嘘つきは恋人の始まり 11《にのあい》
つづきですあの時のオレは、自分のことしか考えられなくて。どうしよう。あんなことして…二宮さんを傷つけたよね。絶対、嫌われた。…時間を巻き戻して、全部…無かったことに出来たらいいのに。そんなことを考えながら、アパートの階段を上って…そして、足を踏み外したんだ。「…思い出すのに時間がかかって、ごめん」「やだ。許さない」「お願い。最初からやり直しさせて?オレ、かずのこと好きなんだ。大好き。一生…大切にするから、オレと付き合ってください」「いや、それ…恋人通り越して、もはやプロポーズじゃ」「あれ?本当だね」くふくふ と笑いながら、おでこをコツンと合わせると、鼻先が触れた。かずは…オレの腕の中から逃げようとする素振りは見せない。それどころか、背中に回された手がしっかりとシャツを掴んで離さなくて。かずは、その身をオレに委ねていた。「ね、キスしても良い?」と …唇から数ミリの距離で囁くオレにいつものツンデレが炸裂した。「//// 許さないって言ったけど」あぁ、もう!可愛くて仕方がない♡「うん…でも、キスしたい。今度は絶対忘れないから」「…やだ」そう言った かずは、嘘…ではなく照れている時の顔をしていたからオレは優しく、その唇を塞いだ。細く目を開けるとかずは…静かにその瞳を閉じていてそっと舌を差し込めばあの時と同じように甘い吐息を絡ませ、応えてきた。次第に深まるキスに…(やばい)これ以上は自制が効かなくなると判断したオレはちゅ、と 軽く音を立てて唇を離した。少し場の空気を変えようと、かずに話を振る。「ねぇ、かずは?告白の返事聞いてないけど」「え?!そんなの…わかってるでしょ?!////」「わかってても聞きたいんだよ」「……////」ごめんね?困らせたい訳じゃないんだけど、反応が可愛すぎて…どうしても聞きたい。…この口に言わせたい。「かず?」「…あなたが好き。オレとずっと一緒にいて?」シャツの裾を掴んだまま、ふわりと微笑んだかずの瞳には一片の曇りもなくて。その嘘偽りのない、彼の…最上級の笑顔にもうオレの自制心なんて、何の役にも立たなかった。つづくmiu