マンションの地震対策というと、「基礎杭を地下〇mの支持層まで打ちました!」とパンフレットに書いてありますが、杭さえ打っていれば安心ですか?

 

今回は、

建物の耐震性能

地盤

の関係について、おさらいしたいと思います。

 

建物の耐震性能

何度か触れていますが、一番重要なポイントは「建物は地面が大きく揺れると壊れる」という点です。

当たり前過ぎる話なのですが、地面が揺れるから建物は壊れることになります。

地面が大きく揺れると、建物の損傷も大きくなります。

 

地震の際の地面の揺れは「震度」で表されます。

下の表は、一般社団法人日本建設業連合会が作成した資料「耐震基準と耐えられる地震の大きさ」の一部を、このポイントに焦点を当てて、作成し直したものです。

 

耐震等級と耐えられる地震の大きさ

以上の耐震等級と震度との関係は、あくまで“目安”であることは強調しておきたいです。

 

空家問題が報じられている現時点でも、新築マンションは次々に供給され続けています。

そして、これらのマンションのほとんどは『耐震等級1』です。

上の表の一番左の棒となります。

 

施工不良がなければ、震度7でも何とか倒壊は免れてくれるのではないか、という耐震性能なのが『耐震等級1』です。

そして、震度6でも“中破”となる可能性があります。

“中破”というのは、「大破まではいかないが、大規模な補修・補強が必要となる被害の程度」を指します。

“中破”となると、建物の柱や梁などの構造体に損傷が見られ、修理をしなければ使用できません。

 

要は、来たる大地震で「旧耐震は危ない」等の記事をよく見掛けますが、新耐震の建物でも性能的には安全が担保されている訳ではないということです。

 

地盤

そして次に、表の震度のところに注目していただきたいのですが、『耐震等級1』の建物でも、震度5弱以下なら無傷で済む可能性が高くなることが分かります。

 

(少し時間が空いてしまいましたが)前回の記事で、関東大震災の際に少しばかりの距離の差で、震度7相当と推定される場所と、震度5弱と推定される場所があったことを書きました。

 

つまり、同じ建物でも、その建物が建っている“場所”によって、建物が壊れる場所と壊れない場所があるということです。

建物の「新耐震」や「基礎杭」等の話の前に、まずは地盤の良い場所を選ぶことが必要なのです。

 

震度7の場所では次の大地震で建物が壊れる

勿論、あくまで可能性の話です。

震度7が連続して発生した熊本地震でも、旧耐震の建物が全て倒壊した訳ではありません。

同じように、『耐震等級1』だからといって、震度7ですべてが大破するとは思っていません。

 

ただ、確率的にはその可能性があることはお分かりいただけると思います。

ましてや、ある一定の割合で施工不良の建物は存在しているので。

震度7の場所に建っているマンションに、万が一、施工不良が隠れていたら、、、

 

あくまで想定の確率論なのですが、いつかは分からないだけでもうすぐ来るであろう大地震の後も住み続けたければ、震度7となることが想定される場所は避け、できるだけ地盤の良い場所を選んで住んでいただきたいと思っています。

 

震度7となる場所のマンションを買っても、『次の大地震までしか住めない』可能性があるのです。

※マンションの建替えは非常に難しいので。