国の予算編成の流れを見ますと、6月の「骨太の方針」をベースに、7月に財務省が各省庁の予算策定の目安となる「概算要求基準」を作成、8月末までに各省庁が次年度予算の使い道を提案する「予算概算要求」を財務省に提出します。その後9月から12月にかけて、財務省は各省の要求をヒアリングして予算として盛り込むべきか査定します。12月上旬に経済財政諮問会議で議論する「予算編成の基本方針」を閣議決定、同月下旬には政府予算案が確定され、国会に提出されます。

 

政府は7月29日、「2023年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」を閣議決定しました。

 

 

年金・医療等に係る部分を抜粋すると以下の通りです。

●前年度当初予算における年金・医療等に係る経費に相当する額に高齢化等に伴ういわゆる自然増として 5,600 億円を加算した額の範囲内において、要求する。

●「新経済・財政再生計画 改革工程表」に沿って着実に改革を実行していくことを含め、合理化・効率化に最大限取り組む。

●「基本方針 2021」等における「新経済・財政再生計画」において示された「社会保障関係費については、基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、その方針を継続する」との考え方を踏まえつつ、その結果を令和5年度予算に反映させることとする。

 

同日開催の経済財政諮問会議で了承された「予算の全体像」では、社会保障分野について次の4点を求めています。

●医療・介護・住まいの一体的な検討・改革等地域共生社会づくりの推進

●マイナンバーカードの保険証利用、マイナポータルの利活用拡大をはじめ、マイナンバーの利活用の徹底的な拡大を通じた医療・介護を始めとする公的給付のDX化

●セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上、インセンティブ付けなどを通じた、予防・重症化予防・健康づくりの推進、利用者負担見直しを含む介護保険の持続性確保

●給付と負担のバランスの確保、現役世代の負担上昇の抑制、マイナンバーの利活用、後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制度における能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討