下山は、ギザギザの道をひたすら繰り返す。

ずっとこれ。ずーーーーっとこれ。



雨が強いときに ちょうど避難小屋にたどり着き、雨宿りをすることができたのは幸いだった。


事前に調べたところ「富士山では火器の使用はお控えください」だったため、自分で沸かすことは諦めて コンビニで水筒にお湯をもらった。


そのお湯でコーヒーとポタージュを作って飲んだ。

少し冷めていたけれど、持ってきてよかった。





下山は、当然ながら山行の後半だ。

体力的にしんどいのは下山だ。

転んでケガをするのの 大半は下りだ。

私もこれまで、下りで幾度となく膝を痛め、2度 捻挫をしている。


しかも今回は雨である。


登りと同じ道を下るなら、確実にケガをしていただろう。

下山道があることがありがたい。




口数が減り、足の踏ん張りが効きにくくなっているこくうさんの様子に「もう相当にしんどいだろうな」と思いつつ、私はこのしんどさを解決する声のかけ方が未だに分からないので、どうでもいい気休めにもならんような話をして そのまま歩いた。


私は下山するしか分からない。


荷物を代わりに持とうか(ぶんどろうか)とも思ったけれど、しんどいながらも歩けているので、ぶんどらずにこのまま行くことにする。


---


いろいろ思い出した。


高校1年の登山部での夏、雨に打たれて 本当にボロ雑巾のようになって下山した山行があった。

忘れもしない。秋田の太平山である。


山の洗練を受けたように感じた。


先輩からの「大丈夫?」の問いに「はい」と答えたはずだったが、先輩たちは「ああ、ダメだこりゃ(笑)」と笑っていた。

私の様子が相当酷かったのだろう。


よく転ぶから体中泥まみれ。

靴の中は雨水でガボガボいう。

まだ山にも登山靴にも慣れていないかかとは 皮膚が剥けて血まみれだ。



捻挫した山行のことも思い出した。

痛む足でも 折れてはおらず、ゆっくりなら歩けるので、その足で下山した。



こんな状態でも なお歩ける。

まだ歩けてしまう。

歩けるのだから歩かねばならぬことが分かっている、絶望のような諦め。




街にいたら、大抵の遊びは「疲れたら終わりにする」ができる。

しかし、山登りは「疲れていても下山するまで終わらない」

こくうさんと そんな話をした。

自分が「ここまではがんばれる」と思っている、その向こう側を味わわざるを得ない環境に 既に身を置いてしまっている。

「限界をこえる」なんていうと聞こえはかっこいいけれど、別にそんなによいものではない。



そんなによいものではない。しかし。

私はパソコンやスマホで占いを書く仕事をしていて、時折身体の疲れが恋しくなる。
「あの疲れを、もう一度味わいたい」「またあのときみたいにボロボロになりたい」と。なんでやねんの極みだ。
それでガマンができなくなって、またこうして山に登りだしたような節もある。

この疲れ方には、なにやらとてつもない引力のようなものがあるのも感じている。
実は、それがなんなのか 少し思い当たるものがある。
今日は資料が見つからないので、またいずれ、思い出したら書こうと思う。


今そんな話をするのは野暮というものだ。
まさに今、思い当たることの話を少しだけ書いた、その部分だけごっそり消えた。

世界のしくみとか、体験の奥深い意味とか、そういうのを考えることが「やめれwww」みたいなときもあるのだろうな。
少なくとも、今 私は言わんでいいのだろう。

「ああ!疲れたなぁ!!」

それでいいときもある。
それがいいときもある。

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カッパを着ていたのに、中に着ていた服をしぼれる不思議。


登山届を提出した建物が見えたときには、「っしゃああああああ!!!!!」と クソほどガッツポーズをした。

無事下山ほどうれしいことはない。
今回はこくうさんを連れているのだから より一層である。
(こくうさんが皆からスーパー愛されているのをひしひしと感じているので、私はめちゃくちゃ責任重大な気持ちであったよ 笑)



なんとか車にたどり着いた。
車にたどり着いて ホッとひと安心でありつつ、これで終わりでもないのが凄まじいところだ。
よりによって、ここへ来て 再びの雨だ。

「雨も止んで晴れてきたから、駐車場で荷物を広げて片付けることができますね」と、さっき話をしたばかり。
ここで雨てwww やめれwww


ドロドロの荷物や服や靴や自分をどうにかしなければならない。
自家用車ならいざ知らず、レンタカーを汚すのもつらい。

下山したあと、特に雨の中 下山したあとは、自分を含めたいろんなものが汚物のようで楽しい。
あまりにもドロドロでなんだか愉快になってきた。

私は下山でザクザク歩くのよりも、この作業のほうがつらかったのかもしれない。
歩くのは、歩けばよい。
これは私にはさほど苦ではない。
しかし、下山後の片づけは「山の上モード」ではなく「街モード」も入ってくるから、いろいろ気をつかう。


さて、これには参った。
自分が幼子だったら 大人がなんとか全部やってくれたかもしれないが、そうもいかない。
ここまでやってきてもなお 終わりではないのだ。

割としんどい状況なのに、へんに楽しくなってきたwww
私もそろそろいい感じに疲れて、脳内麻薬でも出てきたのかもしれない。
下山できて ホッとして、ドッと疲れが吹き出しての「これ」で、ちょっとおかしくなったのかもしれないw

こういう状態が長く続くと、人はだんだん なにかが壊れてくるのかもしれない。

うひょひょひょひょという感じだ。

割と楽しい。





荷物のことは なんだかんだでどうにかした。気合いでも根性でもない。ズリズリと引きずられるようになんとかした。

各所に下山報告を済ませた。やることはやった。やったぞ。


こくうさんの運転で街に戻り、風呂に入って、ごはんを食べて、温泉の休憩コーナーでお昼寝をして、レンタカーを返して、お土産を買って、帰りのバスに乗った。



愛知に向かうバスから、きれいに雲が晴れた富士山が見えてドン引きだったwwwww

「ええええええwww
さっきまでめっちゃ雨降ってたのにwwww」

一人でめっちゃウケたwwwwww
愉快痛快である。



つづく。


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