愛は降り積もる雪のように 23《末ズ》
つづきです寝返りを打つと、柔らかな壁にぶつかった。…ん?壁?ゆっくり目を開けると、そこには潤くんが。作家生活が長かったせいか、以前より幾分細くなった身体。それでも贅肉なんてものが見当たらないのはさすがだ。「和、起きた?」「…うん。おはよ」「おはよう。あのさ、躰…大丈夫?」「えっと…ちょっと痛い…かな」何度も何度も…彼のものを受け入れた場所には、鈍い痛みが残っていた。まぁ、でも想定内。むしろこのくらいで済んだのなら良かったとすら思う。「ごめん。どこに何があるか…全然分からなくて。とりあえずティッシュでざっと拭ったけど。ベタベタで気持ち悪いよな。風呂沸かしたから入ろう?」「えっと…先入ってきて?オレは後でいいから」「ダメだよ、和が先!中のも…少し掻き出したけど、ちゃんとキレイにしないと。…って、俺が言うなって感じだよな」////あ、そう。寝てる間に、中の…アレは掻き出してくれたんだ。その様子を想像したら、なんだか無性に恥ずかしくなってしまった。「うん…じゃあ、入ってくる」いつの間にか運ばれていたベッドから降りようとすると、カクンと腰がぬけた。すぐ隣にいた潤くんが咄嗟に手を伸ばしてくれて転ばずに済んだが、どうやら…オレの躰はもう少し休憩が必要らしい。「やっぱりアナタが先に…」と言いかけたのだが、全てを察した潤くんにお姫様だっこをされ、風呂場まで運ばれ、狭い中で…抱き合うようにして中までキレイに洗われる羽目になってしまった。「なんか…ごめんね。床もキレイにしてもらって」「雑巾が見つからなくて、ティッシュめっちゃ使ったけど」ゴミ袋に納められた大量の使用済みティッシュが、行為の生々しさを物語っている。ゴミ出しする時、もうちょっと…別のゴミを入れて隠さなきゃ////「全然大丈夫。あの…いろいろとありがとう////」「和、こんなんじゃ仕事行けないよな。大野さんに連絡しなきゃ」「あ、それは大丈夫。今日は休みだから」「え、そうなのか?」パァッと明るい表情になる潤くん。あんまり嬉しそうなので、今日から1週間の有給休暇なのだと伝えた。「一緒にいても…いい?」「当たり前だろ?!あ…でも、お前の部屋何もねぇんだよなぁ。…なぁ、少し休んだらウチ来ないか?ここよりはのんびり過ごせると思うけど」実は、最初からそのつもりだったことを告げると、潤くんはクシャッと表情を崩して笑った。それからの彼の行動は早かった。服の入っている場所を確認すると「お前、服少ねぇなぁ。足りないものとか…色々と買うからな!」なんて、スマホ片手に 数日分の着替えをバッグに詰めてくれた。用意が終わると、隣に座り労わるように…オレのお腹にそっと手を置く。「…腹とか痛くないか?大丈夫?」「////うん。大丈夫そうよ」首を傾げ、横を見れば潤くんのキレイな顔がすぐ側に。少し…身体を伸ばしてそっと、唇を重ねた。つづくmiu