った対応力の高い社会、小さなお子さんから障害を持った方、精神科疾患のある方、高齢者までを包括した統合システムを構築していきたいと思います。





 

人口動態統計とは、出生・死亡・婚姻・離婚及び死産の5種類の「人口動態事象」を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としています。出生・死亡・婚姻及び離婚については「戸籍法」により、死産については「死産の届出に関する規程」により、市区町村長に届け出られる各種届出書から「人口動態調査票」が市区町村で作成されます。調査票は、保健所長及び都道府県知事を経由して、厚生労働大臣に提出され、厚生労働省ではこれらの調査票を集計して人口動態統計を作成しています。

厚生労働省が2月22日に発表した人口動態統計(速報)によれば、2020年の出生数は前年比▲2.9%減の872,683人と過去最低を記録しました。

政府は2020年5月、2025年までの「第4次少子化社会対策大綱」を閣議決定しています。



こうした中、政府は、出産を希望する世帯を広く支援するため、不妊治療の保険適用を検討し、保険適用までの間は現行の助成措置を大幅に拡充することとしました。令和3年1月から3月の拡充分及び令和3年度12ヵ月分(計15ヵ月分)について、第三次補正予算に370億円を計上しています。

事業の概要は以下の通りです。
○要旨:不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成
○対象治療法:体外受精及び顕微授精(以下「特定不妊治療」という。)
○対象者:特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された夫婦(治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦)
○給付の内容:
1回30万円
※凍結胚移植(採卵を伴わないもの)及び採卵したが卵が得られない等の ため中止したものついては1回10万円
通算回数は、初めて助成を受けた際の治療期間初日における妻の年齢が、 40歳未満であるときは通算6回まで、40歳以上43歳未満であるときは通算3回まで助成(1子ごと
②男性不妊治療を行った場合は30万円 ※精子を精巣又は精巣上体から採 取するための手術
○拡充の適用:令和3年1月1日以降に終了した治療を対象
○指定医療機関:事業実施主体において医療機関を指定
○実施主体: 都道府県、指定都市、中核市




不妊治療は少子化対策の大きな柱の1つであり、今後より注力すべきテーマです。2022年4月からの保険適用を予定しておりますが、保険適用までの間は現行の助成措置を大幅に拡充することとされ、夫婦合算の所得制限の撤廃などの措置が取られることになりました。がん治療前の卵子や精子の凍結保存など技術的には進歩していますが、生まれてくる子どもの幸せのための様々な仕組みづくりも必要になってきます。例えば、自分の本当の親を知りたいときの手続きや、差別の対象にならないような仕組みづくりが重要です。日本人の出生数は90万人を割り込み減少を続けています。さらなる少子化対策に向けて、不妊治療を受ける方々への支援や不妊治療を行う医療機関や医療従事者それぞれにとって、より良い制度の設計や充実を図る必要があり、私もしっかり取り組んでいきたいと思います。