源氏イラスト訳【若紫267】無常
世の中のはかなさもあはれに、「うしろめたげに思へりし人もいかならむ。幼きほどに、恋ひやすらむ。
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見るだけで楽に、古文の速読力が身についてきます。
【源氏物語イラスト訳】
世の中のはかなさもあはれに、
訳)世の中の無常もしみじみ感じ、
「うしろめたげに思へりし人もいかならむ。
訳)「尼君が気がかりに思っていた人(=若紫)もどうしているだろう。
幼きほどに、恋ひやすらむ。
訳)幼い年頃だから、尼君を恋い慕うことをしているのだろう か。
【古文】
世の中のはかなさもあはれに、「うしろめたげに思へりし人もいかならむ。幼きほどに、恋ひやすらむ。
【訳】
世の中の無常もしみじみ感じ、「尼君が気がかりに思っていた人(=若紫)もどうしているだろう。幼い年頃だから、尼君を恋い慕うことをしているのだろう か。
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■【世の中】…この世
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【はかなさ】…無常。頼りなさ
■【も】…強意の係助詞
■【あはれに】…ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形
※【あはれなり】…しみじみ感慨深い
■【うしろめたげに】…ナリ活用形容動詞「うしろめたげなり」連用形
※【うしろめたげなり】…気がかりな様子である
■【思へ】…ハ行四段動詞「思ふ」已然形
■【り】…完了(存続)の助動詞「り」連用形
■【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【も】…強意の係助詞
■【いかなら】…ナリ活用形容動詞「いかなり」未然形
※【いかなり】…どのようだ
■【む】…推量の助動詞「む」連体形
■【幼(をさな)き】…ク活用形容詞「幼し」連体形
■【ほど】…年頃
■【に】…時を表す格助詞
■【恋ひ】…恋い慕うこと
■【や】…疑問の係助詞
■【す】…サ変動詞「す」終止形
■【らむ】…現在推量の助動詞「らむ」連体形
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「うしろめたげに思へりし人」とは、
「心配なふうに思っていた人」と直訳します。
「うしろめたげ」とは、尼君が若紫のことを心配していたことが想定されますね。
このように、『源氏物語』には
ダイレクトに言わずに、ぼかした表現がけっこう多いです。
したがって、
イラスト訳で、しっかりイメージさせながら、速読トレーニングしていってほしいと思います。