内閣官房参与・浜田宏一氏が日本経済の40の質問を解説!, 2013/11/30
By TOKYO BOY
レビュー対象商品: アベノミクスとTPPが創る日本 (単行本(ソフトカバー))
内閣官房参与・浜田宏一氏が日本経済の40の質問を解説しています!
題名の通り、アベノミクスとTPPについて、重点的に解説しています。
一番興味深い点は、やはり、2014年の消費税増税の決定は、慎重であるべきだったとしています。
ただ、2014年の消費税増税が決定しまったので、デフレギャップは、金融政策で埋めるしかないとしています。
以下、各章のまとめです。
第一部「アベノミクスが創る日本を知る」と題して、20の質問に答えています。
Q1「なぜ日本経済には金融緩和が必要なのか?」と題して、日本は15年間もデフレであり、その原因が市場に回る通貨の量が少ない事だった。したがって、金融政策で景気を刺激し、市場に回る金を増やすことが大事としています。
また、日銀理論である「金融政策は、デフレにもインフレにも効かない」というのは、世界の非常識としています。
Q2「なぜ日本銀行はデフレを放置したのか?」と題して、十数年もデフレを導いたデフレの戦犯は、「日銀であると」しています。当時の白川方明総裁は、「インフレ目標」ではなく、「インフレ目途」だけをして、何もしなかったとしています。
Q3「デフレのあいだ政治家は何をしていたのか?」と題して、当時の菅直人総理大臣は、「増税すれば経済は成長する」と言って、狂った事を言っていたとしています。また、野田総理も全く初歩の経済知識ももってないので、話にならないとしています。
Q4「人口減少したから、デフレになったのか?」と題して、デフレは人口減少と関係がなく、「貨幣量と相関関係がある」としています。
Q5「金融政策がきかないとされたのはなぜか?」と題して、日本は古典的なケインズ経済学に洗脳され、固定相場制の下での経済学の財政政策しか効果がないという人が多かったので、問題であるとしています。
Q6「大胆な金融政策を行ったアメリカでは何が起きたか?」と題して、リーマンショックで、アメリカは通貨供給量を3倍にして、対応したが、日本は、通貨供給量を増やさなかったので、デフレ円高不況になったとしています。
Q7「アベノミクスの真の狙いとは何か?」と題して、アベノミクスの狙いは、日銀流理論とは正反対で、インフレ目標を設定し、買いオペを続け、デフレから脱却するものであるとしている。また、サムスンにシャープが負けたのは、日銀が超円高を容認した為であり、「犯人は、日銀である」としています。
Q8「新総裁の就任で日銀はどう変わったのか?」と題して、黒田日銀新総裁は、デフレの責任は日銀にあるとして、「やれることはなんでもやる」と超円高から円安にしたとしている。
Q9「アベノミクスについて海外の評価はどうなのか?」と題して、ダボス会議では、アベノミクスは絶賛されとしている。具体的には、イギリス、イタリア、カナダが絶賛したとしています。ただ、ドイツや韓国から円安の懸念があったが、それは、「自国の中央銀行で対応するべき」としています。
Q10「アベノミクスを批判する理論と学者の実態とは?」と題して、海外からの声は、日本への高評価ばかりだったとしています。しかし、朝日新聞は、IMFの発信をねじまげているとしている。また、アベノミクスを批判する人間は、「権力を批判すれば、受ける」という短絡的な人がいるとしている。
Q11「インフレ・ターゲットで何が変わるのか?」と題して、インフレターゲットは、物価が上がりすぎない為に使われたもので、ハイパーインフレにはならないとしている。また、「雇用と生産を回復すること」が最大の目的としています。
Q12「金融緩和でハイパー・インフレが起こるのか?」と題して、ハイパーインフレは起こらないとしています。なぜなら、クルーグマン教授が言っているように、今はデフレで、洪水みたいなものなのに、火事(ハイパーインフレ)は起こらないとしています。また、戦争や大災害が起こらない限り、ハイパーインフレは起こらないとしています。
Q13「株価が上がると国民生活はどう変わるのか?」と題して、株価があがると、富裕層の消費マインドはあがり、「期待」があがり、高級品が売れたとしています。また、IMF理事は、デフレ根絶に向けた金融緩和を歓迎しているとしている。
Q14「円安になると海外との摩擦が生じるのか?」と題して、変動相場制のもとでは、通貨政策は国内問題なので、メルケル首相が日本の円安を批判したのはおかしいとしています。したがって、「他国の中央銀行をせめるのではなく、自国の中央銀行をせめるべきだ」としています。
Q15「アベノミクスで株価の乱高下はなぜ起こるのか?」と題して、アベノミクスの株価が乱高下した事が問題視されたが、これは、株価が大きく上昇してから、下がったので、調整局面といえるとしている。この乱高下は、アベノミクスに対する過剰な期待が剥がれたことによるものとしている。また、求人率など経済指標でもアベノミクスの効果は出ているとしている。
Q16「アベノミクスにおける財政政策とは何のか?」と題して、財政政策とは、公共事業や減税のことであるとしています。ただ、金融政策と一緒に財政政策をしないと、円高になり、内需を相殺する「マンデル・フレミング・モデル」がある事を重視しています。したがって、財政政策は、補助的なものであり、「金融政策がやはり、大事である」としています。
Q17「アベノミクスでの成長戦略とは何なのか?」と題して、成長戦略とは、「民間投資を喚起する成長戦略」であり、成長分野に資本や労働力が集めようとする戦略であるとしています。また、規制緩和や法人税引き下げが大事だとしています。そして、「第四の矢」として、小泉政権で出来なかった「セイフティーネット」を設ける事が大事だとしています。
Q18「消費税は将来どうすればいいのか?」と題して、消費税増税では、税収減になり、橋本政権の時と同じような失敗をする可能性があるとしています。ただ、消費税増税は、金融緩和で対応できるとしている。
Q19「アベノミクスではいつ個人の収入が増えるのか?」と題して、まずは、失業者が減り、その後に賃金アップがくるとしています。また、トヨタや日産などの円高でもどうにかなった企業と、シャープなど円高で苦しんだ企業との差はあるので、賃金アップはばらつきが出てくるとしている。
Q20「日本経済には、どのような未来が待っているのか」と題して、大切なのは、実質金利(名目金利ー期待インフレ率)であり、実質金利が下がれば、円安になり、設備投資も増えるとしている。また、日銀法を改正して、日銀に政府と一緒の目的を守らせることが大事だとしている。
コラム「消費税増税のマイナスをカバーするのも金融緩和」と題して、デフレギャップが2%残っているので、消費税増税には、慎重にするべきという意見だが、決まった以上は、金融緩和で、対応することが大事だとしている。
第二部では、「TPPが創る日本を知る」と題して、20の質問を答えています。
Q21「TPPの利点と問題点は何か?」と題して、TPPに参加しないと、自動車や機械などの日本をリードしてきた産業が海外市場で不利になるとしているが、その一方で、農業は関税化が引き下がるので、不利になるとしている。しかし、例外はあるとしている。
Q22「なぜ自由貿易が国民生活を向上させるのか?」と題して、現代の国際貿易論の中心は、リカードの「比較優位説」であり、これを理解できない人は問題としている。また、日本は土地が狭いので、農業よりも工業製品の輸出で特化した方がよいのではないかとしています。
Q23「日本が参加する本当の意味とは何か?」と題して、急速に成長しているアジア市場が日本にとって大事であるとしています。また、小売りや公共事業にもチャンスがあるとしています。
Q24「なぜ早期参加が必要なのか?」と題して、安倍総理が言っているように、早期参加をしないと、ルール作りに遅れてしまうとしている。また、WTOの交渉が遅れているので、「TPPは、関税の自由化の唯一のゲーム」であり、参加する事は大事であるとしています。また、参加して、何を選択するかが大事としています。
Q25「TPPにおけるアメリカの狙いはそもそも何か?」と題して、アメリカはTPPに日本に参加してもらうことによって、より大きな市場を手に入れる事が出来る点と、国防という観点から、中国に対する防衛網という意味もあるとしています。
Q26「TPPとFTAの本質的な違いは何か?」と題して、TPPとFTAの違いは、多国間か二国間の違いであるとしています。韓国は、日本よりもFTAが先行しているので、日本が挽回するには、TPPで対応することが大事としています。また、中国もTPPも関心を寄せているとしています。
Q27「TPPで中国との関係はどうなのか?」と題して、GDPが世界二位の中国がTPPに参加すれば、「自由貿易圏の最終形」が見えてくるとしています。また、日本のTPP参加で、中国が動き出したとしています。
Q28「韓国がTPPに参加しない本当の理由とは何なのか?」と題して、韓国はこれまでFTAを進めてきたので、TPPはメリットがないので、参加していないとしています。また、韓国は中国に配慮しているからとしています。
Q29「TPPで日本経済の近未来はどうなのか?」と題して、安くなる輸入品で、日本経済にとって、TPPはGDPが3兆円のアップとしています。また、ニューズ・ウイーク誌では、GDPが10兆円アップとしています。
Q30「TPPがデフレを呼び起こす危険性はないのか?」と題して、「値下げ=デフレ」ではないということを主張しています。また、TPPで安くなった海外の製品が入ってきても、余ったお金で、他のモノを買えば、デフレにはならないとしています。そして、「基本的に物価を決めているのは、金融政策であること」を強調しています。
Q31「TPPで中小企業へのメリットはあるのか?」と題して、大企業が好調になれば、中小企業も好調に続けてなるとしています。また、中小企業の技術アップも期待できるとしています。
Q32「TPPは日本農業をどう変えるのか?」と題して、日本農業に大きな影響を与えるのは間違いはないとしています。価格設定で、打撃を受けるとしています。したがって、コストを引き下げ、競争力を農業は高める事が大事としています。また、日本は農業輸出国の5位なので、これから、さらに、農業を輸出産業していくことが大事としています。
Q33「農家への補助金は何が問題なのか?」と題して、米を保護してきた結果、自由貿易で競争することになると、壊滅の危機が叫ばれるようになったとしている。成長戦略「強い農業」の中身としては、TPPは、補助金を当てにする既得権益である農業を改革するチャンスとしています。安倍総理も、各地に農業集積の受け皿となる機関を作り、農業の所得を10年間で、倍増させるとしています。
Q34「TPPで食の安全は低下するのか?」と題して、食品の安全基準は、各国の独自判断としています。また、「ADIという基準」があり、各食品の基準がその国の消費量に応じて、決まるということであるとしている点である。これはTPPの良い点であるとしている。
Q35「TPPで医療はどう変わるのか?」と題して、国民健康保険制度は維持され、公的保険制度は、TPPの適用外としています。
Q36「TPPに参加すると、外国人労働者が増えるのか?」と題して、外国人労働者が増えるのは考えにくく、むしろ、雇用が維持されるとしています。
Q37「TPPで日本企業は外資に乗っ取られるのか?」と題して、心配されている公共事業を外資が乗っ取るという不安は、政府調達の分野では、すでに、日本は中央政府だと6億9000万以上、地方政府だと23億円以上の金額を超える公共事業は海外に開放されているとしている。したがって、狙ってくるのは、国であり、地方自治体は問題ないとしています。
Q38「TPPで日本の強みはどこに発揮されるのか?」と題して、TPPでは商品の基準が統一されるので、日本の自動車や家電の輸出が伸びるとしている。また、農業も海外の富裕層にいきわたる可能性があるとしています。その為、従来の強みを生かせた影響がある事と、農業などの国際競争力をつけさせる影響の二つがあるということがあげている。
Q39「TPPで日本が主張すべきことは何か?」と題して、サービス産業が実力を発揮するために、サービス市場のアクセスの改善について、日本は積極的に主張するべきだとしています。また、医療や国民皆保険制度は、守るべきだとしています。
Q40「TPPで日本の社会はどう変わるのか?」と題して、TPPによって、世界の三分の一の経済圏が生まれる可能性がある。また、日本だけでなく、アジア全体の枠組みが変わるとしている。さらに、中国やインドが加われば、さらに大きな経済圏が生まれる可能性があるとしている。最後に、TPPは1:日本にとって最後のチャンス。2:アメリカの言いなりになる事はない。3:懸念や不安には必ず対策があるとしている。
コラム「日本には輸出できる農産物がたくさんある」と題して、日本は全てを合わせる必要はないとしています。また、質のよい野菜などの製品を輸出することができれば、かなりの利益になるのではないかとしています。
あとがき「日本経済をボクシングにたとえると」と題して、日本は、安倍総理の前までは、弱いボクサーでカウンターにおびえた何もできないボクサーに似ているとしている。しかし、今、安倍総理によって、日本は、勇猛果敢なファイターになったとしている。
この人は、今、どう思っているんだろーか??
