【夕顔266-3】古文単語「神事」
大学入試の古文解釈では、
たんに古語の意味だけでなく、
古文常識も含んだ選択肢が出題されたりもしますよ!
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【古文常識】を覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
「…聞きつけはべりしかば、神事なるころ、いと不便なること、と思うたまへかしこまりて、え参らぬなり。
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今回出てきた古文単語
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■【聞きつけ】…カ行下二段動詞「聞きつく」連用形
■【はべり】…丁寧の補助動詞(光源氏⇒頭中将)
■【しか】…過去の助動詞「き」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【神事(じんじ)】…神社の祭事
■【なる】…断定の助動詞「なり」連体形
■【ころ】…頃
■【いと】…たいそう
■【不便なる】…ナリ活用形容動詞「不便なり」連体形
※【不便(ふびん)なり】…不都合だ
■【と】…引用の格助詞
■【思うたまへ】…思いまして
※【思う】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形ウ音便
※【たまふ】…謙譲の補助動詞(光源氏⇒頭中将)
■【かしこまる】…遠慮する
■【て】…単純接続の接続助詞
■【え】…(打消と呼応して)~できない
■【参ら】…ラ行四段動詞「参る」未然形
※【参(まゐ)る】…「行く」の謙譲(光源氏⇒帝)
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【なり】…断定の助動詞「なり」終止形
◇ 今回は「たまへ」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「神事」 ☆
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「…聞きつけはべりしかば、神事なるころ、いと不便なること、と思うたまへかしこまりて、え参らぬなり。
問)傍線部の説明として最も適当なものを一つ選べ。
1.宮中でも新嘗祭を控えている頃なので、穢れた身で参内するのは不具合だ。
2.人の死に接することは、鬼神をも恐れさせる大事件なので、宮中へ参内するには不都合だ。
3.神社のお祭りが多くある頃なので、宮中へも参内できないのはたいそう不便である。
4.京の都では、葵祭が開催されている頃なので、穢れた身体で出歩くのはさし控えたい。
5.宮中でも鬼神を祀る時期なので、死に触れたわが身では、忌まわしいことも起こりうるだろう。
大学入試の古文では、
こういう古文常識を含んだものもよく出題されます。
【神事(しんじ)】
【名詞】
…神社の祭事
※Weblio古語辞典より
今回は、神事のなかでも、
光源氏が、死に触れた穢れた身で
宮中へ行くのを憚るような祭事ですから、
「宮中祭祀」のことですね。
宮中祭祀とは、
天皇が国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的におこなう祭祀。
現代でも、このようなものがあります。
1月3日 元始祭(げんしさい)
1月4日 奏事始(そうじはじめ)
1月7日 昭和天皇祭(しょうわてんのうさい)
1月30日 孝明天皇例祭(こうめいてんのうれいさい)
2月17日 祈年祭(きねんさい)
春分の日 春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)、春季神殿祭(しゅんきしんでんさい)
4月3日 神武天皇祭(じんむてんのうさい)、皇霊殿御神楽(こうれいでんみかぐら)
6月30日 節折(よおり) 、大祓(おおはらい)
7月30日 明治天皇例祭(めいじてんのうれいさい)
秋分の日 秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)、秋季神殿祭(しゅうきしんでんさい)
10月17日 神嘗祭(かんなめさい)
11月23日 新嘗祭(にいなめさい)
12月中旬 賢所御神楽(かしこどころみかぐら)
12月23日 天長祭(てんちょうさい)
12月25日 大正天皇例祭(たいしょうてんのうれいさい)
12月31日 節折(よおり)、大祓(おおはらい)
毎月1、11、21日 旬祭(しゅんさい)
毎日 日供の儀(にっくにのぎ) 毎朝御代拝(まいちょうごだいはい)
※Wikipedia「宮中祭祀」より
今回の季節は秋なので、
旧暦でいうと、神嘗祭、新嘗祭あたりを指していると思われます。
死の穢れに触れた人が宮中に出入りすると、
宮中を穢したことになるので、神事が執り行えません。
なので、光源氏は、
死に触れたことを理由に
(本当は下人でなく、夕顔の死に触れたんだけどね;)
宮中への参内を断ったんです。
【解答】…1
「…聞きつけはべりしかば、神事なるころ、いと不便なること、と思うたまへかしこまりて、え参らぬなり。
● 過去記事リンク
■はべり
■いと
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