「スポーツマッサージ(講談社)」を発掘。  | 院長の徒然なるままに。

「スポーツマッサージ(講談社)」を発掘。 

古い資料というわけでもないのだろうが、
購入して、その書籍の存在を知った。

この書籍は
芹澤勝助先生、星虎男先生の共著。

昭和51年(1976)、講談社スポーツシリーズというシリーズものの一冊である。

このシリーズは様々なスポーツを分解写真などで紹介した
89冊(本書籍巻末資料より)にも及ぶ解説書である。

それぞれのスポーツについて当時の一人者が書いているようだ。

空手=大山倍達
水泳=古橋廣之進
女子体操=塚原夫妻
サッカー=ペレ、釜本邦茂
バレーボール=松平康隆
テニス=石黒修、神和住純
ゴルフ=J ニクラウス
などなど。当時を知る読者さんには懐かしい名前ばかりであろう。

そのシリーズの一角をマッサージが占めているのだ。

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なにか全員の「遠くを見つめる目線」がおかしい(笑い)のだが、
無機質なタッチで作りたかったのであろうと納得することにした。
中身もカラーページのレオタードの女性はなにか、無表情であることが
すばらしいことのように、とことんこういった表情なのである。

さすがに万博以降の時代なのでカラー刷りの表紙。
調べてみると「およげたいやきくん」や
「木綿のハンカチーフ」がはやった時代で、
ロッキード事件で田中角栄首相が逮捕された年でもあるのだそう。


話題を本に戻そう(苦笑)。

芹澤勝助先生といえば鍼灸マッサージ師で知らない人はいないだろう(な)。

東京盲学校師範部理療科を経て日本大学文学部卒、
筑波大学の名誉教授と肩書きにはかかれている。

日大だったのね。先輩だ。

さて、芹沢先生は物療(いわゆる按摩マッサージ指圧)に大変造詣が深く、
また現在の鍼灸マッサージ教育を構築するために尽力された方。

当時の文部省の在外研究員として海外を歴訪し
諸外国のマッサージ技術を学んでこられた。

作品に注目しよう。
画像の豊富な誌面は大変見やすくかつ、簡潔に記されている。

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たとえばここに見られる下腿のマッサージ手技では
バリエーションに富んだ技法を披露している。

現在のテキストなどと同様と考えてよいであろう。

しかし、本文中にはとてつもなく新鮮な表記をしている。

それが以下の部分だ。
___________
「行う人の手を相手の体の皮膚にぴったりつけて、
大腿5~6kgの圧を加えながら、血管やリンパ管の
流れに沿って、末梢から中枢の方向になで、さする。」

___________

この、「5~6kg」という表記が昭和の時代に著された
マッサージ技術などの表記における大きな改革でもあった。

圧力の程度を表したマッサージ指南書はこれまで芹澤氏の
著作に見られたのみで(筆者の知るところによる)、
それは彼のマンシェット(血圧を測る際、腕に巻く空気袋)を
押圧した際の水銀柱の変化をオシログラフで測定した研究によるところが大きい。

この書籍には
それぞれの手技について平均的な面圧をkg表記と刺激時間で
表した表が存在するのだ。

それによると

軽擦法  実加重6.17kg(60.83mmHg)
母指圧迫 実加重6.01kg(60.07mmHg)
などと表す。基本的な組織内圧を30mmHgと見ているので、
その差額となる数値は1kgあたり5mmHgという単位を当てはめている。

実はこの数値は私の研究ととても関係深いものでもある。

実際、芹澤氏は上腕なり、大腿などの組織を風船に見立て、
その柔軟度を「大体30mmHgのマンシェットぐらい」と決定した。

そして、それをそれぞれの手法で押圧したとき、
マンシェットにかかる重量対水銀柱単位の差から
1kg=5mmHgという定数を導き出したのであった。


この手法は現在のベーシックにはなりえなかった。

マンシェットの握り圧というのはマンシェットの内圧の
水銀柱変化なので実際の面圧に当てはめることには無理があったのだ。

そんなわけで、その後、誰も按摩マッサージ師圧を面圧という切り口で
見ようとはしなかった、という訳なのである。

ところが、厚労省が
「対象者が痛いと感じる相当程度の強さを以て行う行為は
按摩マッサージ師圧に該当するので云々」という回答をしたことで
圧の強さという概念が按摩マッサージ師圧行為に必要な要件として
取り上げられ、無免許問題は大きな局面に直面することとなった。

つまり、
誰かが「痛い」と感じる程度の施術を行っているなら
それは「摘発のおそれがある」行為であるということである。
こうなると摘発に至る例は相当数になってしまうのではないかと
考えられるのだ。

一方で、「もの足りない」施術ぐらい腹が立つものもなかろう。
もの足りなければ「お金をどぶに捨てた気分」になってしまうのである。
読者の方にも経験がおありだろう。

たった今施術していた患者様にも同じ事をいわれた。
私の施術所が予約いっぱいで入れないと、他の施術所にいくのであるが、
そこで「もの足りない」とほんとうに悔しいのだそうな。
わかるような気がする。しかして、無免許者もクライアントに
気に入られようとして「痛いと感じる相当程度の強さ加減で揉んで」しまうのだ。

難しいお話だ・・・・。

そのような経験から
「整体をしていたがやはり免許をとるべきと考え、受験しました。」という
学生さんが例年数名はいらっしゃる。偉いなあと思う。

書籍の紹介からまた余計なことを書いてしまった。
またこのようなお話については触れることにしよう。

今日はここまで。

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これは現在神奈川衛生学園専門学校と東洋鍼灸専門学校で
実技指導の際、学生達の指導中に放映している。
私がそれぞれのベッドを見て回る間、私自身の手技を
スクリーンを見ながら練習できるようにとの配慮からである。

学生からの評価もおかげさまで好評。

次回作のスポーツマッサージBTMを構築すると、
専門学校だけでは指導しきれなくなると予想されるので、

按摩マッサージ指圧師免許者、およびその過程の学生向けの
特別講義を開催するつもりだ。

基本形をしっかりと学び、地域で評判の技術者になって欲しいものである。
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