「補完・代替医療の現状と課題」を読む(その14) | 院長の徒然なるままに。

「補完・代替医療の現状と課題」を読む(その14)

「補完・代替医療の現状と課題」の解説14回目である。

芝山が掲げた「フェーシャルマッサージ」という名称は
「美顔術」とも呼ばれるようになるのであるが、
その時期の出来事を更に追跡することにする。

芝山伝から抜粋しよう

以下「芝山伝」より転載
______
「美顔術」その命名と講習会余話

マッサージ師の免許をとった兼太郎は正式に、
堂々と『フェーシャル・マッサージ』の看板をかかげた。

日本で最初の表示であった。

 この頃、彼は東京湯島の大日本美髪会に出かけていき、
講師の人達に“技術習得”の経緯を語った後、一つの提案をした。

「私一人で技術をやったところで、一生かかっても
たくさんの客に施術できませんし、これから講習会のあるたびに
教えたいと思いますがいかがでしょうか?」

すると講師達は皆、
「それは業界向上発展のためにたいへん良い事だけれども、
一般講習の前に、まず私達に教えてくれませんか」

と熱心に指導を乞うのであった。そのようないきさつから第一回の
特別講習会は横浜の兼太郎の店で行うことになった。

日本理美容教育センター刊「美容現代史」及び理美容新聞掲載
・赤間徳著「芝山兼太郎伝」によれば、この時講習生は、
美髪会の講師陣、大場秀吉、篠原定吉ら九名に、ただ一人の女性、
初代・遠藤波津子が加わった、といわれている。


________
以上、「芝山伝」より転載。

ここに、疑問点が見られるのだ。

第一に、大日本美髪会は設立が明治39年8月、
「芝山伝」によれば講習会のスタートは明治43年3月1日、
それ以前に特別講習会を行っていたとすると、
芝山が地方講習会を行いはじめた明治42年7月よりも前、
ということになる。

上記の引用にて最初に芝山は「マッサージ師の免許をとった」
と記しているが、マッサージ術の免許鑑札が法制化されるのには
大正9年を待たなければならなかったのであり、
明かな間違いであると言わなければならない。


第二に、引用している赤間徳の「芝山兼太郎伝」による
特別講習会の参加者に大場が含まれているが、
その点の信憑性には疑いを持たなければならない。

第三に、大場の「遙かなり」には、大場の開業した店舗

「田村町 大場理髪舗」は

明治35年12月、「春光館」と呼ばれる店舗でスタートしたが、
その開店の段階で、フェイシャル・マッサージを行っている可能性を
否定できない。

「春光館」は実際にはオープン前に焼失。その後同地で仮店舗営業の後、
明治41年に「大場理髪舗」としてオープン(画像)。

$ふわ~っと社長!のブログ
「遙かなり」に
『こうした一流ずくめの設備のなかで、ヘアカット、シャンプー、
シェービング、フェイシャル・マッサージ、ヘッドマッサージが行われた』
と記されている:p61
)。

このような疑問点を解決することは今後の筆者の作業となるが、また次回、
さらに話を進めていくことにする。

今日はここまで。

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引用、転載の条件としています。     

尚、筆者の論文
「統合医療で取りざたされる徒手療法のあはき法との整合性
~癒し、リラックスの名の下に無免許施術が広がるわけ~」は
本年9月頃発刊の「日東医学会誌」に掲載されます。


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