私は、小さい頃から税や社会保障に親しんでほしいと思い、子どもに対する税と社会保障教育をライフワークにしています。「親子で考える税と社会保障入門」シリーズでは、人生100年時代を歩むうえで必要となる税と社会保障に関して、親子で考える素材を提供できたらと考えています。ご家族のみんなで議論していただけたら幸いです。第1回のテーマは「少子高齢化」です。

 

グラフは、日本の年齢別人口の推移を見たものです。人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時に進行しています。

 

まず「高齢化」ですが、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)によって以下のように定義されます。

 

用語

高齢化率

日本ではいつから?

高齢化社会

7%超

1970年に高齢化率7.1%

高齢社会

14%超

1995年に高齢化率14.6%

超高齢社会

21%超

2010年に高齢化率23%

 

2022年度の高齢者人口は3,648万人、高齢化率は29%です。約40年後まで、65歳以上人口はほぼ横ばいで推移する一方で、総人口が減少するため高齢化率は約10%程度上昇することが見込まれています。

 

一方の「少子化」は、数字による明確な基準がありません。「少子化」という言葉が最初に使われたのは1992年度の国民生活白書だと言われますが、そこでは「出生率の低下やそれに伴う家庭や社会における子供数の低下傾向」を「少子化」、「子供や若者が少ない社会」を「少子社会」と表現しています。

2022年度の19歳以下人口は2,016万人ですが、約40年後には1,237万人まで減少します。

 

もう一度よくグラフを見てみると、これまでは高齢者が急増するのが問題でした。ただ今後は、高齢者の数はほぼ横ばいであり、むしろ問題なのは、子どもの数が減る、それに伴って20~64歳の働き盛り世代の人口が急減してしまうことです。このような人口の予測に基づいて、税や社会保障に関する政策も作る必要があります。

 

次回は、高齢化の要因の一つである「平均寿命」について解説します。