ヘッジファンドが力を持ってるのが株の常。
がっ!
リーマンショック後、コロナ禍で、クズ株買い集めた小口投資家たちが、ヘッジファンド叩き潰そうとした実話
実際のニュースこちら
マニアな投資の知識は要らんのですが、観る前に最低限の金融知識は要ります。
『マージンコール』、 『マネー・ショート~』、など、ここ数年の金融危機に関する映画一発で理解できないと難しい映画…です。
いや~!面白かった!
空売りで儲けようと企むヘッジファンド億万長者がアタフタする冒頭数分ナイスww
金融に興味があり『電車男』と『スイミー』を信じる人向け。
ミーム株に全財産つぎこむアナリスト・キースを演じるのは『ルーパー』 『ルビー・スパークス』のポール・ダノ。
『顔が好みじゃないけど出演作7割当たる人(こら)』
この写真、『ルーパー』の時が良かったな~…今回はコレと正反対でござる。
キースの妻キャロラインを演じるのは
『ダイバージェントシリーズ』のシェイリーン・ウッドリー
自社株賭けてみようかね~→金持ちになっちゃったwな、ゲームストップぺーぺー店員演じるのは, 『イン・ザ・ハイツ』のアンソニー・ラモス
キースに屋台骨を崩されるメルビン・キャピタルのラスボス、プロトキンに 『スティーブ・ジョブズ』 でウォズを演じたセス・ローゲン
プロトキンの金融アドバイスをし、現在進行中で日本に投資する米大手ヘッジファンド・ポイント72のラスボス、コーエン役に
『フルメタルジャケット』の怪優ヴィンセント・ドノフリオ。
原作は『ラスベガスをブっつぶせ』のベン・メズリックが書いた著書。
…ベン・メズリック金融バクチモノに強い感がある…
そんなワケで予告編こちら、あらすじ行ってみる。
時は’20年、コロナ禍真っただ中の米マサチューセッツ州ブロックトン。
マスミューチュアル生保金融アナリストのキース・ギル(ポール・ダノ)は、妻キャロライン(シェイリーン・ウッドリー)、幼い娘(レイナ、メイソン・エデン二役)と3人で暮らしている。
リモートワーク中のアナリストは表の顔。
裏の顔は、ネット掲示板Redditのフォーラム『WallStreetBets(WSB)』で、赤いハチマキに猫T姿の『ローリング・キティ』
株について独学で学び、フォロワー向けに株式投資の動画を配信していた。
副業兼楽しみとして始めた株式投資に対し、妻キャロラインは暖かく見守ってくれるが、両親や弟は怪訝そうな顔をする。
キースが、大学を卒業した頃はリーマンショック直後。
大学で会計学を専攻し、証券会社、投資会社に履歴書を片っ端から送ってもかすりもしなかった。
やっとのことで採用されたのが今の会社だった。
リモートワークで体が怠ってはいけないと思い、暇をみつけては陸上トラックで走る日々。
父親スティーヴ(クランシー・ブラウン)は建築士、母エレーヌ(ケイト・バートン)は看護婦と堅実な家。
姉のサラが自慢だったが、サラは新型コロナで亡き人になってしまい、キースの弟でプー太郎同然のケヴィン(ピーター・デヴィットソン)は人に迷惑をかけてばかり。
ファストフード宅配の仕事と言えば聞こえがいいが、親の車を業者代わりに使い、宅配中の食べ物をつまみ食いする悪行を繰り返していた。
そんな状況下でキースが考えたのが、
全財産5万3000ドル(791万)を、実店舗でゲームソフトを売ってるゲームストップ株につぎ込むこと
オンライン配信、ダウンロードに押され、化石化状態、倒産秒読みの実店舗ゲームソフト販売会社。
何でどうして??好きだからって理由じゃないよね???
大手ヘッジファンド・メルビンキャピタルは、ゲームストップなんざツブれるわwwwと株価下落を見越して空売り構成をかけていた。
キースがゲームストップ株に注目しだした頃、メルビンキャピタルのラスボス、プロトキン(セス・ローゲン)は、フロリダ州マイアミにある、だだっ広い豪邸にテニスコートを作れるかどうかでモメていた。
庶民から巻き上げて中小企業をツブした金で、てめえのテニスコートができるのか、クソめqqqqq
プロトキンは、ゲームストップ株の空売りをすべきかどうか、同じ米大手ヘッジファンドである、ポイント72のラスボス・コーエン(ヴィンセント・ドノフリオ)に電話をすると、いいんじゃないかとゴーサインが出たので、追加空売りをした。
なめんじゃねぇぞ億万長者ヘッジファンドめ。
キースが何者かもしらない、HN『ローリング・キティ』としか知らないネット民が、キースの主張に賛同しゲームストップ株を買いだした。
コロナ禍で2人の子供を抱え息苦しい生活を送るシングルマザーの看護婦ジェニー(アメリカ・フェラーラ)、テキサス大に通う同性カップル・ハーモニー(タリア・ライダー)、リリ(マイハラ)、
ゲームストップ店員のマルコス(アンソニー・ラモス)も、店長ブラッド(ディーン・デハーン)のパワハラのウサばらしに買っていた。
時は'20年のクリスマス。
じりじりと上がり始めていたゲームストップ株の数値報告を前にしてキースはライブ配信を行う。
キース自身、ウォール街相手に、ここまで反撃できれば良いほうじゃないか、そう考えていた。
がっ!
年明け、'21年1月、トンデモなことがおこっていた(ガビーン)
株価まさかの大暴騰
『株って何?食えんのwwww』、『ゲームって店で買うモノじゃねーだろqqq』と考えてた世代が、投資アプリ『ロビンフッド』を通じて ゲームストップ株を買い始めたのだ。
ジンバブエかと思うようなハイパーインフレ状態の株価暴騰に驚いたのはキースだけじゃない。
大量の空売りでウハウハだった『はず』のプロトキンは正月早々コーエンから『株価をチェックしろ』と言われ青ざめる。
日に日に暴騰し、損失額がン十億ドル単位で膨れ上がるメルビン・キャピタル。
ゲームストップ株の取引だけで、東京証券取引所全体の取引額を超えてしまう(唖然茫然)
含み益が4700万ドル(70億2700万ドル)になっても売らず『売らないのは正気か?』と家族、ネット民に揶揄されながらも、保有しつづけていた。
彼らが意見交換に使っていたWSBが突然アクセスできなくなった上、ロビンフット上で株の売買ができなくなった。
株を購入したうちの1人が職務質問で不具合があったらしい。
これをきっかけにパニック売りが発生。
株価は暴落し、ロビンフッド共同創業者ブラッド・テネフ(セバスチャン・スタン)は個人投資家を裏切ったと非難殺到。
ロビンフッドとメルビンキャピタルの資金提供に関与していたとして、シタデルインベストメントのラスボス、グリフィン(ニック・オファーマン)も関与疑惑が巻き起こった。
事態を重く見た米国議会・下院金融委員会は、'21年2月18日にオンライン公聴会を開催を決定。
プロトキン、テネフ。グリフィン、キースが召喚された。
キースは、ヘッジファンド相手に勝利をおさめることができるのか…。
以下ネタバレです。
映画冒頭は、プロトキンがコーエンの知らせを受けてマイアミの別荘をスマホ片手に走ってる絵ヅラが俯瞰で映し出されます。
空売りして儲けようと思ってたゲームストップ株がまさかの大暴騰で、プロトキンがCEOを勤めるメルヴィンキャピタルは、この時点で
68億ドルの大損
…を喰らいます。
…最終的に日本円にして数千億の被害になったらしいけどなメルビン・キャピタル、天文学的数字。
大手メディアがこのニュースに食らいつかないはずもなく、ハイエナのように食らいつき『プロトキンさん、もう溺れて〇にそうって噂流れてますけどマジですか~』 …と悪趣味なご機嫌伺いしてきよります。
プロトキンもプロトキンで『大丈夫じゃねーよ!吐きそうだ』とヌカし、オンラインインタブー用のラップトップを、ピシャっと閉めてしまいます。
プロトキンは、その後コーエンに電話し、30憶ドルの緊急資金援助を求めるのです。
恥も外聞もなく(涙)
ってか、そんなオッソロシイ大金どこにあんだよ(怒)
サブプライムローンで金のない庶民から巻き上げてトンズラした時に蓄えた金か、民間軍事会社外国に派遣して儲けた金かどっちかだろqqqqq
コーエンは、メルヴィンキャピタルと、ロビンフット両方に関わっていた金融マーケットメーカー・シタデル創業者のグリフィンに電話。
グリフィンは『あ~そうなの~そうなるかと思ってたわ~』な反応。
一連の騒動
誰が損をしても得をしても、市場の動向に関わらず一定の手数料が入ってくるマーケットメーカー(グリフィン)が儲かる仕組みになっているqqqq
シタデルの創業者グリフィンを演じたニック・オファーマンは『こんな自称賢い奴らが、私たちみたいな日々の稼ぎで細々と株をやってる人間をダム・マネー(バカの金)って言うのか』と怒りが沸いて一気に脚本読んだそうで。
グリフィンが表に出てこないのと対象に、非難の矢面に立たされたのがロビンフット共同経営者の2人。
そりゃぁ、個人投資家がウォール街に歯向かう機会を奪ったと捉えられたのだから仕方がない。
本来なら仲買業者のロビンフットも儲かる仕組みになってる『はず』なんすが、用意していた資金が20憶ドルで、
ゲームストップの大暴騰、暴落にシステムが耐えきれず
会社を守るため売買を止めることに。
高級車乗り回し、仕立てのいいスーツを着て、クラブで豪遊、メディアのインタブーを受ける暮らしから一転。
非難の的になるロビンフットの2人。
…これと逆にキースがネット民から好かれたのは億万長者になろうと株価が暴落しても『生活や人への接し方を変えなかった』からだと思います。
ホラ居るじゃーないすかqqqq自分に利益がある人や子分格の人には優しい人?お前なんなんだよ、ってアレだよ、アレ。
キースにはそれがなかったのだろうし、演じるポール・ダノも適役。
映画の始めの方で、キースはウォール街で金融アナリストとして成功している友人と飲みに行くシーンがあります。
友人は仕立てのいい背広着てハイネケンを飲んでるけど、キースは安い缶ビール。
友達にハイネケン驕るよと言われても、不相応なことはしたくないとキースは断る。
コロナ禍で落ち込んでるから、そんな気分じゃないよという
そんな彼が唯一『光』を見いだせて『自分らしさ』を取り戻せるのが、ローリング・キティとして活躍する投資動画。
まさか社会現象になると思ってもいなかった。
見栄、ごまかしだらけの金融の世界で自分の帳簿や本人の人格までネットに晒すのは、どんだけ?なリスクを伴うのです。
その一方で、そこまでしないと今の社会だれも信じてくれないというアレです。
身内にだけ晒すとか、マズいことあったら非公開ブログにだけ書くとか、そういうことをしなかったからこそ、キースはバズったんじゃぁないでしょうか。
ロビンフットのシステムが復活した後も、キースを支える個人投資家たちは、キースがゲームストップの株を保有しているのに気づき、株を売った人まで買い戻すのです。
ロングホルダーまたもや増えて、メルビンキャピタル火の車、油雑巾に火の状態。
ゲームストップの店員マルコスも、最初は給料前借りも出来ず、なけなしの金で買ったゲームストップの株が、
売れば家が買えるという所まで大暴騰。
が、堅実に働いてきた移民の親は株そのものを信じない。
それはキースの親も同じだった。
テキサス大の同性カップル、ハーモニーは『キースが売らないなら保有する』といい、リリは『私のパートナーが(株)を売らないっていうけどみんなどう思う?』とTikTok動画をアップする。
ゲームストップ株騒動で、キースの家の周りにはストーカーと化した熱烈なファンが押し掛けて『頑張れ!』コールを浴びせている。
応援してくれるのは嬉しいけど、そっとして欲しい状態のキース。
貴方は自慢の息子だけど株なんてというキースの両親。
そんなキースを『こいつはスゴいヤツなんだ』と言ったのが弟のケヴィン。
国を揺るがすほどのアニキになってしまったから、認めるかな~という弟。
そしていよいよ公聴会。
広聴会の前にキースも、プロトキンもシュミレーションするのですが、キースは友人やケヴィンが検事役で練習するのでハチャメチャです。
一方プロトキンは原稿のチェックからオンライン公聴会のショバまで顧問弁護士(男女1人ずつ)の厳しいチェックが入る。
公聴会の原稿は片っ端から修正が入り(涙)、公聴会のショバにワインセラーやオーシャンビューの事務所を選べば
庶民の反感を買いますから地下室を選んでください
…というオヨヨな修正依頼を受けてしまうプロトキン
そしていざ始まった公聴会。
他の連中が、パ―券疑惑を吹っ掛けられた国会議員みたいに、のらりくらりと質問をかわした後、キースの番が回ってきた。
自分が労働者階級の出身であること、リーマンショック直後で金融関係に入社できなかったこと、株は独学で覚えたこと、今までの経歴、ここまでゲームストップ株が市場を動かす社会現象になるとは思いもしなかったと語った。
今の世の中は、投資に関してあまりにも不公平かつ複雑になっている。
誰もが理解できてる投資のシステムでなくなり、一部の人間にだけ金が集まるシステムは極めて不公平だ
オンラインとはいえ、久々のスーツ姿。
いつもの赤いハチマキ、ネコTでないキースに投資家たちの注目が集まった。
でもって今ゲームストップ株の価値は?というと、元のクズ株同然になってるので、今買ってもどうしようもないqqq
このチャートみても判る通りの大暴騰大暴落。
これがついこの間起きた+1銘柄で起こったことなんだから。
30憶ドルも援助して貰ったのにブっつぶれたメルヴィンキャピタル
そ、それもだよ、メルヴィンのラスボスは、どこぞの証券会社の『社員は悪くありませんから』じゃーなく
悠々自適でのうのうと生きてやがるqqqqq
ヘッジファンドに勤めていた人間は路頭に迷ったというのに。
プロトキンを演じたセス・ローゲンとキース役のポール・ダノ
『フェイブルマンズ』で共演してるんすよね。
『フェイブル~』では親友でありながら奥さん取り合うフクザツな間柄という役設定だったんすが
この映画では、億万長者ヘッジファンドと小口投資家アナリストの役
これだから役者は面白い
プロトキンなんて全米どころか、一連の騒動に関わった人間から串刺しにされてもおかしくないのに、ローゲンが『こんな奴、どこに同情の余地あるんだよクソが』と言わんがばかりの味付けをして演じてくれたのでよかったです。
同じことが日本でも起こるのか?と言われると金融システム状起こらないんじゃーないでしょうか。
ゲームストップ事件が起こった当初はコロナ禍。
米国ではロックダウンで働けない人に給付金を配っていたので、 その使い道どうする?となった人たちがステイホームの中、ビットコインやら株に投資した背景もありました。
個人投資家がスイミーの小魚よろしく集まって一銘柄の株を買って買って買いまくったために、空売りしたはずの株を買い戻し(ショート・スクイーズ(踏み上げ)株価をあげなければいけなくなったヘッジファンド
これがメルヴィンの首を絞めるはめになった…のだろうと思うのだ。
大暴落寸前の株価は適正価格の100倍だったそうだから、キースも怖くて売るに売れなかったんだろうと。
映画のラストは、何事も『裸で走るのを考えれば怖くないさ』というので、キースとケヴィンが、すっぽんぽんで陸上のトラックを走るというコミカルなモノなんすが。
エンディングテロップで『登場人物の実在の映像』が出てきます。
キースが一番似てましたなぁ~。
モノホンはこちら
ちなみにゲームストップ株に投資したメインの登場人物、殆どの方が
日本円にして1000万~3000万儲かったのだそうで。
唯一看護婦のジェニーだけが、売り時を間違えて損失になったという。
キースは一連の騒動以来、表舞台から姿を消し、ゲームストップの株は持ち続けている…んだそうな。
なんというか、莫大な利益を上げることよりも、ウォール街の連中をギャフンと言わせるのが目的だったと思います。
監督のクレイグ・ギレスピーは『息子と一緒に暮らしていなければ一連の騒動は判らなかった』そうで。
製作期間わずか1カ月。
各俳優撮影平均1週間
…というハイスピード撮影。
…ついこの間の出来事映像化するんだから、それなりのスピード求められるよな。
映画で一貫して描かれているのは、株も含む金融システムの脆さと、そこに集う人々。
本来ならウォール街が潰れたらお金の概念が潰れてしまうのです。
それなのに株を保持するか売るかの選択で焦る。企業の名前がゲームストップてのも実話なのに皮肉。
自分たちではじめたゲームなのに、終わらせ方が判らない。
だからキースに依存してしまう。
映画が伝えたかったのは、金融システムの脆さだけでなく、 物事を成功させるには、周りから担がれる人であれ、ということではないでしょうか。
ひとつの銘柄にかけた所で、市場の読みが甘く、金融の知識もなく、周りから担がれる人望もないのなら、 『マネーモンスター』に出てくるTV局ジャック犯と同じになってしまいのではないでしょうか。
いやはや、金融モノだけではない、群像劇でした。