「防災の日」なので、昨今の災害を振り返ります。

 

最初にお断りしますと、結論はいつもの「災害に遭いたくなければ、安全な場所に住みなさい」です。

 

話の前に、

災害により被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 

まずは、1ヶ月前の、、、

■令和8年熊本地震

平成28年熊本地震から10年“しか”経っていないのに、また「震度7」の揺れを起こす地震が発生するとは、、、

 

10年“しか”、と書きましたが、断層型の地震で、一度(2回連続して発生しましたが)震度7になるほどの大きなエネルギーを使ったのなら、もうしばらくは地震なんて起きないと思っていました。

 

10年前の地震の“片割れ”だとか解説されていますが、こんな10年ほどのスパンで再度大きな地震が発生するなんて。

本当に、地震のメカニズムも含めて、まだまだ地中のことは分からない方が多いのだと思わされます。

 

そして、この令和8年熊本地震での一番の謎がイオンの大爆発です。

供給側タンクの緊急遮断弁が正常に作動し、テナント側の遮断弁が作動していたのなら(=ガス管に残っていたガスの量だけでは)、あんな大爆発は起きる筈がないです。

 

であれば、緊急遮断弁が正常に作動しなかった可能性が最も高いですよね。

なのに、いまだに詳細な原因は不明とされたまま。

緊急遮断弁の故障かどうかを調べるのに1ヶ月以上掛かることが不思議です。

 

再入館うんぬんの話は、仕方のないことだと思います。

遺族は納得いかないでしょうが、誰もあんな爆発は予見できなかったのだから、各出入口の責任者を責めるのも酷だと思います。

 

■千葉豪雨

こちらも驚きました。

13名もの犠牲者を出すとは、、、

 

何度も言っていますが、本当に雨の降り方が変わってきたんですよね。

それを本当の意味で腹に落としてほしいです。

 

1時間に100mmを超えるような豪雨が発生したら、どこであっても浸水します。

そして、谷地や低地は、あっという間に膝上まで水が溜まり、えっと思っている間もなく、腰まで水に浸かることになります。

 

一番の対策は、

●高台に住み、大雨のときには家から出ない。

●出掛けているときに大雨に遭遇してしまったら、なるべく高いところにとどまり、むやみに動かない。

です。

 

福井では夜中に豪雨となり、「朝起きたら、家の前が浸水していた」と話す人がいましたが、浸水被害は、住む場所で防ぐことができるんです。

谷地や低地に住まない、これだけです。

 

最近の雨は、2~3時間で川を溢れさせたりします。

浸水の予兆を掴むのは難しいです。

安心して、大雨のときでも寝ていられるように、高台に住みましょう。

 

■安全な場所に住む

対水害では、比較的簡単に「安全な場所」は分かるのですが、対地震は少し難しいです。

 

断層型地震は、日本のどこに住んでいても完全に逃れられる場所はありません。

本当に運悪く、自宅の真下で断層がズレるということだって考えられます。

それでも、分かっている範囲の断層は公表されています。

 

令和8年熊本地震の日奈久断層も、位置は分かっていました。

 

位置が分かっている断層からは離れましょう。

上述したように、分かっている断層から離れれば安全とは言い切れないのが日本の難しいところですが、少なくとも、分かっている情報は尊重しましょう。

少しは被害に遭う確率を下げることができるだろうと思います。

 

同様に、軟弱地盤の上にも住むのをやめましょう。

ひとたび震度7の地震が発生したら、新耐震の建物でも壊れる可能性があるということは、建築基準法でも前提となっていることなので、震度7になる可能性が高い場所からは離れましょう。

 

結局、同じことを繰り返し言っているようですが、これが防災の一番の基本なのです。

家の裏が山という場所に住んで、いくらタンスを固定しても、土砂崩れが襲ってきたら、、、

危険な場所には住まない、これが基本です。

 

「防災マンション東京」で、「崖上マンション」と二つ名を付けている物件があります。

なぜ、わざわざ二つ名を付けているのかというと、「崖上マンション」にはリスクがあるからです。

 

 

詳しくは、引用記事をご覧いただきたいのですが、簡単に言ってしまうと、

1.土台が崩れる可能性がある(倒壊リスク)

2.土台が崩れないようにするための維持費用が掛かる(経済的リスク)

という2点において、リスクがあるということです。

 

人の不幸をネタにするようで心苦しい面はありますが、昨日(2026年7月9日)、仙台でマンションの土台部分ががけ崩れを起こすという事案が発生しました。

 

 

今回の場合、崖の管理は県が担っているようなので、先に述べた「経済的リスク」については発生していない可能性がありますが、「倒壊リスク」は顕在化してしまいました。

※後日の報道に崩れた部分も含めこの崖の所有者はマンションとなっているとの記載があるので、「経済的リスク」も顕在化しています。崖の原状回復工事費用や川岸に落下した土砂の撤去費用なども原則管理組合の負担となるでしょう。

 

この場所の公開情報を簡単に見てみます。

 

■土地条件図

 

中心の十字が当該マンションの位置です。

オレンジ色は「台地」、紫色は「崖」です。

地形図からも、「崖上マンション」であることが容易に判別できます。

 

また、標高をみると、崖上の台地部分で約44m、広瀬川河岸は約16m~17mです。

30m近い標高差!!!

こんなそそり立つ崖の上にマンションを建てるなんて、、、

 

■土砂災害防止法

 

赤い範囲は「土砂災害特別警戒区域」、黄色い範囲は「土砂災害警戒区域」です。

公開情報からも、元々土砂災害リスクがあることは示されています。

 

また、マンションの下を流れる川の流れをみると、マンション下は「流れの外側」に当たります。

川が屈曲している部分では、外側の流速は早くなり、遠心力も働くため、底が掘り込まれて深くなります。

川沿いで、かつ屈曲部分の外側に当たる場所では、土台となる部分が時を経るごとに侵食される可能性もあるのです。

 

「防災」を考える上で、一番基本としないといけないのは「自然への畏怖の念」を持つことだと思っています。

●崖は崩れる

●川の近くは氾濫する

●海岸沿いには津波が来る

●軟弱地盤は大きく揺れる

等々、自然にとっては当たり前のことですよね。

「屈曲した流路の外側は削られる」というのも自然なことです。

それを「堤防を築いたから安全だ」「杭を打ったから安心だ」「免震装置を付けたから倒壊する訳がない」等、いつの間にか、対策をしさえすれば安全だと勘違いしてしまっている人が多過ぎます。

 

大災害が発生するたびに「想定外」という言葉が出てきます。

でも、ほとんどの場合、地形的にはその場所でその災害が起きることは“自然”です。

「崖」は、時間の経過とともに風化し、崩れるのが自然です。

「低地」は、大雨が降ったら、浸水するのが自然です。

「軟弱地盤」エリアは、地震の際に大きく揺れるのが自然です。

程度の問題であり、発生するのは自然なのです。

 

なので、まずは「自然への畏怖の念」を持ち、住まいを選ぶ際には、そもそも災害が発生する可能性が低い場所を選びましょう。

 

このような事態になって、このマンションの住民の方は「なんでうちがこんなことに、、、」と打ちひしがれていると思います。

住民の方には何の落ち度もないので同情します。

 

これから家を買おうと考えている方には、「自然の脅威」を受け止め、災害リスクの低い場所を選んで欲しいと思います。

10年前の4月16日1 時 25 分、観測史上初めて、二日と置かずに2度目となる震度7の地震が発生しました。

熊本地震も、多くの“想定外”が発生し、驚かされました。

 

私の記憶に残っている“想定外”の出来事

1.新新耐震かつ耐震等級2の建物が倒壊

2.免震装置が想定されていた範囲を超えて動いた

3.災害関連死の増加

※震度7が立て続けに発生したというのが一番の驚きでしたが。

 

■建物は大きく揺れるから壊れる

1.新新耐震かつ耐震等級2の建物が倒壊

 

熊本地震では、

▼2000年基準(新・新耐震)

▼耐震等級2

▼木造2階建

の戸建住宅が2棟倒壊しました。

 

阪神淡路大震災を受けて、特に木造の耐震性の更なる向上を図った2000年の建築基準法の改正に則って建築され、しかも耐震等級2なので、通常(耐震等級1)よりも1.25倍の地震力に耐えられる住宅性能の筈でした。

 

この“想定外”が起きた原因は、主には

▼大きな揺れが2回連続で起きた

▼直下率が低かった

▼施工不良(手抜き工事)

が挙げられるようです。

※「直下率」と「施工不良」については、以前書いた記事で説明しているので、これを参考にしていただきたいと思います。

 

 

2.免震装置が想定されていた範囲を超えて動いた

についても、原因は揺れの大きさが想定を超えたことですし、

3.災害関連死の増加

についても、大きな揺れで自宅が壊れたから、避難せざるを得なかった訳です。

自宅の継続使用に問題がなければ、災害関連死も防げた筈です。

 

■大きく揺れる場所には住まない

結局、被害のすべての原因は、「地面が大きく揺れたこと」です。

大地震の被害の原因としては、当り前過ぎますが。

 

下図は、熊本地震で倒壊した建物の比率が高いエリアを表示しています。

倒壊率が高かったエリアは横に広がっています。

縦方向にはあまり広がりが見られません。

 

≪建築物の倒壊率の分布≫

「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント

https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf

からの引用です。

 

そして、下図が4月16日本震の深度分布図です。

気象庁がまとめた図を引用しています。

https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/2016_04_14_kumamoto/suikei2.pdf

 

表示されている範囲や縮尺が異なるので、分かりにくいですが、熊本地震は断層に沿って、狭い範囲で強い揺れが生じたことが分かっています。

上の「建築物の倒壊率の分布」でも、倒壊率の高い帯から上下にズレると倒壊率が下がっているのが分かります。

 

熊本地震は、断層型なので、避けようがありません。

断層型地震は、(日本なら)どこでも発生する可能性があり、たまたま運悪く、直下で断層がズレてしまったら、台地の上であろうが、低地であろうが、震度7の揺れに襲われる可能性があります。

 

■東京で震度7になる場所は分かっている

断層型地震だけを考えるのであれば、住む場所を気にしても仕方がないとも思えますが、これに加えて、近い将来「震度7」の揺れが襲う可能性が高いことが分かっている場所もあります。

首都直下地震が発生した場合の、東京東部の低地帯です。

 

 

上図は、J-SHIS Mapで東京都全体を表示したものですが、東京都東部の低地帯は、表層地盤増幅率が”1.8”より大きい濃いピンクやえんじ色となっています。

これは、表層面が非常に揺れやすいことを示しており、大地震が発生したら、深度“7”になる可能性が高い場所です。

 

この東京東部の低地帯は、柔らかい地層が厚く堆積しているエリアなので、この真下で断層型地震が発生した場合には、軟弱地盤エリアの広い範囲で震度7となる可能性があります。

 

東京東部の低地帯は、

●いつ発生するか分からないけど、近くで発生する可能性もある「断層型地震」

●いつ発生してもおかしくないといわれている「首都直下地震」

のどちらが発生しても、震度7となる可能性がある(というか結構高い)エリアなのです。

 

■“想定外”な揺れでも安心なエリア

首都直下地震については、東京東部の低地帯に住まないだけで、家族の命のリスクを減らすことができます。

断層型地震についても、地盤の良いエリアであれば、大きく揺れる範囲は狭くなるので、震度7になる確率を低くできます。

 

熊本地震では、「新・新耐震」の「耐震等級2」の建物が倒壊したり、免震装置が想定されていた範囲を超えて動いてしまったり、といった“想定外”がありました。

大地震の度に、“想定外”という言葉がニュースになるように、これから発生する大地震でも“想定外”の事象は発生するでしょう。

 

だとしたら、何とか、“想定外”でも生き残れる確率を少しでも高くしましょう。

 

1.地盤の良い場所に住む(大地震の際の震度が小さくなる)

2.なるべく丈夫な建物を選ぶ

3.家具の固定や備蓄をする

 

この3つを実行すれば、大地震があっても生き残ることができる確率は格段に高くなります。