は、「安全な立地」について考えるとき、非常に示唆に富んでいるように思えるのです。

 

1位~10位

ランキングの1位~10位は、西荻窪駅を除いて、市部となります。

武蔵野台地は、西から東に傾斜しているので、西の方が上流となります。

当然、西の方が台地部分が多くなる訳です。

10位より上の駅は、高台(台地)比率が70%超となっています。

 

 

上図は、国土地理院地図の土地条件図をキャプチャし、東京都の境界線を強調したものです。

オレンジ色が武蔵野台地で、西の方がオレンジ色が詰まっており、東の方は沢山の筋が入っていることが分かります。

 

11位~20位

11位~19位は、高台(台地)比率が60%~70%の駅が並びます。

信濃町駅が、山手線の内側の駅としては最も上位の高台(台地)比率で、66%となっています。

千駄ヶ谷駅や代々木駅などもランクに入ってきますが、新宿駅より西側の駅が多くを占めます。

 

21位~30位

下位には、都心部の駅が並びます。

東京駅は1.9%で最下位、神田駅が4.3%でブービー賞です。

 

台地に市街を拡げていれば、東京区部の自然災害リスクは5分の1程度

元千葉大学理学部地球科学科教授 水谷武司先生は、ご自身のホームページで、
ゼロメートル低地の利用を抑え台地に市街を拡げていたとした場合、東京区部の自然災害リスクは5分の1程度になると算定される。
と書かれています。

 

逆にいうと、自然災害リスクが数倍高い東部の低地帯に人を住まわすことは、

【大地震が発生すると】

→死傷者が増加、建物の倒壊・損壊も増加

→救助等で、人的資源を全国からかき集めて投下しなくてはならない

→救援・復旧・復興に国家予算の数倍単位の費用が必要となる

 

これらのことは、普通に予想されていることなんですよね。

なのに、国も都も区も、いまだに東京東部の低地帯への人口流入を止めていません。

 

東京東部の低地帯に災害リスクを知りながら住む人は、

冬山に軽装備で登る人と同じような気がしています。

冬山に軽装備で登り、遭難し、安易に救助を頼む人がたまにニュースになりますよね。

そうすると、

「救助に掛かった費用を請求するべきだ!」

「冬山の救助は、レスキューの人も命がけだということが分かっていない。」

「軽装備の無謀登山者は、自己責任ということで、助けなくてもいいのでは?」

という声が上がります

 

これらのコメントは、災害リスクを分かっていながら東部の低地帯に住む人に向けても同様に掛けられるべきなのではないでしょうか?

リスクが高いと知りながら住んで、被災したら救助を求め、建物が壊れたと税金での復旧を望む。

 

この、救援・復旧・復興に掛かる費用は、高台(台地)の住民からも等しく徴収されている税金が原資です。

高台(台地)の住民は、低地に住む人と何の差もなく税金を徴収され、復旧・復興で支給される額は数分の一と想定されるのです。

 

高台(台地)の住民は、発災後に税金を使わない人たちなので、高台に住むことを推奨・励行する補助金があってもいいくらいです。

逆に、低地帯に住む人は、発災後に税金をメチャクチャ使う人たちなので、事前に「災害リスク税(釜井俊孝教授)」を払ってもらうようにするというのは合理的なのではないでしょうか。

復旧・復興に必要なお金は、復旧・復興を必要とする人たちで負担してもらう。

 

勿論、低地で被害に遭っても、高台の人たちは助けません、ということではないです。

低地のリスクを知らないまま住んでしまっている昔からの人もいるでしょうし、想定外の被害だって必ず生じます。

なので、高台の住人にもある程度は負担してもらうのは仕方のないことなのですが、災害リスクが高いと分かっている場所を「価格が手頃だから」という理由で選ぶ人と負担が同じなのは納得がいきません。

 

近い将来起きるといわれている「首都直下地震」や「東南海トラフ地震」に対して、防災費用が足りない、財源がないという話をよく聞きます。

災害リスクが高い場所に住む人から「災害リスク税」を徴収することで、この財源の一部とするとともに、災害危険箇所の人口を減らすことにも繋がり、発災後の被害を軽減することにも繋がります。

いいことずくめの施策に感じます。

 

JR中央線の駅周囲高台比率ランキングを改めて見ていたら、色々考えてしまいました。