安保関連法案に反対して日本の集団的自衛権行使を認めないように主張している人達は、集団的自衛権行使が容認されると徴兵制になると訴えています。

 

本当にそうなのでしょうか?

 

集団的自衛権というのは、独立国家には当然のように認められているものです。法律で集団的自衛権行使を妨げているのは、世界の中でも日本くらいだと思います。

 

そうなると、集団的自衛権行使が容認されると徴兵制になるというのであれば、日本以外の国は徴兵制になっていることになります。

 

では、世界の国で徴兵制を施行している国はどのくらいあるのでしょうか。下の図は、徴兵制を施行している国、志願制の国などを色分けした世界地図です。赤い色になっている国が徴兵制の国です。

徴兵制

資料出所:Wikipedia

赤:徴兵制を施行している国

青:志願制の国

緑:軍隊を保有していない国

橙:3年以内に徴兵制を廃止予定の国

 

徴兵制のある国

デンマーク、オーストリア、フィンランド、ノルウェー、スイス、ロシア、韓国、イスラエル、トルコ、台湾(注1)、エジプト、シンガポール、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマー(注2)、コロンビア、マレーシア、中国、アルジェリア、キューバ、ギリシャ、ラオス、モンゴル、イエメン、イラン、クウェート、シリア、カーボベルデ、コートジボワール、ギニアビサウ、ギニア、スワジランド、セネガルなど

 

1)台湾は2015年までに徴兵制を廃止することを明言している

2)ミャンマーは法律上は形式的に兵役義務が規定されているものの、実質的には徴兵制度が存在しない

 

徴兵制のない国

ドイツ、ニュージーランド、アイスランド、インド日本、アメリカ合衆国、イギリス、カナダ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、サウジアラビア、ヨルダン、パキスタン、バングラデシュ、アイルランド、オーストラリア、赤道ギニア、アルゼンチン、コスタリカ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ニカラグア、ルーマニア、スウェーデン、ポーランド、セルビア、スロベニア、ブルガリア、ブルネイ、アラブ首長国連邦、クロアチア、モンテネグロ、ラトビア、モロッコ、セーシェル、セントクリストファー・ネイビス、ブルキナファソなど

 

徴兵制があるといっても国民全員が兵役に就くわけではなく、くじ引きで兵役が免除になるタイ、コンピューターによって無作為抽出された人が3か月間共同生活して社会奉仕のような活動をするマレーシア、大学生は免除されるベトナムなど、兵役が免除される国が少なくありません。

 

また、冷戦終結後は徴兵制を廃止している国が増えています。ドイツ、フランス、スウェーデンなどは、冷戦終結後に徴兵制が廃止されました。

 

永世中立国であるスイスとオーストリアは、中立性を保つために強力な軍隊の維持が必要と考えられており、徴兵制が堅持されています。同じく永世中立国であるコスタリカは軍隊を持っていませんが、訓練された警察を保持しており、有事の際には国民に兵役を科すことを憲法に明記しています。

 

つまり、集団的自衛権の行使を認めない方が徴兵制になる可能性が高いというのが、世界の常識です。集団的自衛権行使を容認したら、徴兵制になるというデマには騙されないようにしましょう。


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