「阪神淡路大震災」から30年経つのですね。

あの日、なんだか早くに目が覚め、寝ぼけまなこでTVを点けたら飛び込んできた映像が忘れられません。

高速道路が倒れ、その背後で何本もの煙が立ち上る様なんて、現実のニュース映像だとはしばらく信じられませんでした。

しかも、日本で。

神戸で。

 

「阪神淡路大震災」は、首都直下地震の備えとして最も参考にすべき事例と考えています。

 

その1番の理由は「大都市圏直撃の大地震」だからです。

大都市を直撃すると何がマズいのかって、それは沢山の人が住んでいる場所だからですよね。

そして「阪神淡路大震災」は多くの教訓を残しました。

死因では窒息・圧死が約8割(立地編)

⇒住家の全壊が約10万棟に上った。

⇒より強固な造りの家が必要だと、2000年の建築基準法改正に繋がった。

 ↓

大きく揺れるから建物は壊れるのだから、揺れが抑えられる可能性が高い『地盤の良い場所』に住居を誘導すべき

という視点をもっと広めるべきでした。

 

※気象庁 「阪神・淡路大震災」特設サイト

 

 

※摂南大学理工学部都市環境工学科都市・地域計画研究室 「阪神・淡路大震災~マップで見る被災と復興~」

 

 

気象庁の「震度7分布マップ」と摂南大学の「被災した住宅マップ」はほぼ重なります。

やはり震度7となった場所は被害が大きかったであろうことが窺えます。

この場所をJ-SHIS Mapで見てみると、

 

※J-SHIS Map

 

最も揺れやすいとされるえんじ色(赤紫?)のエリアもほぼ重なります。

逆にいえば、えんじ色や赤色のエリアを避けていれば、大きな揺れに見舞われずに済んだ可能性があります

 

窒息・圧死の原因には、家具の転倒もありますが、これも揺れるから倒れるのであって、揺れが抑えられれば、倒れてくる家具も少なくなる筈です。

とはいっても、念のために家具の固定は必須ですが。

 

そして、東京都東部のJ-SHIS Mapが下図です。

 

 

東京都区部の東部には紫色のエリアが広がっています。

これは大地震がひとたび起きれば「大きく揺れる場所」だということです。

そして、都区部は武蔵野台地エリア(大まかには京浜東北線より西側)でも赤色のエリアが多いことが分かります。

都区部には、安心できる「地盤の良い場所」は多くないのです。

 

死因では窒息・圧死が約8割(建物編)

阪神淡路大震災で、他の大地震とは違う特徴を一つ挙げるなら、「20代前半の若者の死亡者数が多かった」という点です。

 

⇒大学生が親に気を遣い、家賃の安い木造アパートの1階に住んだ。

⇒同様に、若いサラリーマンが節約のため木造アパートの1階に住んだ。

 

これが主因ではないかと言われています。

 

 

やはり「建物」の堅牢さも重視すべきです。

地盤の悪い場所にある古い木造アパートとか、最も危険な建物です。

 

ですが、この当時は、そんな知見はありませんでした。

この悲しい犠牲の上で我々が学んだ教訓です。

 

学んだからには、子供が一人暮らしをするという際に「古い木造アパート」に住まわせちゃダメだということです。

 

安全な建物については、長くなるので、こちらをご参照ください。

 

 

震度7に耐えられる建物

地震に強い建物といった場合、鉄筋コンクリート造などの種類もですが、耐震等級でも覚えておいて欲しいことがあります。

 

 

この図で分かるように、震度7となる可能性が高い場所では、築年が浅くても耐震等級1の建物は倒壊する可能性があります。

私も、RC造建物の多くは震度7でも倒壊することなく建っているだろうと信じていますが、そもそも耐震等級1の建物にはそこまでの強度が求められていないことは知っておくべきでしょう。

更に一定の割合で存在する施工不良があった場合、、、

 

揺れが小さくなる可能性が高い「地盤の良い」立地で、シンプルかつどっしりとした横長形状の建物を選べば、施工不良があったとしても倒壊する可能性は低いのではないかと考えています。

 

救助の遅延

震災から少し経ってニュースでよく言われていたのが「渋滞によって辿り着けません」というコメントでした。

 

倒壊した建物や避難しようとして道路に出てきた自動車によって道路が埋まり、消防車や救急車が立ち往生しました。

 

火の手が上がっても消防車が辿り着けず、燃えるに任せるしかないという状況でした。

 

東京都では、緊急自動車の通行を円滑にするために大震災発生時には交通規制をすることになっています。

 

※警視庁 第一次交通規制

 

しかし、幹線道路から離れ、周辺に狭隘街路が広がっているような場所では、緊急自動車の到着は困難でしょう。

 

緊急時には「助けやすい人」から優先することになるのは仕方がないことを考えると、幹線道路から近いところに住居を構えた方がいざという場合に安心かもしれません。

 

と言いつつ、ファミリー層には幹線道路沿いはお勧めできないので、匙加減が難しいですが。

 

《参照》幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 

 

首都直下地震はいつ発生してもおかしくない状態

首都直下地震の発生確率は「今後30年以内に70%」とされています。

 

 

上図で薄いピンクで表記しているM7クラスの地震が、関東大震災から100年経過しても発生していないため、いつ発生してもおかしくない状態だと言われている訳です。

 

マグニチュード7クラスなら、大きな心配はなくね?

と思ったら大間違いです。

マグニチュード7クラスであっても、震源が浅い直下型であった場合、特に東京東部の低地帯では大きな被害が出ることは間違いがありません。

 

 

まとめ

阪神淡路大震災のマグニチュードは「7.3」でした。

先ほど触れた南関東でいつ起きてもおかしくない地震も、マグニチュード7を超える可能性があります。

その意味でも、阪神淡路大震災は大いに教訓とするべきなのです。

 

いつ起きてもおかしくないとは言いつつ、その「いつか」は予見できないので、地道に備えを進めるしかありません。

 

繰り返しますが、

一番の備えは『安全な場所に住むこと』です。

そして『壊れる可能性が低い丈夫な建物』を選ぶことです。

その上で、家具を固定し、水や食料、非常用トイレなどを備蓄しましょう。

 

この備えをしたならば、あなたとその家族が次の大震災で生き残る可能性は格段に高くなるでしょう。