■ Broken Lance
マットは牧場主、四人の息子がいる。最後の一人ジョーは後妻の先住民との子供。
鉱山から流れてきた汚染水で牛が死亡し、鉱山側とトラブルになった。
マットは起訴された。裁判は不利に進行した。ジョーは父親のことを思って身代わりとなった。三年の刑期。
その間に他の息子たちは土地を鉱山側に売ろうとした。
製作年:1954、監督:Edward Dmytryk、脚本:Richard Murphy、原作:Phillip Yordan
■ はじめに
「折れた槍」の意味。先住民が決闘を申し込む印として槍を地面に突き立てる。本作の最後で突き立てた槍を折って決闘を取り下げる。
全般に画面が暗いのが残念。
◆ 登場人物(キャスト)
マシュー・デヴロー(スペンサー・トレイシー) マット、牧場主
マットの先妻(-) 本作には登場しない
セニョーラ・デヴロー(ケティ・フラド) マットの今の妻、先住民
ベン・デヴロー(リチャード・ウィドマーク) 長男
マイク・デヴロー(ヒュー・オブライアン) 次男
デニー・デヴロー(アール・ホリマン) 三男
ジョー・デヴロー(ロバート・ワグナー) 四男
トゥー・ムーンズ(エドゥアルド・フランツ) 牧童頭、先住民
ホレス(E・G・マーシャル) 知事
バーバラ(ジーン・ピーターズ) 知事の娘
◆ 補足/バーバラ
本作はジーン・ピーターズ出演なので見たのだが、主演ではないので、期待はしてなかった。いわば義理で見たもの。
主演ではないので、それなりなのだが、次の点で感心した。見て良かった。
ジョーとバーバラの付き合いを丁寧に描いていて、わりと時間が長い。
バーバラを「ジョーが好きなのでついていく」みたいな女性ではなく、きちんと自分の意見を言う、しっかりした女性に描いている。バーバラはジョーに次々と質問する。
◆ 補足/当時の牧畜業
当時の牧畜業は放牧であって、草原に牛を放して勝手に草を食べさせるもの。
本作では放し飼いされている牛が鉱山から流れてきた汚染水を飲んで死亡する事件が発生する。
■ あらすじ
◆ デヴェロー家
デヴェロー家は当地の大牧場主である。マットは先妻との間に三人の息子をもうけた。
先妻が死亡した後、先住民の女性と結婚しジョーが生まれた。
マットは一生懸命に仕事をして牧場を大きくした。そして息子たちも厳しく鍛えた。
息子たち、特にベンは不満を抱きながら育った。その意味で上の三人の息子たちは団結していた。
◆ マットの後妻
周囲の人々はマットの妻が先住民であることに偏見を持っていたが、当地のマットの地位のおかけで問題は発生しなかった。
一方ジョーはまじめに仕事をしてマットの信頼が厚かった。
上の三人が当牧場の牛を盗んで、勝手に売ろうとした事件も発生した。
マットは三人を捕らえた。追放しようとしたが、妻の懇願によって、追放は免れた。
◆ 牛が死亡した
ある時、牛が何頭も川のそばで死亡しているのが見つかった。
当牧場の上の方に銅鉱山がある。そこから鉱毒が流れているものと推測された。
一家は鉱山に抗議に出かけた。しかし鉱山側では、要求に応じないばかりか、作業者を多数集めて取り囲んだ。じりじりと距離を詰めて迫ってくる。
仕方なく一家は拳銃を取り出した。相手も襲い掛かってくる。
そこで牧場の作業員たちが駆けつけて来て、鉱山の作業者を追い散らした。また鉱山の施設を破壊した。
この過程で鉱山の作業者が数人死亡した。
◆ 裁判
作業者が死亡した件について裁判が開かれた。
我々の目から見れば、マットは自分の主張を勝手にどんどん展開する。
マットは当地の有力者であって、この地のことは自由にできるという自信があった。
しかし鉱山会社は東部に本社があり、そちらかの弁護士を連れてきている。
堂々巡りの裁判が続いたが、次第にマットの立場は危うくなってきた。
またマットは心臓が悪い。この状況を見て、ジョーは殺人の責任を引き受けることにした。
ジョーは三年の刑期を宣告された。以前より付き合っているバーバラが刑務所に訪ねて来てジョーを励ました。
◆ マットが死亡した
ジョーが刑務所に入っている間もマットと息子たちはぶつかった。
息子たちが土地の一部を鉱山が売り払おうと出かけた。マットはそれを阻止しようと馬で追いかけたが、途中で心臓マヒで死亡した。
マットの埋葬には、許可を貰ってジョーが出席した。
ジョーは先住民のやり方に則って、槍を地面に突き立てて、決闘を申し込んだ。
母親が必死で止めた。
◆ ジョーは当地を去る
ジョーは刑期を終えて出所した。その間に母親は、元の先住民の集落に戻っていた。
母親はジョーに兄弟との対決を避けて、当地を去るように忠告した。ジョーは同意して出発した。
しかしベンはジョーが復讐するものと考えて途中で待ち伏せた。
ベンがライフルで狙う。ジョーは銃を持っていない。注、母親に拳銃を預けた。
ジョーは岩陰に隠れてベンを襲ってライフルを叩き落して格闘した。
しかし再度ベンはライフルを取り上げてジョーを狙った。
この時遠くから誰かがベンを撃った。トゥー・ムーンズ。ベンは撃たれて流れの中に落ちた。
◆ ジョーとバーバラは旅立った
マットの墓に妻が来て祈った。その墓石の前には槍が突き立ててあった。それは埋葬の時にジョーが突き立てたものである。
妻が祈った後に、馬車が近づいてきた。妻は木陰に隠れて見守った。
ジョーとバーバラである。ジョーは馬車を下りて、父親の墓に祈った。
突き立ててあった槍を抜いた。二つに折った。これが本作の題名の由来。
ジョーとバーバラは馬車で去っていった。母親は二人を見送った。
■ 出演作
◆ スペンサー・トレイシー
(1936)激怒/Fury
(1936)桑港/サンフランシスコ/San Francisco
(1941)ジキル博士とハイド氏/Dr. Jekyll and Mr. Hyde
「折れた槍/Broken Lance (1954)」
(1947)大草原/The Sea of Grass
◆ リチャード・ウィドマーク
(1947)死の接吻/Kiss of Death
(1950)街の野獣/Night And The City
(1953)拾った女/Pickup on South street
(1954)折れた槍/Broken Lance
(1956)太陽に向って走れ/Run for the Sun
(1948)深夜の歌声/Road House
(1954)悪の花園/Garden of Evil
◆ ジーン・ピーターズ
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water/漁師とケースワーカーと孤児
(1948)征服への道/Captain from Casile/恋人ともに新大陸に渡る
(1950)Love That Brute/ギャング・ロマンティック・コメディ
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies/捕虜を救って好きになったが裏切られる
(1952)革命児サパタ/Viva Zapata!/メキシコ革命、伝記映画
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House/吹雪の中を歩いて肺炎に
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness/冤罪で逃亡し沼地で暮らす
(1953)拾った女/Pickup on South street/スパイ組織との対決
(1953)ナイアガラ/Niagara/殺人犯と一緒に滝に流される
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki/ハリウッドに進出しようとしたが殺された
(1954)アパッチ/Apache/ジェロニモ降伏後も白人と戦う
(1954)愛の泉/Three Coins in The Fountain/ローマでのアメリカ人女性三人の恋愛模様