平和を願うから軍事を学ぶ 神浦 元彰 さん(軍事アナリスト) | 東京リーシングと土地活用戦記

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平和を願うから軍事を学ぶ
神浦 元彰 さん(軍事アナリスト)

軍事評論家の神浦元彰さんに取材していた時刻、アメリカのブッシュ大統領がイラクへの攻撃を48時間後に開始すると演説した。
海の向こうで始まった戦争。
ミサイルや爆撃の派手な映像に目を奪われる前に、知っておくべきことがある。
アメリカはイラクが大量破壊兵器を完全に破棄したことを証明すべきだと非難し、それを口実に戦争を仕掛けました。通常の裁判では、被告に自身の無罪を立証する必要はないわけですから、常軌を逸した行動としか言いようがありません。
89年にアメリカと旧ソ連が対決する冷戦時代が終わって、各地で戦争は起きながらも何とか秩序は大きく崩れることなくやってきた。けれど、それが大きく変わったのは01年に起きた9.11の同時多発テロ。これでアメリカの戦争に対する考え方が変わった。独裁的な指導者によるテロで、アメリカは生物化学兵器などによる攻撃を受けるんじゃないか。そういう恐怖心にかられるようになり、「予防戦争」という考え方をするようになった。
つまり、実際に相手が攻めたり、敵対行動をしなくても、危険な指導者がいて大量破壊兵器を持っていると思われるような国なら先制攻撃を加えてもいい。「あいつは気に入らないからやっつけちゃえ」という考えだ。悪の枢軸とブッシュ大統領に呼ばれたイラク・イラン・北朝鮮がその対象。

実際、イラクが大量破壊兵器を持っているかどうか不明なまま開戦となりました。
今回のイラク戦争の大義名分は、危険な指導者であるサダム・フセインを倒して大量破壊兵器を完全破棄することに加え、親米で民主的な政権を樹立することだ。それによってアメリカは中東の石油を安定的に世界に供給し、影響力を行使しようとしている。その論理に従えば、イラクの次は北朝鮮となるかもしれない。国連がまったく無視されているけれど、アメリカの軍事力は世界でトップだから誰も止められない。2位から14位までの軍事力を足してもアメリカが上回っている。
けれど、予防戦争のような考え方が果たして許されるのか。そんな戦争をしていいのかどうかは、これから問われるね。この戦争が終わり、アメリカがイラクに駐留したとき何が起きるか。仮に10万程度のアメリカ軍が駐留したとして、アラブ諸国はどうそれを見るだろう。やはり「アラブの石油を盗んでいる」「アメリカはイラクにイスラエル寄りの国をつくろうとしている」。そういう認識になってくると思う。アメリカが唯一負けたベトナム戦争の時は、国際テロは起きなかったけれど、今度の戦争終結後、そういうテロが発生するかもしれない。
考えてみれば、ブッシュは「イラク国民の解放のため」と言っているけど、異教徒が勝手に傀儡政権を立てて国をつくるのは、新植民地主義と非難されても仕方ない。ニュースを見る高校生もそういうことを頭に置いて見て欲しいよね。

砲弾が飛び交う映像は報じられても、政治や軍事面から戦争を冷静に判断する知識が報道されることはほとんどありません。
今まで日本人は戦争や軍事を遠ざけてきた。自分たちの周りに軍隊や兵器を置かないことで平和になると思ってきた。だから大学でも軍事理論とか軍事学を勉強する機会はほとんどない。国際関係論で少し学べる程度で、専門家もあまりいない。
けれど「自分は戦争は嫌いだから軍事も嫌い」といった考え方は通用しなくなってきた。なぜアメリカはイラクを攻め、北朝鮮を攻めようとするのか。大量破壊兵器はなぜそんなに怖いのか。なぜアメリカやフランスは大量破壊兵器を持っていても非難されないのか。そういう問題を考えようとしたら軍事の知識なしにはいられない。
今後20、30年と軍事的にアメリカの天下が続くでしょう。圧倒的な軍事力にどこもついていけない。だからイラク戦争後、駐留するアメリカ軍も3万くらいで足りるかもしれない。無人偵察機が空を旋回し、ボタンを押せばミサイルが命中する。そういう技術を持っているのはアメリカだけ。けれど、そういう圧倒的な力を持つアメリカと今後どう付き合うか。それを考えるのも軍事知識があってこそです。
軍事知識は、現状分析だけでなはない?
いまのアメリカに誰も逆らえないからといってそれが続くかどうかはまた別の話。アメリカのハイテク機器は、敵の弾が届かないところから発射するには絶対的に優位だけど、例えば市街戦になったらどうか。市街戦では互いの距離が50~100mくらいで撃ち合うけれど、アメリカは自国民が死ぬと大統領支持率も急激に下がるから、無理な戦闘はさせない。だからハイテク機器が発達していても、接近戦には弱い。おまけにテロに弱いことも9.11でわかった。
そういうアメリカの弱点を衝かれ続けたら、ブッシュのいう予防戦争は果たして長続きするかどうか。高校生にも、そういう話ができるようになってほしいね。「平和大好き」と言って平和が得られる時代ではなくなってきたんだから。
僕は若いときに自衛隊の少年工科学校にいたけれど、そもそも自衛隊に行く人間は、「日本人じゃない」とか「平和の敵」「憲法9条を踏みにじる存在だ」と言われたもんだよ。でも憲法九条は大事だし、守らないといけないと思っている。9条は日本の最大の武器だし、これを捨てたらもったいない。そう思って軍事を勉強してきたけれど、左翼からは「自衛隊のスパイだ」と言われ、自衛隊からは「あいつは自衛隊を探るスパイだ」と言われた。今は逆で、どちらも意見を聞きに来るけどね。

イラク戦争に対する日本政府の対応で問題だと思うところはありますか
小泉首相は外交を知らないだけでなく、軍事力の持つ意味もわかっていない。イラクや北朝鮮の体制を見ればわかるとおり、戦争が起きなくても、政治で民衆は死ぬ。軍事と政治は一体化しているものだからだ。そのことに鈍感だから、何でも話し合いでうまくと思っている。それでうまくいかないときはどうするのか?今までは、それで平和が保たれていた。だから、あの小泉首相の姿勢こそが「日本」だとも言える。
それにしてもイラク戦争はアメリカの起こした戦争にすぎないのに、アメリカは戦後復興の資金を日本に負担させようとしている。冗談じゃないよ。長年、フセイン政権にカネを渡して、支えてきたのはアメリカなわけで、なんでアメリカの傀儡政権樹立のためにカネを払わないといけないのかね。

イラク戦争に限らず有事立法(注)など、日本も戦争に自主的に加わる体制づくりをしているという懸念が囁かれています。
(注)日本が外国の軍隊などによって侵略された場合、防衛に当たる自衛隊とアメリカ軍の戦闘行動を円滑に進めるための制度。施設管理、土地使用、住民避難など幅広い分野にわたる。
日本は外国と戦争して、問題を解決するような戦略をとっていないよ。それに派兵に必要なだけの輸送艦や爆撃機、空母もない。日本が戦争の準備をするとしたら、外国が日本を攻めたらの話だけど…、でもどこが攻めてくるの?北朝鮮が攻めてくると言うけれど、見当違いの話だよ。
あの国が盛んに戦争の危機を煽るのは、あくまで国内向け。食糧や燃料が不足して、国民に動揺が走っているのを抑えるためにすぎない。戦争なんか起こすはずがないのは、アメリカに不可侵条約の締結を持ちかけているでしょう?あれはアメリカに体制の存続を認めて欲しいって言っているわけで、そのためのカードとして、ミサイルと核を持ち出している。
だから戦争だと言って緊張を高めているのは、日本に対してではない。それに日本は反応している。北朝鮮に最も近い韓国は動揺しているかい?実戦経験のある韓国は、そういう脅しに慣れているから全然相手にしていない。日本はそういうのがわからないから、やたらと驚いている。
とにかく海を渡って日本を攻めてくる軍事力を持った国はないし、日本を攻める理由を持った国もない。中国だって日本と戦争するよりも日本から資本を導入して発展し、地域格差を是正するのを期待しているわけだから、攻める必然性はない。そういう話を知った上で、有事法制の話をすればいいのに、漠然と「もし攻められたら」と議論しているからつまらない。

ところで神浦さんが軍事評論家となったきっかけはどういったものだったのですか。
僕は家が貧しくて高校へ行けなかった。自衛隊の少年工科学校に行けば、給料もくれるし、勉強もでき、飯も食べさせてくれると知った。これはいいと思った。でも、もっと自由に勉強したいと思い、大学進学のため3年次に辞めた。それからは定時制高校に通いながら新聞配達をし、お金を貯め始めたんだけど、当時はベトナム戦争が激しい頃で、戦争反対という気持ちが高まってきたんだね。そこで報道カメラマンになろうと思ったわけさ。
戦場を目指しているうちに、戦争の表面だけでなくもっと深いところを知るには、軍事を知らないとだめだと思い始めた。それで勉強を始めたわけさ。
もともと僕は広島うまれの広島育ちで、お袋は被爆者だから原爆や戦争を身近に感じてきた。それに戦場で被害者を見てきたし、自衛隊にいた経験から兵士の視線に立つこともできた。ベトナム戦争時は、日本にいたアメリカ軍人とも知り合い、彼らが怖がっていた様子を間近に知った。そういう経験で養った目線を活かしたいと思った。だから、どこかで勉強したとか、誰かに教わったのではなく、ほとんど独学だね。独学でもできるものだと思うよ。
独りで学ぶというのは、精神的にタフでないと務まらないですね。
定時制高校に通いながら新聞配達をしていたとき、交通事故で意識不明になったことがある。そのとき気づいたのは、「いま生きているのは儲けものだ」ということだった。その頃、周りは受験勉強一色で、とにかくいい大学へ行き、いい企業に就職するのがすべてと考えていた。
ところがそういう経験をしてから、大学へ行くのをすっぱり辞めた。自分が実は受験勉強に逃げていたことに気づいた。それからは、きちんとした生き方をしようと思い、写真の勉強を始めたんだ。
周りから見れば、無駄だと思えるようなことをいっぱいしたよ。八百屋の店員からタクシーの運転手、警備員もやった。ホント30歳くらいまではほとんど食えなかったね。確かに自分でも「これは無駄じゃないかな」と思うことはあったよ。でも、どんなことでもいつかはそれが無駄でなくなるときがある。
だから高校生に言いたいのは、親は「無駄なことはやめなさい」と言うかもしれないけれど、そんなときも自信を持って挑戦してほしいね。それがいつか無駄でなくなる日が来ると思うからね。

Motoaki Kamiura
神浦 元彰
軍事評論家。日本軍事情報センター所長。1949年広島県うまれ。陸上自衛隊少年工科学校入校、3年次に中退。以来、世界各地の紛争を報道。主な著書に『北朝鮮の最終戦争』(二見書房)、『裸の自衛隊』(宝島社)など多数。
■日本軍事情報センター

軍事ジャーナリスト・神浦元彰さんです!★>

≪今日の最も気になるニュース!≫

①『第89回箱根駅伝!日体大が、26年ぶりに往路優勝!』
→「箱根駅伝速報」を伝えてくれる、
ニッポン放送スポーツ部・山内宏明アナウンサーに、
お電話でいろいろと伺いました!

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≪「神浦元彰さんと送る今日のニュース!」≫

①『防衛省、陸海空一元化「統合防衛戦略」に着手!』
②『金正恩第1書記が新年演説「経済強国建設」を強調!』
③『国連調査でシリア内戦死者、6万人を超えたと判明!』
④『キム・テヒ所属事務所 RAINとの交際認める』

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≪9時の情報袋とじ≫
『こんなにスゴイ! 日本の防衛戦力!』

防衛省が10~20年後の有事シナリオを練り、
シナリオに基づきり、陸・海・空、
3自衛隊の防衛力防衛力を一元的に整備する、
「統合防衛戦略」の策定に着手。

こうしたシナリオが、実際の効力を持てるものなのかどうか?
日本の防衛戦力は、どこまで実力があるのか?
神浦さんにうかがいました!

<最新鋭無人偵察機グローバルホークのココが凄い!>

防衛省が、平成27年度までの自衛隊の規模や装備を示した、
中期防衛力の整備計画を見直す際に、
米軍の最新鋭無人偵察機グローバルホークの導入
明記する方向で調整に入ったそうです。

神浦さんによると......、
★高性能カメラや高感度の通信傍受機能を備えて、
 「飛び回る諜報衛星」と呼ばれる。

★この高性能カメラは、
 東京から名古屋のとある交差点にある車がどんな車か
分かるくらいスゴイもの!

★高性能のセンサーやレーダーで、
不審船などの情報収集・監視活動を
広範囲に行うことも可能。

★韓国政府は、アメリカから地上システムを含め、
4機購入するそうですが、その総額は、1000億円。

この偵察機があれば、他国の領空に侵犯せずとも、
偵察が可能
となるそうです。


ツイッター2014.2.21

神浦 元彰
‏@kamiura_jp
「中国軍と自衛隊の軍事衝突が起きる」と話して欲しいとテレビ番組のスタッフから電話。今回は中国軍の未熟を指摘し、「あえて危機を煽ることは出来ない」と断ると、そのように話せる人を紹介して欲しいと聞かれた。またか。どうしてテレビは戦争をさせたいのか。明日は日中戦争が始まると放送なのか。


2014.02.21
 「中国軍、尖閣奪取を想定」 米軍大佐、昨秋の演習分析 
カテゴリ中国軍出典 朝日新聞 2月21日 朝刊 
記事の概要
米海軍の大佐が、中国軍が昨年秋に実施した大規模な軍事演習について、日本の自衛隊と激しい戦闘を繰り広げた末、尖閣諸島や沖縄の一部奪取を想定したものだったと分析していたことが明らかになった。

こうした見方を示したのは、米太平洋艦隊の情報部門を統括するジェームズ・ファネル大佐。今月13日に米カリフォルニア州で開かれた中国に関するシンポジウムで語った。

それによると、中国軍の演習は従来の台湾を取り戻す任務に加え、海上での実戦をより強く想定するようになったと指摘。

昨秋に中国南部などで陸海空軍が参加して行われた演習について、「上陸作戦などを含む大規模なもので、東シナ海で短期で激しい戦闘により日本の部隊を壊滅させる任務が加わり、尖閣諸島や琉球諸島南部を奪取すると想定しているとしか考えられない」と分析した。

米太平洋司令部報道部は朝日新聞に「(大佐は)公式発言として述べたのではなく、公の資料などをもとにした個人の意見だった」と述べた。
コメント
太平洋戦争で日本が支配した南方の島を、米軍が攻撃・占領したのは、日本軍が島を要塞化して滑走路を整備し、戦闘機や攻撃機を配置して日本の絶対防衛圏を設定したからである。

日本軍は南方の島々に航空戦力(魚雷や爆弾)、連合艦隊の海上戦力、それに潜水艦隊の戦力を合わせて、日本本土防衛の絶対防衛圏を作り上げていた。

だから米軍は航空母艦の戦闘機や攻撃機、戦艦や巡洋艦などの艦砲射撃、それに米海兵隊を上陸させて日本軍が要塞化した島を奪い、その滑走路を活用して日本本土爆撃の基地にしたのだ。

それが日本軍と米軍が南方の島で戦った理由である。

このような島嶼を敵から守るためにも、逆に島の敵を攻めて占領するためにも、それぞれ戦略という大きな戦争目的がある。

しかし尖閣には、日本が戦闘部隊を配置して守る必要も、中国軍が攻めて占領する目的もない。尖閣戦争論はたんなる感情論で、想像で戦争ごっこをしているだけの話だ。

もし中国軍が日本の南西諸島を軍事占領する必要(戦略性)を感じるなら、それは沖縄本島と宮古島の間(約300キロ)を確保して、自由に東シナ海から太平洋に出られる航路を支配したいだけだ。

これを日本の立場でいうなら、中国軍を東シナ海から西太平洋に出さないために、沖縄本島と宮古島の間を軍事的に閉鎖できる戦力を配備することによって、中国軍が軍事的な冒険を侵さないように抑止するのである。

軍事的(戦術的)な面でいうと、宮古島を守るために石垣島に部隊を配備して連携して守る必要がある。もし石垣島を失えば、宮古島を守ることや攻めることもできないからだ。

さらに過去の台湾有事で考えるなら、中国軍にとって石垣島は台湾侵攻の側攻になり、中国大陸から台湾海峡を突く中国軍の主攻を助けることになる。

そのためには、中国軍は石垣島から台湾に攻め込んで、中台正面の背後(あるいは側面)を突くことが必要になる。

そのため台湾有事では、米軍の在沖海兵隊が石垣島に展開して、中国軍の侵攻に備える体制をとっていた。その場合は、石垣島を守るためには、宮古島の占領と部隊配備が必要で、石垣島と宮古島はセットで考える必要があったのである。

米海兵隊の台湾防衛(有事)は石垣島を軍事拠点にして行う戦略だった。

そのような考えでいくと、今回の中国軍の大規模演習では、南シナ海の中国軍要塞(レーダー基地など)を占領され、それを中国軍が奪還する想定であったように思う。

それも相手に想定したのはフィリピン軍やマレーシア軍で、アメリカ軍という想定は出来なかったと思う。中国軍は米軍を相手では島の奪還は無理であるからだ。

そういう軍事常識でこの大佐の話を読むと、中国軍の大規模演習の場所を尖閣や南西諸島ということで、日本の南西諸島防衛戦略に正当性を与えたい気持ちが読み取れる。

しかし尖閣といったところで、この話(演習場所)の本質が南シナ海という想定であると告げている。だから「公式の資料をもとにした個人の意見だった」わけである。

もうそろそろ尖閣を日中の戦場に想定する話をやめないと、これからは恥をかく時
である。


「中国軍と自衛隊の軍事衝突が起きる」と

話して欲しいとテレビ番組のスタッフから電話・・

ひどすぎる・・