皆さま

 

今日から新シリーズです。

 

畳職人のお話しなのですが、

初回は畳職人になる前の

少年時代のお話しです。

 

詳しくは本文をどうぞ。

ご興味のある方はお付き合いください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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【新シリーズ】「畳職人、和(なごみ)の生き物語」

~少年時代、不運な出来事が和を襲う~

 

その少年の名は、「和」と書いて

「なごみ」と読みました。

 

この日、和は小学校の友達と

川へ遊びに行っていたのです。

 

和はあまり泳ぐことが得意ではなく、

川の流れにうまく乗れずに

いました。

 

和が泳ぎが得意でないことを

知っていた友達は、少しからかう

意味で、水中で和の足をつかんだのです。

 

驚いた和は、足をバタバタとさせて

川の水を飲んでしまいました。

 

苦しくなりもがく和でしたが、少しずつ

意識が遠のいていきます。

 

川の流れに流されながら、

和は身体を岩場にぶつけてゆきました。

 

不運だったのは、少し鋭利な岩に

顔をぶつけてしまったことです。

 

すぐさま、和の友達たちが、大人を

呼んできて救助が始まりました。

 

しばらく経つと、

和はどこかの休憩所のような場所で

横たわっています。

 

多くの水を飲んでしまったため、

水を吐き出され、ようやく意識を

取り戻していきました。

 

和は、仰向けになりながらどこか

冷静でいたのです。

 

「あー、僕は助かったんだ」

 

こんな状況ですが、和は安心感に

包まれています。

 

ちょっとした臨死体験のようなものを

和はこの溺れた直後から、体感して

いたのです。

 

そこは、白い雲のような、フワフワとした

世界でした。

 

和がその白いものに意識を向けると、

見たこともない人たちが、たくさん

現れるのです。

 

「いらっしゃい、いらっしゃい」と

その人たちは和に向かって、

笑顔を浮かべながら言っていました。

 

和は、会ったこともない人たちから

言われても驚くことなく、聞いています。

 

段々と和は自分がその人たちの方へ、

身体も意識も近づいていくことに

気が付きます。

 

でも、なぜだか、その中心にいた人が

ゴム製のエプロンと鉢巻をした魚屋さん

だったのです。

 

「あれ、なんで魚屋さん?」

「おかしいなあ」

 

そんな風に疑問を感じた瞬間、

和は我に返ったのです。

 

「あ、僕がここに来るのはまだ早過ぎる」

 

こうして、実際にも休憩所で、

目を覚ましました。

 

意識を取り戻した和が、不思議な

安心感を感じていたのは、このため

だったのです。

 

「これが、本当の安心感なんだ」

 

和は、小学生ながら、そんな感覚を

覚えてゆきました。

 

上半身裸の和が背中で感じる感覚、

どこか懐かしい感覚でした。

 

たまたま、和が寝ていたところは

畳だったのです。

 

和は、畳の上でなんとか一命を

取り留めました。

 

ひとつ、和にとって、よかったことは

圧倒的な恐怖感ではなく、畳の上で

絶対的な安心感を感じたことに

あります。

 

和が身体を起こすと、周囲には

友達や大人がたくさんいて、その

回復を喜んでくれました。

 

でも、和は違和感を感じるのです。

見慣れた友達の顔に焦点が

合わないのです。

 

それは、どうやら川の流れに

流されたときに鋭利な岩に顔を

ぶつけたときに、負った傷が原因でした。

 

そう、和の左目は見えなくなって

いたのです。

 

和は一命は取り留めたものの、

左目の視力を失ってしまいました。

 

この日から和の生き物語は、

本格的に始まってゆくのです。

 

【続く】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。