「補完・代替医療の現状と課題」を読む(その16) | 院長の徒然なるままに。

「補完・代替医療の現状と課題」を読む(その16)

「補完・代替医療の現状と課題」の解説16回目である。

前回、盲人のマッサージ師組合からクレームが入ったという話に
たどり着いたが、芝山はその対処として「マッサージ免許を取得」した、
という。

実際にその信憑性がいかがか、現在まで精査できているとは言い難いが、
少なくとも、地元での開業に際しては意義を申し立てる者(盲人)は
いなくなったと想像できる。

しかし、芝山伝の引用部分に以下のようなものがあること……

つまり、

「“私の店で行う技術は顔を美しくするための
マッサージであり、全身的な治療のためのマッサージではない”」


というものである。

大正末期から昭和の初期に近代医学は慶應大学の鈴木先生の仰せのように、

【「療術行為」あるいは「医業類似行為」などと呼ばれた治療者が
群れをなして現れ、近代医学に基づく日本の正当医学に対して
明確に異なったイデオロギーを分節化した】ことであると説明している。

というかたちで、健康になるための療術の跋扈が起こっていた時代
であった。

筆者のいくつかの古い資料には、所謂按摩的な技術が○○マッサージと
題され特集されていた。
これは「マッサージ術」が未だ規制のなかった時代のものであるが、
「健康」の保持増進に関わる「行為」が療術、
あるいは「医業類似行為」として取り締まりの対象となっていく
時代背景の中で、

芝山の身の回りに起こった出来事はささやかではあるが、
後に大きな禍根を残す出来事でもあったと筆者は考える。

つまり

「治療行為ではない(と称する)療術」の誕生である。
その理由を
「目的から分類する」方法論であり、
その
「証明の必要性があったとしても客観性がない」曖昧なものである。

つまり電気であれ、温熱であれ、徒手であれ
「治療のためではなく、慰安や、リラックス、アンチエイジング、
美容、容姿を保つ」などのために行われるので、

「医業類似行為に属さない」というものである。

$ふわ~っと社長!のブログ
医業類似行為に属さないので医師法、あはき法には
触れない領域と云うことになる。


さて、この「美容枠」で広がった様々な刺激法が
坂部先生の論説にあるように再び「医業類似行為(所謂CAM業者)」
として「医療」の領域に戻ってくるのである。

その流れについては、後ほど「芝山伝」を参考に
再び取り上げることにする。

今日はここまで。

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引用、転載の条件としています。     

尚、筆者の論文
「統合医療で取りざたされる徒手療法のあはき法との整合性
~癒し、リラックスの名の下に無免許施術が広がるわけ~」は
本年9月頃発刊の「日東医学会誌」に掲載されます。


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