今年の10月から導入されるマイナンバー制度については、過去にも何回か記事に書いてきました。マイナンバー制度については、マスコミが中々正しい情報を伝えることがなく、不安を煽るようなことを報じていることが少なくありません。

 

日本年金機構が起こした年金情報流出問題を利用して、マイナンバー制度への反対を主張することも多く見かけます。

 

今回は、マイナンバー制度に反対するときによく言われている成りすましと、マイナンバーが漏れると一気に情報が漏洩してしまうのかということについて書いていきます。

 

 

マイナンバー制度を導入することによって、外国のように成りすましの犯罪が多発するからマイナンバー制度導入には反対という主張をする人が多くいます。

 

米国など外国で発生している共通番号制を悪用した成りすましについては、写真付きの身分証明書などによる本人確認をしていなく、番号のみで本人確認を行ったことが主な原因です。

 

現在の日本のように写真付きの身分証明書などで本人確認を行う仕組みでは、外国で発生しているような事態にはなりません。

 

各種手続きで本人確認はなくなりません。外国で成りすましの犯罪が多発したから日本でも多発するというのは、このようなことを知らないか考慮していないから言えることだと思います。

 

 

マイナンバー制度導入によって、マイナンバーを知られると様々な情報が一気に漏洩してしまうというのも正しくはありません。こういう誤ったことが流布されるのは、マイナンバーによって多くの情報が一元管理されるという嘘が根底にあります。

 

マスコミなどでも、マイナンバーによって税金・社会保険などの情報が一元管理されるという、誤ったことが伝えられることが後を絶ちません。 マイナンバー制度が導入されても、下の図のように従来どおり個人情報は各行政機関が保有し、これまでのように分散して管理をするので一元管理はされません

マイナンバー情報管理

資料出所:内閣官房ホームページ

 

他の行政機関に情報提供を求める時に該当のマイナンバーを知らせて、紹介を受けた行政機関は、そのマイナンバーによって情報を検索して必要な情報を提供するようになります。

 

そして、マイナンバーが分かっているだけでは、各行政機関のネットワークに入って情報を得られるというわけではありません。情報を得るにはそれぞれのネットワークにアクセスしなければいけませんし、各システムで管理されるIDとパスワード等が必要となります。マイナンバーは単に情報を検索するときのキーになるだけで、マイナンバーを知っているだけではそもそも各ネットワークのシステムにアクセスすることすらできません

 

これは当たり前の話で、例えば金融機関の口座番号だけを知っていても、その金融機関のネットワークにアクセスすることはできず、該当口座の残高などは知ることができません。

 

こういったことから、マイナンバーが漏れると「芋づる式に」情報が漏洩するというのが誤りだというのが理解できると思います。

 

情報システムについて少し知識がある人であれば、一元管理をしないということは当然のことだと考えます。

 

一元管理していれば情報が一気に漏洩してしまうことが可能性としてあります。セキュリティの観点から、一元管理ではなく分散管理することが望ましいです。

 

そして、システムの運用や費用を考慮すれば、分散管理にするのは当然と言えます。ただでさえ年金や健康保険など各システムは処理する情報量が膨大で、処理速度や情報の更新などシステム保守・運用の負荷が高くなっています。それを一元管理するようになれば、更に負荷が高くなってしまい、保守や運用の費用が高くなってしまいます。

 

それに加えて、現在はそれぞれ分散したネットワークシステムになっていますので、それを一元管理するようなシステムに変更するには、莫大なシステム開発費用が必要になります。マイナンバー制度導入で、システム導入費用は数千億円と言われていますが、一元管理するようなシステムに変更すればその何倍もの費用が必要となるでしょう。


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