初めて、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。

正直、驚きました。

 

8月8日の夕方、「調査中」と発表がありましたが、「調査終了」となるだろうと高をくくっていました。

8日の地震が、想定震源域の西の外れで起きたことや、マグニチュードが7を少し上回る程度だったことから、そこまでは踏み込まないのではないかと考えていました。

 

誤解をしていただきたくないのですが、マグニチュード7.1の地震が「小さい」と言いたいのではありません。

8日の宮崎の日向灘を震源とする地震で被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。

あくまで「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を出すかどうかの判断として、という意味です。

 

パニック発生のおそれ

「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を出すことに慎重になるだろうと思っていた理由は、上記の他にもあります。

 

「巨大地震注意」などと発表したら、パニックが発生し、買い占めや風評被害などが起きることが予想されたからです。

 

しかし、買い占めや宿泊キャンセル等のニュースも多少見ますが、大きな混乱には陥っていないようですね。

日本社会の成熟を見る思いです。

(キャンセルされた宿泊施設にとっては喜んでいられないでしょうが。)

 

吉村昭著「関東大震災」には、明治39年1月16日に、今村明恒(東京大学)助教授の「今後五十年内に酸鼻の大地震に遭遇」するという主張を紹介した記事がキッカケで民衆がパニックに陥った様子が描かれています。

千葉の地震やデマなどの要因もありますが、啓蒙するつもりで発表した記事がパニックを生み、そのため、却って民衆への防災知識の啓蒙が滞った面があるようです。

 

勿論、明治の頃と今とでは、時代が全然違います。

我々は、多くの大地震を経験し、学者でも政府でも「地震については、いまだに分からないことの方が多い」ということが分かっています。

 

それでも気象庁は、「巨大地震注意」を発表するのには勇気がいったのではないでしょうか。

あの人たちは、危機を煽ることが商売だから、「危ない危ない」ってバイアスを掛けるんだよ、と主張する輩を見掛けますが、誰かがやらないといけない仕事です。

 

今回は、「巨大地震注意」を出した勇気を称えたいです。

 

巨大地震注意のリスク

では、「巨大地震注意」とはどれくらいのリスクがあるのでしょうか?

 

「同様の状況で7日以内に巨大地震が発生したのは1437例中6例で「数百回に1回程度」の危険度」

 

とされています。

 

 

かつ、

 

前兆と言えるような確度はない

 

とのことなので、今回の「巨大地震注意」が直接大地震に繋がる可能性は低いと見ていいでしょう。

 

更に、東京都は、島しょ部を除けば、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されていないので、万が一、南海トラフ地震が発生しても、震度6や7の激烈な揺れには見舞われないだろうとされています。

 

備えの大切さの再認識

ただ、今回「巨大地震注意」が発表された意義は、万が一の大地震の発生がなかったとしても、防災意識を改めて高めてくれたところにあるのではないかと思います。

 

私も、防災士の端くれとして、備蓄の大切さは重々承知しているものの、“水”の保存については、ないがしろにしていた面があります。

 

家族5人の飲料水は、7日間分で、105L必要

 

と言われる中、東京のマンション暮らしである私は、「そんなスペースないよ!」と困り果て、せいぜい50L程度の備蓄しかできていませんでした。

 

ですが、今回の「巨大地震注意」を受けて、空いているペットボトルに水道水を入れて保存、という備蓄方法を試してみました。

 

 

2Lペットボトル25本分の水道水なので、これで50Lがクリアです。

水道水は、1週間程度でしたら腐らないと言われているので、「巨大地震注意」が出ている期間は持ちそうです。

元々備蓄していたミネラルウォーターやお茶と併せて、大体5人家族分の105Lとなります。

 

生活用水の確保は「お風呂に水を溜めておく」

 

ファミリーでしたら、お風呂に水を溜めておくことで3日分くらいの生活用水になるようです。

 

ただ、言うまでもないですが“水”は生命線なので、生活用水は飲料水のバックアップにできるように、なるべく使わないようにして、他から水が入手できるような目途が立ってから使うことが望ましいです。

 

大地震の揺れを生き延びた後、命のリスクが高まる一番の要因は、“水”がなくなることなので、“水”は確実に確保していただきたいと思います。

 

最後に、大地震の揺れを生き延びるために一番有効なのは、『安全な場所に住むこと』です。

揺れにくい立地、損壊可能性の低い建物を「住まい」に選びましょう。

昨日(2024年7月31日)、『記録的短時間大雨情報』が東京でも発表されました。

 

 

記録的短時間大雨情報

『記録的短時間大雨情報』というのは、東京だと「1時間に100㎜」を超えるような雨が降る場合に発表されます。

 

これは、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析をしたときに、気象庁が発表する情報であり、昨日、北区や板橋区では浸水被害が相次ぎました。

 

東京でも1時間に100㎜を超える雨は降るんです!

 

私の事務所がある新宿区曙橋も、大雨が降った場合に水を流すトンネルを整備したことにより、昔に比べると道路が冠水することはほとんどなくなりました。

 

が、この放水トンネルが想定している降水量は「1時間75㎜」です。

因みに、通常の下水道管が想定している降水量は「1時間50㎜」です。

 

つまり、1時間100㎜なんて大雨が降ったら、川の近くじゃなくても、どこでも冠水するんです。

下水道の容量的に、それは定められた“運命”なのです。

 

浸水ハザードマップの見方

ハザードマップを見て、浸水可能性は指摘されてはいるものの「0.1m~0.5m未満」の場所だから安全だ、なんて思っていないですよね?

そんなことを言っている知り合いがいたら、教えてあげてください。

 

川筋や谷筋の浸水箇所と連続している場合は、想定を超える雨が降った場合には、ハザードマップを超えてくる可能性がある、ということを。

 

これだけ毎年、あちらこちらで「想定外だった」「うちは安全だと思ってた」などと繰り返しニュースで流れているのに、自分だけは問題ないと思い込む人の何と多いことか。

 

“想定外”を想定しましょう!

 

ハザードマップはあくまで「目安」です。

地形や標高等もみて、浸水リスクの低い場所を選びましょう。

 

昨日、防災力を評価した都区内マンションが500棟を超えたので、MAP(GoogleMyMaps)を作成しました。 

 

 
災害リスクが最も低い【防災力:5】のマンションは、青のマークで表示されています。

 

災害リスクが低いマンションが集まっているエリア

 

 

環七の外側、中央線より北側、東武東上線の南側

上図にあるように、中央線と東武東上線に挟まれ、環七の外側のエリアには【防災力:3】のマンションが存在しません。

 

勿論、私が評価しているのは、ごくごく一部のマンションなので、今後出てくる可能性の方が高いですが、緑の【防災力:4】よりも、青の【防災力:5】のマンションが目立つことからも、このエリアは災害リスクが小さいことが推察されます。

※現時点では、区部のマンションを評価対象としているので、市部のマンションはありません。

 

理由

なぜ、このエリアは災害に強い立地なのでしょうか?

 

1.東京は西に行くほど地盤が良い

大まかには、東京は西に行くほど地盤が良い可能性が高くなります。

武蔵野台地を少し俯瞰して見ていただくと、西から東に流れている川の筋が多いことに気が付くと思います。

武蔵野台地は、西の方が川の上流に当たり、台地が削られていない可能性が高くなります。

 

2.地盤ハザードエリアに該当しない

地盤ハザードエリアとして私が取り上げているのは、「液状化」「沖積層」「埋没谷」「土砂災害」の4つです。

液状化》台地の方が液状化が発生する可能性は低くなります。(西の方が有利)

沖積層》主なエリアは、荒川流域や多摩川流域となります。(西の方にはほとんどない)

埋没谷》ほとんどのエリアは、中央線より南側に位置しています。

土砂災害》これは西の方が安全ということはないですが、明治通りの東側と西側なら、東側の方が「土砂災害警戒区域」の指定箇所は多いです。台地の縁が崖や傾斜地となりますので、武蔵野台地の東端に当たる場所では、自ずと指定される場所も多いという訳です。

 

以上の大きくは2つの理由から、23区の中では、上述したエリアの災害リスクが低くなっているといえます。

高井戸駅、千歳船橋駅、桜新町駅の周辺

他にも、

井の頭線「高井戸駅

小田急線「千歳船橋駅

田園都市線「桜新町駅

の周辺も青の【防災力:5】のマンションが目立つことが分かります。

 

これも、単に他の駅の近くのマンションをまだ評価していないだけという可能性もありますが、少なくとも、この3駅に関しては、周辺に災害に強い【防災力:5】のマンションが多いということは言えます。

 

災害に強い立地を選ぶ

防災マンション東京MAP』では、大災害が発生しても被害が抑えられる可能性が高い【防災力:5】のマンションを地図から探せます。

と同時に、上述したように、災害に強いエリアも推察できます。

何度も繰り返していることですが、家族の命を守るため、災害に強い立地のマンションを選ぶようにしてください。