JIS製造者記号とOEM製造元
コンビレンチとスパナをコレクションしていますが、珍しい物を見つけた時に『誰が作ったんだろう』と製造者を解き明かすのを楽しみのひとつにしています。
JISでは必ず製造者または製造者を示す記号の表示を義務づけています。
したがい、OEM供給した商品の製造元を確認したい場合に、JISマークが入った商品であれば、製造記号より製造元が分かります。
今回は、"公になっている"こと、つまり『JIS等の公開資料』と『商品現物の表示』だけを情報源として製造元を明らかにします。
("公になっている"以外の推察や憶測、業界裏情報は一切含めません)
製造メーカー同士の生産委託などでは、これまで製造元を書くことを控えてきました。
しかしながら、『"公になっている"情報だけから分かることであれば、それは"公"と同等』との考えに基づき書くことにしました。
1.JIS認証と製造記号
『日本規格協会のJIS認証企業一覧』と『各企業の公開情報』、ならびに『商品に刻印されている製造者記号』を基に、スパナとコンビレンチに関する一覧表を作りました。
上表の通り、JIS認証の最初10年間の記録が公式に残っていないため、『失われた10年』と勝手に名付けています。
企業自身から得た情報を追加しても1954年~1962年が完全な空白期間になっています。
この期間はJISが認知され始めた頃ですので、多くの企業がJIS認証取得に興味を持っていたはずです。
例えば、大阪鍛工の場合では、1960年前後製と思われる
を伴うJIS認証商品が多く存在しますので、この『失われた10年』の時にJIS認証を取得したのだと確信しています。
したがい、JIS認証を取得した企業は、実際にはもう少し多いと考えています。
☆2022年4月3日追記:上記の推測は当たっていました。
『"JIS+1967~1980"って何?』にて新情報を基に作り替えた一覧表と入れ替えます。
なお、2005年から新JIS(JQA)が採用されていますが、コンビレンチで追いかける限り、意外にも認証を受けているのは3社だけです。
2.OEMブランド別の製造メーカー(JIS無しも含む)
製造記号より製造メーカーが判明した商品を以下にまとめます。
なお、形状が同一であることから製造者が分かる場合も含めています。(製造者が公になってはいなくとも、"公になること"を前提として商品化したと理解)
以下、ブランド毎にまとめますが、各ブランドの商品詳細については、当ブログのブランド別目次ページのこちらを参照願います。
1)工具メーカー(他メーカーへ生産委託)
TONE
TONEはスパナで1964年にJIS認証を取得していて、同年の1964年から1975年まで第1世代スパナが販売されていますが、全ての生産はTONE自身が行っていました。
第2世代は、ロングセラーとなり、販売期間は1968年~2013年でした。
第1世代に引き続き第2世代も当初は自社生産でしたが、1980年頃から別の製造者を示す製造者記号が登場しています。
↑第1世代(左側)と第2世代(右側)
JIS-S認証モデルであり、JISが表示指定している製造者記号がKBであることから、小林工具製作所製と分かります。
製造記号の後半"994"から1999年4月生産と思います。
新JISであるJQA認証を取得したモデルであり、製造者記号がHKであることから、平松工業製と分かります。
製造記号後半の"134"より2013年4月の生産であり、最後期の生産と思います。
現在も販売されている第3世代スパナではJIS認証を受けていませんので、製造者を示す記号を表示する必要も無くなり、どの様に生産されているのか分かりません。
なお、TONEは非鉄のコンビレンチとして、チタン製(2003年~現在)、ならびにステンレス製(1991年~現在)がラインナップされています。
共に"I"から始まる4桁の製造記号が刻印されています。
後半3桁は製造年月と思いますが、最初の"I"は製造者を示しています。
"公になっている"という観点では"I"がどの製造者を示すか公開されていませんので、本ページでは触れません。(過去にも触れたことはありませんが)
なお、JISに登録されている"I"は池田工業
ですが、TONEの"I"は別会社です。
非鉄の鍛造を得意としている"I"で始まる企業を探せば分かると思います。
チタンモデル、"I05X"より2005年10月生産と分かります。
月表示…1月~9月、X(10月)、Y(11月)、Z(12月)
ちなみに、TONEは高級ミラーツールとしてFINE TOOL(1991年~2010年)を販売していましたが、これも同じ形の"I"から始まる4桁製造記号が刻印されていて、同じ生産工程になります。
SUNKEY/北陽産業
by 小林工具製作所(製造者記号"KB"より) with JIS
MITOLOY/水戸工機
↑by ダイヤ工業(製造者記号"DIA"より) with JIS
↑by 池田工業(製造者記号
より) ※読み取りにくい刻印ロゴですが、○に"I"です。
↑by 相伍工業(製造者記号"AI"より) with JIS
HIT/東邦工機
by 小林工具製作所(製造者記号"KB"より) with JIS
by 平松工業(製造者記号"HK"より) with JQA(新JIS)
このページの表題(ロゴ写真群)として1本だけ現物の商品を載せることにして、ブランド名とJISマーク、製造者記号の3つが同じ面に刻印されている物を探したところ、何と条件に一致するのはこのHITだけでした。
LOBSTER/ロブテックス
by KTC (形状同一性より)
Ko-Ken/山下工業研究所
↑by KTC (形状同一性より)
↓次の世代はイタリアBETA製
2)一般工具商社
工具商社の工具は全てがOEM供給品ですが、製造元が公になってる商品は意外に少ないです。
新潟/燕三条内のメーカーと工具商社間でのOEMが多くなっています。
HERO/三共コーポレーション
HAKUBI/アークランドサカモト
A.C TOOL/相忠
AMON/エーモン工業
【参考】 RICK TOOLS/六甲社
Snap-onの総輸入元であった六甲社が、Snap-onとの契約終了後に立ち上げたブランドです。
『京都の工具メーカー製』とネットでは周知の事実として語られていますが、OEM製造元に関する"公"な資料を見つけられていませんので、参考としてのみ掲載します。
3)工具共同組合
by AIGO/相伍工業(ALUTOOLのパンフレットより)
実験的な商品(未販売)であり、またアルミ合金(JIS硬度規格不足?)なので、JIS無しです。
4)自動車整備機器商社
バンザイ
by KTC (形状同一性より)

by 昭和スパナ(会社ロゴ
より) with JIS-H/強力級
ニッサルコ(現アルティア)
by 昭和スパナ(会社ロゴ
より) with JIS-S/やり型
安全自動車/SAFETY
5)自動車メーカー
掲載が膨大になり、AMEBAブログの容量制限を超えてしまいましたので、自動車メーカー編は別ページに移動させました。

※画像にはリンクを貼っていませんので、アンダーライン文字のリンクを利用願います。
6)二輪メーカー
自動車編と同じく、二輪編も別ページに移動させました。

7)産業機械メーカー
ヤンマー
↑by 三木ネツレン(会社ロゴ"NETSUREN"より) with JIS-H/強力級
三菱メイキ
by 大阪鍛工(製造者記号
より) with JIS 1978年製
三菱メイキ=三菱重工メイキエンジン(株)、三菱重工グループ内のエンジン製造会社
シバウラ
by ASH/旭金属工業(製造者記号
より) with JIS-N
シバウラ=石川島芝浦機械(株)…ヤンマー等へ農耕機をOEM供給
ブランド表示が無い珍しいケース。(メガネレンチにブランド表示あり)
豊田自動織機"G"型の整備工具。
8)自転車整備工具メーカー
畑屋
by 一重丸京/京都機械(形状同一性より)
9)アパレル
by 平松工業 (形状同一性より)
服(Men's Bigi)を購入すると付いてきた販促品です。
10)海軍 & 自衛隊
ゼロ戦
赤トンボ (九三式中間練習機)
航空自衛隊
★海外ブランドへのOEM供給
日本の工具メーカーは1990年代まで海外ブランドへも多くのモデルをOEM供給していましたが、海外向けに関しては別ページの海外OEM編 輸出全般、KTC、AIGO、平松工業 をご覧下さい。

【参考資料】
☆資料-1
2001年4月18日付け日本規格協会ホームページより(Internet Archiveの過去ログ)
このページの『B027スパナ類』にB4630スパナやB4651コンビレンチ等の認証詳細が載っています。(以下に抜粋して掲載) ※表内のB4632はメガネレンチ
上表の『認定年月日』は、商品認定日では無く、工場認定日が載っている場合があります。
そのため、企業自身のホームページで商品のJIS認証取得日が説明されている場合は、第1項の一覧表では企業情報を優先させて記載しています。
☆資料-2
同じく日本規格協会の認定工場一覧には略号(製造記号)が具体的に掲載されています。
表内で『略号』として表示されているのが製造者記号になります。
















































