皆さま
人生いろいろ経たからこそ
表現できることってあるのだと
思います。
経たもの同士が、再び重なり
共同創造をすると、ときに、
大きなエネルギーが生まれるの
かもしれませんね。
和(なごみ)くん、ここまで良く
がんばってきたね。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「畳職人、和(なごみ)の生き物語」
~⑬仲間との共同創造が始まる~
前回までのお話しはこちらです。
畳職人の和(なごみ)と絨毯職人の洋(よう)は、
小学生振りに再会しました。
久しぶりの再会は、小学生のころ、
従兄弟同士で、会うことを楽しみに
していたあのウキウキワクワク感を
思い出させてくれたのです。
和と洋は、その気持ちに合わせて
そのまま一緒に仕事をすることに
自然な流れでなっていきました。
そこでふたりが考え出したのは、
和の畳に洋の絨毯の要素を
融合させていくものです。
和が創りだす、まさに作品、芸術とも
言える畳に、洋の中東の要素を
取り入れた絨毯を部分的に
織り込んだのです。
ふたりはうまくいくまで、納得の
いくまで創り込みました。
ときには、ふたりで夜を明かすことも
ありましたが、ふたりの中の
ウキウキワクワク感がその原動力と
なり、爽やかな疲労感が残るだけでした。
幾度となく、試作品を創り上げ、
ふたりで吟味し、調整を重ねて、
月日を経て、ようやく、ようやっと
ふたりが納得のいくものが
できあがったのです。
できあがった、一部に絨毯が施された
畳は、やはり魂が込められていると
いう表現が相応しいようでした。
絨毯と畳は見事に融合しており、
別物だけど、切っても切れない
関係に仕上がっているのです。
それは、まるで和と洋の関係性を
見事に映し出しているようにさえ
感じました。
「できたな」
和は、創り上げた畳を見えないはずの
左目で見ているように感じます。
何か、できあがった畳の奥の奥を
心の眼で観ているかのようです。
そう、和は畳を創りながら、自分の左目が
見えないことなど、おかしな表現かも
しれませんが、気付いていないかの
ようだったのです。
「ようやくだな」
洋は、和にそれだけ答えます。
言葉少ないながら、ふたりの
達成感、それとまだまだこれからだ
というスタート感、そのどちらもが
混在するなんとも言えない雰囲気が
醸し出されているようでした。
「まだまだこれからだな」
「そうだな、まだまだこれからだ」
ふたりは、やっぱり同じ意見でした。
和は、大きな安堵感の中、自分の見えない
左目に対して「ありがとう」と心の中で
呟くのです。
【続く】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。