昨日、マイナンバー制度についての概要を説明しました(詳しくは「マイナンバー制度ってどのようなもの?」 参照)。今回は、マイナンバー制度について指摘されている問題点について書きたいと思います。

 

マイナンバー制度の問題としては、以下のようなことが言われています。

 

①個人情報流出の危険性
②プライバシーの侵害

③預金封鎖の懸念


個人情報流出については、マイナンバー制度が導入によって様々な情報がマイナンバーで捕捉することができるようになりますので、マイナンバーを知られることによって情報が流出する可能性はあります。

 

しかし、マイナンバー制度が導入されても、これまで通り別々のシステムで分散管理をします。これまでと変わるのは、各システムでマイナンバーによって情報検索できるようになるということです。各情報が一ヶ所にまとめられるわけではないので、特定のところから一気に情報が漏れるということはありません

 

税金に関する情報は税金関係のシステム、年金情報は年金関係のシステム、医療情報は医療関係のシステムなど、現在と同じように各システムに分散して管理されます。確かにどのシステムにもマイナンバーで検索することはできますが、そのためには各システムのセキュリティを突破しなければなりません。

 

また、あるシステムに入り込んでも、そこから他のシステムにアクセスする権限は、誰にでも与えられるわけではありません。



一方で、日本の官公庁はサイバー攻撃に対して防御の意識が外国よりも低いことは確かなので、サイバー攻撃への対応にはもっと力を入れるべきです。これは、マイナンバー制度導入に関係なく取り組むべき課題だと思います。

 

マイナンバーによって様々な情報が一元的に管理され、それらの情報が一挙に流出してしまう危険性があると言われています。


 

実際には一元管理ではなく分散管理されます。仮に一元管理をしようとすれば膨大な費用が必要となりますので、一元管理をすることは現実的ではありません。


個人情報流出には、公務員による情報漏えいを懸念する声もあります。ですが、これは現在でも可能性があることで、マイナンバー制度導入に関係なく防止することに取り組みべきことです。

 

 

次に、プライバシーの侵害についてみてみます。マイナンバー制度の導入によって年金・保険・税金・医療・雇用などの個人情報を捕捉しやすくなり、他人に知られたくない私生活の様々な情報が流出すれば、著しいプライバシー侵害が発生することになります。そして、これらの個人情報を国家に管理されることに反対という意見も出ています。

 

マイナンバーと紐づけられる情報については、現在でも公権力が捕捉しようと思えばできます。本名で登録して住所なども住民票通りの情報が登録されていれば、現在でも特定の人の情報を集めることは可能です。つまり、普通の人についてはマイナンバー制度が導入されなくても個々の情報を収集することは既に可能になっています。

 

但し、氏名や住所などが変わっても届出をしていなかったり、偽名などを使って登録していたりすると、捕捉することが難しくなります。それが、マイナンバーで紐づけられるようになれば捕捉することが可能になります。

 

 

つまり、普通に年金・税金・保険などの情報を登録されている人にとっては、プライバシー侵害については大きな変化があるわけではありません。マイナンバーと様々な情報が紐づけられて最も困ると思っているのは、違法な手段で社会福祉などの給付金を受けていたり税金逃れをしているような人達です。


 

3つ目の預金封鎖の懸念ですが、まず預金封鎖とはどのようなものなのかについて説明をします。

 

預金封鎖とは、銀行預金などの金融資産の引き出しを制限することです。 政府財政が破綻寸前になった場合、銀行預金などの国民の資産を把握して、資産に対して税金を掛けて政府収入にあてて破綻から免れようとすることがあります。政府が財政危機に陥った際に、その時の国民の資産を把握したうえでそれに課税し、財政政策へ充当するというものです。

 

預金封鎖辞退はマイナンバー制度を導入しなくても、実施することは可能です。そして、預金封鎖をするときに徴収する預金税は、預金額に応じて累進的に課税されることが多くなり、預金額が多いほど高い税率が課されることになるのが一般的です。

 

その場合、預金の総額が同じでも預金を分散して預けていれば預金税が少なくなります。マイナンバーが銀行口座と全て紐付けされていれば、そういったことがなくなり、預金総額に応じた税率が適用されることになります。

 

ちなみに銀行口座とマイナンバーが紐付けされても、ある人の銀行口座の中身を全て確認するためには、全金融機関に対して確認をする必要があり、相当な手間と時間が掛かります。

 

脱税、マネーロンダリング、生活保護不正受給などの防止に役立つため、早期にマイナンバーと銀行口座を紐づけるようにしたほうがいいでしょう。

 

 

これ以外にも、マイナンバー制度に反対する理由はあるようですが、中には言い掛かりのようなものが少なくありません。

 

マイナンバー制度に反対する人の中には、「番号で国民を管理するのか」ということを主張する人がいます。管理する番号が他の人とは重複してはいけませんし、名前や住所など変更する可能性があるもので管理しようとすると、管理が複雑になってしまい、消えた年金問題と同様のことが起こらないとも限りません。

 

番号で管理されたくないと言っている人は、健康保険や年金に加入していないのでしょうか。キャッシュカードやクレジットカードなども持っていないのでしょうか。何かの会員になっていれば、ほぼ番号で管理されていることになります。マイナンバー制度に反対する前に、銀行やカード会社などに文句を言うべきだと思います。

 

 

マイナンバー制度導入に反対している人の意見を聞くと、感情的なものが多くあります。非論理的に反対しているような人の中には、もしかしたらマイナンバー制度が導入されると何かまずいことがある人がいるのかもしれないと、穿った見方をしてしまいます。


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