防災マンション東京」で、「崖上マンション」と二つ名を付けている物件があります。

なぜ、わざわざ二つ名を付けているのかというと、「崖上マンション」にはリスクがあるからです。

 

 

詳しくは、引用記事をご覧いただきたいのですが、簡単に言ってしまうと、

1.土台が崩れる可能性がある(倒壊リスク)

2.土台が崩れないようにするための維持費用が掛かる(経済的リスク)

という2点において、リスクがあるということです。

 

人の不幸をネタにするようで心苦しい面はありますが、昨日(2026年7月9日)、仙台でマンションの土台部分ががけ崩れを起こすという事案が発生しました。

 

 

今回の場合、崖の管理は県が担っているようなので、先に述べた「経済的リスク」については発生していない可能性がありますが、「倒壊リスク」は顕在化してしまいました。

後日の報道に崩れた部分も含めこの崖の所有者はマンションとなっているとの記載があるので、「経済的リスク」も顕在化しています。崖の原状回復工事費用や川岸に落下した土砂の撤去費用なども原則管理組合の負担となるでしょう。

 

この場所の公開情報を簡単に見てみます。

 

土地条件図

 

中心の十字が当該マンションの位置です。

オレンジ色は「台地」、紫色は「崖」です。

地形図からも、「崖上マンション」であることが容易に判別できます。

 

また、標高をみると、崖上の台地部分で約44m、広瀬川河岸は約16m~17mです。

30m近い標高差!!!

こんなそそり立つ崖の上にマンションを建てるなんて、、、

 

土砂災害防止法

 

赤い範囲は「土砂災害特別警戒区域」、黄色い範囲は「土砂災害警戒区域」です。

公開情報からも、元々土砂災害リスクがあることは示されています。

 

また、マンションの下を流れる川の流れをみると、マンション下は「流れの外側」に当たります。

川が屈曲している部分では、外側の流速は早くなり、遠心力も働くため、底が掘り込まれて深くなります。

川沿いで、かつ屈曲部分の外側に当たる場所では、土台となる部分が時を経るごとに侵食される可能性もあるのです。

 

「防災」を考える上で、一番基本としないといけないのは「自然への畏怖の念」を持つことだと思っています。

崖は崩れる

川の近くは氾濫する

海岸沿いには津波が来る

軟弱地盤は大きく揺れる

等々、自然にとっては当たり前のことですよね。

「屈曲した流路の外側は削られる」というのも自然なことです。

それを「堤防を築いたから安全だ」「杭を打ったから安心だ」「免震装置を付けたから倒壊する訳がない」等、いつの間にか、対策をしさえすれば安全だと勘違いしてしまっている人が多過ぎます。

 

大災害が発生するたびに「想定外」という言葉が出てきます。

でも、ほとんどの場合、地形的にはその場所でその災害が起きることは“自然”です。

「崖」は、時間の経過とともに風化し、崩れるのが自然です。

「低地」は、大雨が降ったら、浸水するのが自然です。

「軟弱地盤」エリアは、地震の際に大きく揺れるのが自然です。

程度の問題であり、発生するのは自然なのです。

 

なので、まずは「自然への畏怖の念」を持ち、住まいを選ぶ際には、そもそも災害が発生する可能性が低い場所を選びましょう。

 

このような事態になって、このマンションの住民の方は「なんでうちがこんなことに、、、」と打ちひしがれていると思います。

住民の方には何の落ち度もないので同情します。

 

これから家を買おうと考えている方には、「自然の脅威」を受け止め、災害リスクの低い場所を選んで欲しいと思います。

10年前の4月16日1 時 25 分、観測史上初めて、二日と置かずに2度目となる震度7の地震が発生しました。

熊本地震も、多くの“想定外”が発生し、驚かされました。

 

私の記憶に残っている“想定外”の出来事

1.新新耐震かつ耐震等級2の建物が倒壊

2.免震装置が想定されていた範囲を超えて動いた

3.災害関連死の増加

※震度7が立て続けに発生したというのが一番の驚きでしたが。

 

建物は大きく揺れるから壊れる

1.新新耐震かつ耐震等級2の建物が倒壊

 

熊本地震では、

2000年基準(新・新耐震)

耐震等級2

木造2階建

の戸建住宅が2棟倒壊しました。

 

阪神淡路大震災を受けて、特に木造の耐震性の更なる向上を図った2000年の建築基準法の改正に則って建築され、しかも耐震等級2なので、通常(耐震等級1)よりも1.25倍の地震力に耐えられる住宅性能の筈でした。

 

この“想定外”が起きた原因は、主には

大きな揺れが2回連続で起きた

直下率が低かった

施工不良(手抜き工事)

が挙げられるようです。

※「直下率」と「施工不良」については、以前書いた記事で説明しているので、これを参考にしていただきたいと思います。

 

 

2.免震装置が想定されていた範囲を超えて動いた

についても、原因は揺れの大きさが想定を超えたことですし、

3.災害関連死の増加

についても、大きな揺れで自宅が壊れたから、避難せざるを得なかった訳です。

自宅の継続使用に問題がなければ、災害関連死も防げた筈です。

 

大きく揺れる場所には住まない

結局、被害のすべての原因は、「地面が大きく揺れたこと」です。

大地震の被害の原因としては、当り前過ぎますが。

 

下図は、熊本地震で倒壊した建物の比率が高いエリアを表示しています。

倒壊率が高かったエリアは横に広がっています。

縦方向にはあまり広がりが見られません。

 

≪建築物の倒壊率の分布≫

「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント

https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf

からの引用です。

 

そして、下図が4月16日本震の深度分布図です。

気象庁がまとめた図を引用しています。

https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/2016_04_14_kumamoto/suikei2.pdf

 

表示されている範囲や縮尺が異なるので、分かりにくいですが、熊本地震は断層に沿って、狭い範囲で強い揺れが生じたことが分かっています。

上の「建築物の倒壊率の分布」でも、倒壊率の高い帯から上下にズレると倒壊率が下がっているのが分かります。

 

熊本地震は、断層型なので、避けようがありません。

断層型地震は、(日本なら)どこでも発生する可能性があり、たまたま運悪く、直下で断層がズレてしまったら、台地の上であろうが、低地であろうが、震度7の揺れに襲われる可能性があります。

 

東京で震度7になる場所は分かっている

断層型地震だけを考えるのであれば、住む場所を気にしても仕方がないとも思えますが、これに加えて、近い将来「震度7」の揺れが襲う可能性が高いことが分かっている場所もあります。

首都直下地震が発生した場合の、東京東部の低地帯です。

 

 

上図は、J-SHIS Mapで東京都全体を表示したものですが、東京都東部の低地帯は、表層地盤増幅率が”1.8”より大きい濃いピンクやえんじ色となっています。

これは、表層面が非常に揺れやすいことを示しており、大地震が発生したら、深度“7”になる可能性が高い場所です。

 

この東京東部の低地帯は、柔らかい地層が厚く堆積しているエリアなので、この真下で断層型地震が発生した場合には、軟弱地盤エリアの広い範囲で震度7となる可能性があります。

 

東京東部の低地帯は、

いつ発生するか分からないけど、近くで発生する可能性もある「断層型地震」

いつ発生してもおかしくないといわれている「首都直下地震」

のどちらが発生しても、震度7となる可能性がある(というか結構高い)エリアなのです。

 

“想定外”な揺れでも安心なエリア

首都直下地震については、東京東部の低地帯に住まないだけで、家族の命のリスクを減らすことができます。

断層型地震についても、地盤の良いエリアであれば、大きく揺れる範囲は狭くなるので、震度7になる確率を低くできます。

 

熊本地震では、「新・新耐震」の「耐震等級2」の建物が倒壊したり、免震装置が想定されていた範囲を超えて動いてしまったり、といった“想定外”がありました。

大地震の度に、“想定外”という言葉がニュースになるように、これから発生する大地震でも“想定外”の事象は発生するでしょう。

 

だとしたら、何とか、“想定外”でも生き残れる確率を少しでも高くしましょう。

 

1.地盤の良い場所に住む(大地震の際の震度が小さくなる)

2.なるべく丈夫な建物を選ぶ

3.家具の固定や備蓄をする

 

この3つを実行すれば、大地震があっても生き残ることができる確率は格段に高くなります。

 

あの凄まじいまでの自然の力を見せつけた東日本大震災から15年が経ちました。

 

あのとき感じたショックや恐れが、今の「防災マンション東京」の情報提供につながっています。

なぜ、住んでいる人からしたら悪口にも聞こえる、【防災力:1】のマンション情報を発信するのか。

 

震災(他の震災も含みます)の犠牲者数は、住む場所によって大きく変わるということが分かったからです。

 

被害の程度は、住む場所によって大きく変わる

東日本大震災の直接死の死因は、約90%が津波に関連する「溺死」です。

津波が来ない内陸部に住んでいれば、避けられました。

 

阪神淡路大震災の直接死の死因は、約77%が「圧死・窒息」です。

熊本地震の直接死の死因は、約6割が「圧死・窒息」です。

能登半島地震の直接死の死因は、約4割が「圧死」、約2割が「窒息・呼吸不全」です。

→断層型地震はどこでも起こり得るのですが、軟弱地盤の場所を避けて住んでいれば、被害は小さくなったと考えられます。

 

北海道胆振東部地震の直接死の死因は、9割以上が「土砂災害による埋没」です。

山から離れた場所に家を構えていれば、避けられました。

 

勿論、これは少し短絡的な結論です。

職場で巻き込まれたり、親戚の家で被害に遭った方もいるでしょう。

 

ですが、少なくとも、住まいを「災害リスクの低い場所」に構えていれば、被害に遭う確率を下げることができた筈です。

 

発災直後にケガをしないために

大地震が発生した後に生き延びるためには、ケガをしないことも非常に重要です。

 

発災直後にケガをすることは致命傷となりかねません。

少し大きなケガをすると逃げようとしても身体が動かない状況に陥る可能性があるだけでなく、震災直後は医療体制も崩壊するため、十分な治療を受けられない可能性もあるためです。


大地震が発生すると、思わぬものが凶器となります。

以前は、地震が起きたら机の下で「頭を抱えて」と言っていましたが、今は「机の脚をしっかり持って」に変わっています。

最近多いフローリングの部屋では、机やテーブルが大きく動き、人を傷つける可能性があるのです。

 

では、どうしたら、大地震が発生してもケガをしないで済むでしょうか。

自分だけでなく、家族がケガをするような事態も避けたいですよね。

 

大地震でケガをする原因は、

家が倒壊する
建具が破損する
家具が倒れたり、窓ガラスが割れたりする

等が考えられます。

 

これらも大元を辿ると、地震で揺れるから生じる現象ですよね。

なので、地震が発生してもなるべく揺れが小さくなる場所に住むべきなのです。

更に頑丈な建物を選べたら、なおさら安心ですね。

 

結論は、「安全な場所」に住む

また、いつもの繰り返しですが、やはり大震災の際に生き延びるために一番大事なのは、「安全な場所」にある「頑丈な家」なのです。

 

家が無事なら、避難所に身を寄せなくても済むかもしれません。

熊本地震の後、災害関連死が話題となりましたが、震災後も家で過ごせるなら、ストレスは大きく軽減できるでしょう。

 

高市総理も、東日本大震災追悼復興祈念式で「災害に強い国づくりを進めていく」とおっしゃっていたようですが、それには、まず、軟弱地盤エリアの人口を減らす方策を練っていただきたい。

 

軟弱地盤エリアに人が住む

 ↓

発災後、多くの人員が救助・救急、消火活動に入らないとならない

 ↓

救助隊員は命を懸けて活動しなくてはならない

救助活動や復旧・復興には莫大な予算が必要となる

 

軟弱地盤エリアだと分かっていながら住む人には、将来必要となる救助活動や復旧に必要な予算の事前積み立てとして「災害税」を課してもいいのではないかとさえ思います。

 

まぁ、税を課すのは難しいでしょうから、「災害リスクの低い場所」に住む人達に、何らかの優遇税制を用意してあげてほしいと思います。

「災害リスクの低い場所」は、不動産の価格が高いかもしれませんが、購入者は、震災後も助けを必要とせず、災害後に必要となる税金を節約する存在でもあるので。

 

「災害リスクが高い」ことを分かっていながら、不動産の価格が安いからと住む人が、被災したら、税金で復旧しろというのは、「災害リスクが低い」場所を選んで住んでいる人からすると、不公平な感じもします。

 

自分の身を守ることを考えているひとは自腹で安全を買い、安全を軽視している人が税金で復旧してもらおうとするなんて。

童話の「アリとキリギリス」の話の逆で、キリギリスの方が得じゃね!ってことになりますね。

 

最後は、余談が過ぎましたが、「住む場所」の選択が家族の命を左右するということが、東日本大震災などの震災からの教訓です。