マイナンバー制度について何回か記事を書いてきましたが、今回は外国人というのを隠して会社勤めをしている人にどのような影響があるのかを調べてみました。

 

マイナンバー(個人番号)が付与されるのは住民票を有する日本国民だけでなく、中長期在留者や特別永住者などの外国人も対象となります。

 

マイナンバー制度が始まると、会社は税務署に提出される各種法定調書や健康保険・厚生年金・雇用保険などの届出書類にマイナンバーを記載して、行政機関等に提出することになります。

 

税務手続きや社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)手続きの際に、会社は従業員からマイナンバーカードを提示させて、マイナンバーを取得する義務があります。そして、従業員側はマイナンバーの提供を拒否することはできません

 

平成2710月から、会社が従業員などからマイナンバーの取得を開始することができるようになります。平成281月から、申請書・申告書・調書等に順次マイナンバーの記載が開始されます。

 

平成28年の源泉徴収票にはマイナンバーが記載されることになっていますので、既存の従業員については遅くとも平成28年末には勤務先にマイナンバーカードを提示する必要があります。もっとも、ほとんどの会社ではもっと早く提示を求めることが考えられます。

 

健康保険と厚生年金保険関係の手続きについては、マイナンバー制の施行が1年延期されて平成291月からとなります。但し、既存の従業員や従業員が扶養している家族については、平成281月以降に健康保険組合やハローワークに報告することになりますので、会社にマイナンバーを提示する必要があります。

 

マイナンバーを取得する時は、利用目的を明示しなければならず、更にその目的外では利用することができません。例えば、源泉徴収のために取得したマイナンバーは、源泉徴収に関する事務についてだけ利用することが可能ですが、健康保険の手続きについて利用することはできません。

 

源泉徴収や健康保険の手続きなど、マイナンバーを利用する事務と利用目的を包括的に明示して取得して利用することは認められています。おそらくほとんどの会社は、既存の従業員や従業員が扶養している家族のマイナンバー提示をまとめて求めてくると思います。

 

 

会社が従業員のマイナンバーを取得する時は、成りすましを防止するために厳格な本人確認を行うようになっています。その際は、正しい番号であることの確認(番号確認)と、その番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要となり、以下のいずれかの方法で確認する必要があります。

 

①マイナンバーカード(番号確認と身元確認)

②マイナンバーの通知カード(番号確認)と運転免許証など顔写真が貼付されている身分証明書(身元確認)

③個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など顔写真が貼付されている身分証明書(身元確認)

 

会社が従業員などからマイナンバーを取得する時に、番号確認をする資料が大きなポイントになります。

 

マイナンバーカード、マイナンバーの通知カード、住民票には必ず本名が記載されています(通称名が住民登録されている場合は、住民票に通称名が記載されていますし、マイナンバーカードには通称名を併記することはできます)。

 

会社に本名を届けていれば、何も問題はありません。しかし、本名を隠して通称名だけを会社に伝えていた場合は、本名を隠していたことがバレてしまいます。

 

マイナンバー制度が開始されると、このように国籍や本名を勤務先に隠しておくことは難しくなります。そのため、勤務先に国籍を伏せている特別永住者には、昨年の後半頃からマイナンバー制度が始まる前までに帰化を希望している人が増えているようです。


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