皆さま

 

心から行動したいと思っていることは、

やっぱり早く行動すると決めることが

大切だなあと思います。

 

だって、後悔したくないですから。

 

詳しくは本文をお読みください。

 

【自己紹介】

幸せな人生に転換できた僕の物語

 

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「畳職人、和(なごみ)の生き物語」

~⑦大切な人を失う圧倒的な恐怖感~

 

前回のお話しはこちらです。

~①少年時代、不運な出来事が和を襲う~

~②愛されなかったと信じる子ども時代~

~③子ども時代に感じたワクワク感~

~④仕事を選ぶときのコツ~

~⑤粘り強く行動してみることも大切~

~⑥逆境と感じることもいつか良き経験となる~

 

伯父からの電話の第一声に

和(なごみ)は、何が起きているのか

わからない状態でした。

 

「お前の母さんが、緊急入院した」

 

和は、伯父が本当に何を言っているのか

しばらくの間理解できないでいます。

 

和は、「伯父さんの声はこんな感じだったか?」

とか、全然関係のないことが頭の中を

巡っていました。

 

和が電話を切ったころ、ようやく和も

事態を把握したようだったのです。

 

和のお母さんが、今現在入院している

ということでした。

 

父親の顔を見たことがない和にとって、

母は唯一の親になります。

 

その母親が、入院していて、しかも

伯父さんによるとあまり具合が

よろしくないようでした。

 

和は、生まれて初めて母のことが

心配になりました。

 

いったいどうしたらよいのか、和には

わかりませんでした。

 

この日も畳職人を目指して、修行を

していました。

 

本当は、早退して病院に向かいたいところでしたが、

当の和は、そういった段取りをすることさえ

できずにいたのです。

 

この日も時間まで、畳職人としての技術を

学び終えたのです。

 

それから、思い立ったように伯父さんに

教えてもらった母が入院している病院に

向かったのです。

 

和が緊張した面持ちで、病室に入ると

母から第一声が聞こえてきました。

 

「あら、和じゃない?誰から聞いたのよ」

 

和の母のトーンは相変わらず淡々とした

ものでした。

 

それは、母からの「私は元気だから、気にしなくていいわよ」

というメッセージともとれるのです。

 

しかし、和は、母の顔を見るなり

涙がこみ上げてきてしまいました。

「母さん、大丈夫?」

やっとのことで出てきた言葉は

これでした。

 

和の涙に気が付いた母は、「大げさね」

「伯父さんから聞いたんでしょう?」

 

和の涙の真相はわかりませんが、

もしかしたら、姿を見て声を聞いて

なんだか心の底からホッとしたのかも

しれません。

 

それが、和の涙となって頬を濡らしたとも

いえるのです。

 

この日から和は、毎日毎日、畳屋での

修行を終えると母が入院している病院に

行くようになりました。

 

ここには、和の「本当はもっと甘えたかった」

という母に対する、心の奥にしまってある

本音がそうさせたのかもしれません。

 

和は、母を失ってしまうかもしれないという

大きな不安と、畳屋での一人前になるための

修行という二つを両輪にして、列車を動かそうと

していました。

 

しかし、不安という車輪は、安定して

回転してくれないのです。

 

畳屋での修行も、少しずつうまく

いかなくなっていきました。

 

それでも和は、畳屋にも病院にも

泣き言を言わずに通い続けるのです。

 

そんな日々を過ごしていた和に、

さらなる、まるで追い打ちをかけるような

言葉を聞かされることになります。

 

それは、母が入院する病院の

診察室でのことでした。

 

【続く】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。