先日、衆議院の予算委員会における安倍首相の憲法解釈の見直しの判断の発言について、一部のメディアや政治家が批判をしています。何が問題なのかさっぱり分からないので、安倍首相の発言内容と、批判している政治家の発言を見てみます。

 

まず、安倍首相の憲法解釈の権限についての発言を、過去の発言も含めて見てみます。「憲法解釈の権限 」を法的な観点からみても、なんら間違ったことは言っていませんし、政治家としても問題となるようなことは言っていません。

 

■平成26212日衆議院予算委員会における安倍首相の発言

「最高の責任者は私です。私が責任者であって、政府の答弁に対しても、私が責任を持って、そのうえにおいて、私たちは、選挙で国民から審判を受けるんですよ。審判を受けるのは、法制局長官ではないんです」

(民主党の大串議員の「(憲法の)解釈の変更によって、集団的自衛権の行使が認められるというふうに政府として答弁したことはありますか」という質問に対したものです)

 

■平成254月参議院予算委員会における安倍首相の発言

「立憲主義と平和主義を軽んじる人が、私を含めてこの会場に一人として存在するだろうか。存在するわけはない」

 

■平成261月衆議院本会議における安倍首相の発言

「憲法は権力者の手を縛る、為政者に制限を加えるという側面もあるが、実際は自由民主主義、基本的な人権が定着している今日、王制時代とは違うわけで、一つの国の理想や形を示すものでもある」

 

 

一方、批判している政治家は民主党や共産党の国会議員です。212日の安倍首相の発言に対して、どのような批判を展開していったのでしょうか。民主党の枝野幸男氏と管直人氏の2人の発言内容は以下のとおりです。

 

■枝野幸男元官房長官(民主党)の安倍首相に対する批判

「最高権力者だから憲法の解釈をどう変えてもいいと取られても仕方がない国会答弁だ。国辱的発言だ」


■管直人氏の安倍首相に対する批判

「安倍総理は、『憲法は権力者を縛るもの』という立憲主義の原則を否定し始めた。(中略)そして憲法解釈も、総理大臣は自分の一存で変更できると、立憲主義を真っ向から否定」

 

 

この2名が、民主党が政権与党だったときに、憲法解釈についてどのような発言をしていたのでしょうか。また、民主党政権のときに法令解釈担当相に就任したときの仙谷由人氏の発言もあわせて見てみます。

 

■平成226月朝日新聞のインタビューにおける枝野幸男氏の発言

「もともと内閣法制局は広い意味での意見具申機関だから、(法制局)長官が何を言っても首相や官房長官が『あれは参考意見です』といえばおしまい」

「行政における憲法の解釈は恣意(しい)的に変わってはいけないが、間違った解釈を是正することはあり得る」

 

■平成2111月参議院内閣委員会における管直人氏(当時は副総理)の発言

「日本国憲法には三権分立という言葉はない。私は(三権分立の原則という)これまでの憲法解釈は間違っていると思う」

 

■法令解釈担当相に就任時の仙谷由人氏の発言

「憲法解釈は政治性を帯びざるを得ない。その時点で内閣が責任を持った憲法解釈を国民、国会に提示するのが最も妥当な道だ」

 

同じ憲法解釈ということについて、全く正反対のことを言っています。与党と野党のときでは、憲法解釈が変わってしまうのでしょうか。民主党が政権与党時の発言からすると、与党が行うことに対しては理由もなくとにかく反対しているというようにしか見えません。また、管直人氏は「議会制民主主義とは期限を区切った独裁を認めること」という持論を展開していました。民主党というのは、本当に凄い政党だと思います。

 

また、マスメディアには、もう少し法律についての勉強をしっかりやって欲しいと思います。しかし、日本のマスメディアに対しては、そんな過度な期待はしない方がいいのかなとも思います。それに、マスメディアの中には、民主党と自民党が同じことをしても、民主党のときは賛成、自民党のときは反対という報道を繰り返すようなところもあります。そういうところは、報道機関という看板を早くはずして、広報誌と名乗って欲しいですね。



社会・経済 ブログランキングへ