「補完・代替医療の現状と課題」を読む(その19) | 院長の徒然なるままに。

「補完・代替医療の現状と課題」を読む(その19)

「補完・代替医療の現状と課題」を読む、第19回である。

「全身美容」がマッサージ行為を含みながら「美容の一種」として
開業申請を受理される

法的な盲点を突いたような状況から、ある日大きな出来事が発生する。


昭和41(1966)年、東京都衛生局が厚生省に以下の照会をした。

『全身美容の営業内容は化粧品等を使用して
全身に対する作業を行い 或いはむし風呂 
白湯、牛乳、レモン風呂等入浴施設を設け、
美顔術と併用して全身のマッサージ等を
行なうものである』

この全身美容は美容師法に云う「美容」に該当するか否か。

というものであった。

厚生省は以下の回答をする。

「(照会を受けた)全身美容は美容師法における
「美容」には該当しない。
なお、全身美容の目的をもつて入浴施設を
備え多数人を反覆継続して入浴させるときは
当該営業について公衆浴場法の適用があることを
申し添える。」
(昭和42年2月16日環衛第7030号
東京都衛生局公衆衛生部長あて
厚生省環境衛生局環境衛生課長回答)

$ふわ~っと社長!のブログ
この回答により、美容師法第6条による
美容には「全身美容」は該当しない、と
解釈され、その後

「エステティック業は美容師法に言う美容ではなく、
該当法のない『自由業』として開業が可能なのです」

という事になった。


昭和42年の厚生省回答が
エステティック産業の大きな免罪符になったことは
云うまでもない。

その後、万博前後の「いざなぎ景気」が訪れ、
可処分所得を自由に美容に使えることになった主婦層が
全身美容=エステティックを利用するようになり、
エステティック産業は大きな広がりを見せた。

「医療ではなく『美容』」・・・

この言葉が医師や我々鍼灸マッサージ師達の知らないところで
大きくふくれあがり、
更にその勢いを『医学』へまで広げ、取り込んで行くまで
そう長い時間はかからなかった。

今日はここまで・・・・。

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尚、筆者の論文
「統合医療で取りざたされる徒手療法のあはき法との整合性
~癒し、リラックスの名の下に無免許施術が広がるわけ~」は
本年9月頃発刊の「日東医学会誌」に掲載されます。


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