KTC-26
豊田自動織機スパナ by KTC
2022年2月3日追記
社章の詳細写真を手に入れました。(このために『40年史』768頁を入手)
確かに『ト』が4っで、『自』の下側が船底の様に下向きに三角形なっています。
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実家が織物業を営んでいた方からKTCマークの入ったスパナ群を譲って貰いました。
約70年前、KTCから豊田自動織機(株)に整備用工具としてOEM納入された商品です。
楕円KTCロゴが1953年に商標登録申請されてから豊田自動織機の整備対象機器が生産を終える1959年まで6年の間での納入になります。
表面には品番と思われる『G NO xx』の表示しか無く、OEM供給先を示す会社ロゴが無い珍しいタイプです。
また、両口スパナと共に片口スパナもありましたが、私が知る限りKTCのカタログモデルには片口スパナは無く、非常にレアな商品と思います。
メガネにだけ会社ロゴと思われる菱形マークが刻印されていたため、なんとかOEM先を探り当てることが出来ましたが、けっこう壮大なナゾナゾでした。
ちなみに、表面に刻印されている『G』は、豊田自動織機のG型を表しています。(業界では有名な名機とのこと)
乗り物系の工具では無く、またスパナには供給先の会社ロゴも入っていませんので、地味な存在になりますが、KTCコレクターとして極上の珍品を手に入れることが出来たと思っています。
1.両口スパナ
表面には『G NO xx』とサイズ(インチ)しか刻印されていません。
豊田自動織機G型に使用する工具番号を示しています。
裏面に楕円KTCのロゴが入っています。
KTCロゴが裏面に入っているのは、典型的なOEM商品の印です。
スパナ形状がほぼ真ん丸なことから、KTC初期の製品であることが分かります。
調査結果より、豊田自動織機G型は1959年に改良型のG3型(ミリねじ仕様)にモデルチェンジされていますので、楕円KTCが商標登録出願された1953年から1959年までの間に生産されたスパナ群であることが分かります。
1/4から7/8インチまでの両口スパナ群。(『NO 7』が抜けていますが)
ちなみに、豊田自動織機は戦前からの織機で、戦前はインチねじ仕様だけでしたが、戦後はインチ仕様と共にミリねじ仕様も登場したとのことです。
ただし、豊田自動織機を以前から使用している業者の方々は、整備工具が複雑になるのを嫌い、従来のインチ仕様を選択することが多かったようです。
2.片口スパナ
1インチを越える大型の片口スパナです。(1+5/8インチ≓40ミリ)
片口スパナは当時からネツレンや旭金属が得意としていましたが、自動車整備機器指向が強いKTCに産業(工場設備)向けの大型片口スパナがあるとは思いませんでした。
OEMならではのことと思いますが、片口スパナはカタログモデルには無く、珍しい存在です。
これも『G NO xx』と楕円KTCだけの表示です。
2本入手。
3.メガネ
メガネにだけ表面に会社を表すと思われる菱形マークが入っています。
菱形の中に文字が入れてあり、これが『三』なのか『百』なのか、はたまた『自』なのか判然としませんでした。
結論は、自動織機の『自』で、菱形はカタカナの『ト』4つを菱形に囲んでいて、『ト』が四つ(ヨッツ)で『ト・ヨ』を表し、全体で『トヨ自』⇒『豊田自動織機』を示しています。
1926年の創業から1987年まで60年以上に渡り使用された豊田自動織機の社章とのことです。
ちなみに、『自』の一番下の横線が真っ直ぐでは無く、船底の様に下に向けて角張っているため、『自』とは読めずにいました。
ちなみに、この変形した『自』がオリジナルだそうです。(理由は不明とのこと)
メガネも2本手に入れました。
4.TOYODA オリジナルスパナ
これも豊田自動織機の整備に使用していたというまさしく『TOYODA』と刻印されたスパナです。
こちらにも『G』が刻まれていますので、G型用と思います。
製造メーカーを示す記号等が入っていないので、製造元は不明ですが、『TOYODA』の刻印より豊田自動織機が納入時から付随されていたオリジナル工具では無いかと推察します。
ちなみに、豊田自動織機は1987年に社章が変わる時まで、創業の豊田家と同様に『トヨダ』と読んでいました。
5.豊田自動織機向けと分かるまで
① 裏面の楕円KTCマークよりKTC製のOEM供給品であることはすぐに分かりましたが、豊田自動織機の整備に使っていたものの、専用工具なのか一般汎用工具なのか分からずにいました。
まっさきにKTCに確認しましたが、創業当時のOEM記録が残っていないとのことで、いつもは明快な答えを頂けるものの、今回は全く不明とのことでした。
② スパナ群を譲っていただいた方と何回か交信をしている中で、実家にあった豊田自動織機は古いG型と改良されたG3型だったことを思い出して頂き、『G』は豊田自動織機の『G型』を表すと確信するに至りました。
③ 現在の『トヨタ自動織機』に直接問い合わせメールを出すも、なしのつぶて。
『トヨタ産業技術記念館』にG型とG3型の豊田自動織機が展示されているのをネットで見つけ、最後の望みと電話をしてみたら、ビンゴ。
全てが判明しました。
豊田家(豊田佐吉)が豊田紡織(株)を設立したのが1918年で、その時の社章は上写真の通り『ト』が4つに『タ』で、まさしく『ト・ヨ・タ』。
『なぜトヨにダじゃないのですか?』と聞いたところ、『何故でしょう??』とのことでした。
この後1926年に豊田自動織機が創業となり、『ト』4つが継続採用されて、『トヨ自』に。
調査を始めた当初は菱形と『三』に読めたことから、豊田自動織機の設立に三井が大きく関わった?、または三井系の工具会社があったのかとも考えていました。
三井系会社ロゴは俗に"井桁"マークと呼ばれていますが、井戸の『井』に『三』で『三井』だったのですね。
『井』が横に長い菱形では無く、傾いているものの井桁と呼ばれる通り正方形の井戸の形です。
同じ菱形ながら、『ト』が4つと、"井桁"は全く違うロゴでした。
【参考】 豊田自動織機について
自動織機の製造会社として1926年に創業されていますが、1935年にG1型トラックを生産した自動車メーカーでもありました。
1937年に豊田自動織機から自動車部門を分離し、設立されたのが今のトヨタ自動車です。
↑G1型トラック
★豊田自動織機G型
1925年に製造が開始された『完全な無停止杼換式自動織機』。
画期的な織機だったようで、戦後になってからも製造が継続され、次期型のG3型が登場する1959年まで現役でした。
通称、『黒いの』。(スパナ群を譲ってくださった方の表現)
・稼働中の動画 YouTube
★豊田自動織機G3型
G型に対し厚地でも織れるように改良したのがG3型とのこと。
今でもネットを見ると『G3型で織ったデニム生地』と誇らしげに記事が出てきます。
G3型は、インチねじから決別し、ミリねじ仕様だけになっています。
通称、『緑色の』。
★トヨタ産業技術記念館
繊維機械や自動車などのもの作りを紹介するトヨタグループの施設です。
コロナが終息したら、お礼を兼ねて1度訪れたいと思っています。
ホームページはこちら。
初稿:2022年1月26日
この回、終わり
















