新しいお話始めます( ・∇・)

相変わらずのマイペース不定期更新になりますが…
お付き合いくださると嬉しいですキラキラ


では。









あれは小学校低学年だっただろうか。

歩いて5分ほどのスーパーにお使いを頼まれたオレは、財布を首からぶら下げて慣れた道を歩いていた。

だが、目の前には繋がれていない大きな犬が。

怖くて…
逃げようとすると、オレを追ってきた。

今思えば、遊びたかっただけなのかもしれないが、当時のオレにとっては恐怖でしかなくて。
必死に逃げ回っているうち、全然知らない場所に行き着いてしまったんだ。

どうにか戻ろうと、来た道を進むものの、知っている場所には辿り着けない。

やがて辺りは暗くなり始め

淋しくて不安で…
その場に座り込んで泣いてしまった。

どのくらいそうしていただろうか?

聞き慣れた声が、オレの名前を呼んだ。


「かず!」

「あ…さとし!さとし!!」


差し出されたその手は、大きくて…温かくて。

オレは絶対に、この手を離さないって
そう誓ったのだけれど。



でも、それはもう…

遠い日の記憶だ。







「あれ、兄貴?一緒にいるの…彼女かな」


隣を歩いていた潤くんが足を止めた。
同じマンションの同じ階。そして同い年。
クラスは同じになったりならなかったりだけど、オレたちの関係性はずっと変わらない。
学校が終わって互いの姿を見つければ一緒に帰るし、特に用事がなければそのままどちらかの家で宿題をする。その彼よりも3つ年上の智は、オレにとっても兄のような存在だった。
小さい頃は、ふたりで智の後をついてまわって…
3人で毎日のように公園で遊んだり、ゲームをしたりしていた。

でも、智が中学生になった頃から、次第に彼は同じ年の友人とつるむことが増え、少しずつ一緒にいる時間が減り始めた。
彼が高校生にもなるとオレたちでは遊び相手にはならないらしく、すっかり相手にされなくなってしまっていた。


「…また、変えたんだ。何人目よ」


隣に立っている幼馴染に取り繕うこともなく、オレは大きなため息を吐き出した。

…知ってる。
智はモテるんだ。
本当に、あの人で何人目だろう?
オレが知っているだけでも6…いや7人だ。

髪はロングよりショートが好みらしい。
派手目の美人よりかは、清楚で可愛い系。

潤くんが言うには、自分から…ってより、相手から言い寄られるらしいけど。
…ってことは、大人しそうな顔をしているけれど、清楚を装った肉食女子なのかもしれない。女って怖い。
それでも、それを断らないところを見ると、智もまんざらでもないのだろう。

道路の反対側を並んで歩く、智と知らない女。

色味の似た制服は、多分…
同じ高校なのだろう。


「…潤くん、帰ろう?」


この頃の3歳の年の差は、かなり大きい。
中学生なんて全然ガキで。
オレたちとは明らかに違う、ふたりの大人びた雰囲気に、なんだか悔しくて視線を逸らした。

…いくら背伸びしたって、絶対に追いつかない。

オレは…
もう一度、盛大なため息をついた。





つづく



miu