磯一(魚料理) | C.I.L.

磯一(魚料理)

先日アップした麻婆豆腐カレーの記事 に、こんなコメントが書き込まれた。


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6 ■生ブラックペッパー

毎度お世話になっております。

昨日、インターナショナルシーフードショーにてカンボジア産ブラックペッパーを試食してきました。
生と乾燥させたのを試供品で頂きました。

未使用でしたら是非スパイスにお使い下さいませ。

御来店されなくても店頭でお渡し致しますので、必要でしたらお顔をお見せ下さい。

「世界一の香り」だそうで、確かに強烈でした。
他の試食の味が分からなくなるほどです。

三代目磯 2011-07-28 14:19:44
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この三代目磯さんとは、このブログで 「板橋の岡星」 として紹介している、JR板橋駅近くにある老舗の小料理屋である。一言で表現すると、板橋のオヤジ共の聖地である。

その大将がわざわざスパイスをくれると言うんだから、そりゃ押っ取り刀で駆け付けるってなもんだ。

いやあ、しかし 「三代目 磯」 で良かった。

これが仮に 「三代目 葵 」 からのコメントだったら家財道具をまとめて夜逃げするところだった。


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そんなわけで、前回紹介してから日が経ってないけど磯一に到着!


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大将は 「顔を見せるだけで~」 なんて言っていたけど、せっかく磯一まで来たのに呑まずに帰るわけがなく。まずはだだちゃ豆とお通しの肉じゃがで生ビールをあおりまくる。

そうそう、磯一は名前の通り魚料理中心のお店なんだけど、密かに煮物が飲兵衛味でウマイです。魚→煮物→魚→煮物と交互にヤリつつ酒をクイクイとネ♪(なにが ネ♪ なんだろうネ♪)


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今回まず頼んだのは、大将オススメだという特大イワシの刺身。このアングルだと良くわからないと思うので角度を変えると……


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見てください、この厚み!

脂の乗りも程よく、軽く〆てあるのでしつこさを感じず食べられる親切設計。イワシなのに噛むと 「ムニッ」 と抵抗があって、その後にジュワっと脂が出て来て光り物特有の風味が口に広がる。

いやあ、こいつは日本酒か焼酎じゃないと!生ビールなんかじゃ勿体ねえ!(飲兵衛がカパカパ酒を空ける時に良く使う口実)


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それにほら、磯一では 「東北の酒蔵応援フェア」 をやってるしさ!

人助けなんだからしょうがないじゃん!

日本酒をカパカパやっちゃっても、全ては被災地支援だから!

ネ♪ (ちょっと気に入った)


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次に登場したのが鮎の唐揚げ。脇に添えられている稚鮎の唐揚げってのはよくあるが、ここまで立派な鮎を1匹丸々揚げてるのは初めてだ。

しかも 「頭からかじれますよ」 と言われた通りにガブっと食いついてみると、まるで中華によくある鶏の半身揚げかのような香ばしい風味と、ワタの大人な味わいが融合して嗚呼……。

丁寧に二度揚げしているらしく、骨までボリボリ食べられてしまうため、魚好きにはこれ以上の神メニューはないんじゃないかという完成度。口一杯に大好きな食べ物をほうばれるこの幸せ。

さすが岡星!やるな!そりゃ京極さんも泣くわ!


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ちょっと自分を落ち着かせるために、磯一に行く度に頼む蓮の煮物を挟んでみる。しかしこいつが鷹の爪がピリリと自己主張する飲兵衛好みの味であり、落ち着かせるどころか更に酒が進むという罠。蓮の味の染み込み方が卑怯極まりない。


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いつも磯一に来る道すがらで 「今日はちょっとだけ、ちょっと1杯引っ掛けるだけだから!」 と、誰に対して言い訳しているのかよくわからない、エロオヤジが酔っ払って若い女の子をどこぞに連れ込もうとしてる的な恥ずかしいやり取りがあるんだけど、お前は酒を控える気なんかないだろと。

この盛り盛りになった生ウニ様はなんなんだと。

と、今日も今日とて大好きなお魚に囲まれてスイッチが入ってしまったバカップルでございます。


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いい加減グダグダやったところで、店の大将が (本来の目的だったはずの) 生胡椒をくださった。

そう、考えてみたらオレはこれを受け取るために磯一に来たというのに、大将に言われるまで胡椒の存在をすっかり忘れていた。夢中で鮎をボリボリ貪り食ってた。

大将が 「これ強烈ですよ。他の食べ物の味がわからなくなりますよ」 と言うので、試しに1粒食べてみたところ、生の花椒(中国山椒) をかじった時のような鮮烈な刺激が!

だが 「おお、いい香りじゃん!」 なんて思えるのは一瞬だけで、即座にヒリヒリヒリヒリ……と凶悪な痺れが襲ってくる。唐辛子の直接的な痛みとはまた違うピリピリ感。これぞペッパー。

うわー、こりゃどう使うか悩むなあ。大将は 「カレーにどう?」 なんて言ってたけど、これはカレーじゃなくて、もっとシンプルな料理と合わせた方が引き立つと思う。

というわけで、早速この生胡椒を使った実験メニューを作ってみようと決意した次第。



■磯一(魚料理)
住所:東京都板橋区板橋1-49-14
TEL:03-3579-0809
営業時間:11:30~13:00 17:00~23:00(LO10:30)
定休日:日
ご主人のブログ(その日の仕入れ情報など)



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□ ■ □ 過去紹介分 ■ □ ■



何度か紹介しているJR板橋駅前のちょっといいお寿司屋さん が移転したという情報を聞きつけ、我々は場所を確認すべく慌てて現地へ急行した。

とかなんとか大袈裟に言ってはみたが、旧中仙道沿いの某安売りスーパーで食材を買い出すついでにお散歩しただけだったりもする。


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大将のキャラと絶品ひれ酒が際立つ樽本寿司さん。以前は明け方くらいまで営業してて、そのまま河岸に行って仕込みをしてから寝るという凄まじい生活をしてたそうなんだが、今は引越しのドタバタからか深夜1時くらいまでしか営業してないらしい。

で、店が開いてたら挨拶だけして帰ろうと思ったんだが、あいにくこの日は定休日だったご様子。

それにしても、この一角に樽本寿司が移転したお陰で 【ニュー加賀屋(未紹介) → 磯一 → 樽本寿司 → 鈴むら(未紹介)】 という恐ろしすぎる並びになってしまった。

お前らはそこまでして地元民の内臓を破壊したいのか!?

……とかなんとか思いつつ、じゃあ買い物して帰ろうかと歩き出したところで、開店準備中の磯一の大将と遭遇。あちらから 「あ、どうもー」 なんて声をかけられ、オレ様の心の中は 「晩ご飯用のお買い物」 から 「磯一で引っかけたい」 に見事なクラスチェンジを遂げる。

やばい、これはやばい。さっそくこの路地の恐怖を味わされているオレがいる。素人さんが迂闊にこの路地に迷い込むと、肝臓を2~3個潰すまで出て来れない。なんて酷いトラップなんだ。蟻地獄か。

だがオレ様は生まれも育ちも板橋という生粋の板橋っ子であり、街中で軽く会釈されたくらいでその店に入るほどアマちゃんではない。オレ様を舐めてもらっては困る。そんな事ではこの板橋区で生き抜く事は不可能であり、どんなに挨拶されようと話しかけられようと 「今日は買い物に来ただけだ!」 と心を曲げない頑なさが何より重要なのである。

今日は家飯と決めたんだから、そして作るメニューもすでに決まっているのだから、この状況で外食だなんて有り得ない話であり、結論から先に言うと


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磯一さいこー!

やっぱさあ、クジラってのはうまいよな!

前々から何度も言ってるけれども、捕鯨反対うんぬん五月蝿いアホな白人どもには、騙してでもクジラの刺身やステーキを食わすべきなんだよ。そしたらあのアホどもは 「クジラうめえwww」 と我先に乱獲を始めるから。そしたら今度は日本人が 「クジラを乱獲するな!ちゃんと数を考えてとれ!」 と言ってやりゃいい。それくらいエゲツない手段を実行出来る政治家を渇望する。

それにしてもだね、まず 「これぞ日本が誇る最高のジビエ!」 と評したいクジラの刺身を一口頂くじゃん?そしたらその残り香を日本酒でクイっと呑み込むわけだ。そこですかさずシラスで口内をさっぱりさせるつもりが思いのほか磯の風味が香り高くてそれでまた日本酒を一口ちゅちゅっとヤッちまって下手に牡蠣をずるっとイっちまったもんだからさらに日本酒をグビっと流し込んじまってもうシャバには戻れんと。

「買い物ついでに1杯だけ……1杯だけ……」 とか 「ほら、挨拶されちゃったから流石に少し顔出して行かないと」 とか様々な言い訳をしながら入ったわけだが、いざ入ったら軽く1杯で済むはずもなく。

地獄というのは意外と身近にあるもんなんだなと。


■総評
味:☆☆☆(ちょっと気の利いた魚料理が食べたいならココ)
値段:☆~☆☆(地域の相場からすると高いが品質は最高)
品揃え:☆☆
店の雰囲気:☆☆☆(レトロな小料理屋で落ち着く)
接客:☆☆
遠征:☆☆
デート:☆☆☆
DQN率:?

備考:この土地で営業を始めて40年くらいになる、昭和の面影を色濃く残した名店である。オレの中でこの店を 「板橋の岡星(by美味しんぼ)」 と評しているんだが、「今日は○○のいい物が入ったので××にしてみました」 的なメニューのみで構成されているという潔さがたまらない。グランドメニューと呼べるのは、サイドメニュー的な位置付けの野菜の煮物とか雑炊といった数点だけで、基本的に仕入れた魚介類を刺身で出すか・煮るか・焼くかというのがメイン。

また出す物がしっかりしているだけあって価格帯が高いため、客層が落ち着いているというのもポイント。仕事帰りのお父ちゃん達が、日替わりの魚料理を空けてびっくり玉手箱的に楽しむ 「オヤジの隠れ家」 なのである。

慣れてないと敷居が高いかもしれんが、若い内からちょっと背伸びしてこういうお店で 「正しい魚料理」 を勉強するってのもいいと思う。

また店の主人がブログ でその日の仕入れ情報を発信しているので、気になった人はまずブログをチェックし、「これは!」 という食材が紹介されてたら駆け込むなんて使い方が吉。



■磯一(魚料理)
住所:東京都板橋区板橋1-49-14
TEL:03-3579-0809
営業時間:11:30~13:00 17:00~23:00(LO10:30)
定休日:日
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□ ■ □ 過去紹介分 ■ □ ■



そろそろ冬のお魚が食べられなくなる時期なので、心残りにならんように、今の内に心行くまで味わっておこうと思い立ったオレ。



そんなオレ様が向かったのはJR板橋駅近くにあるオヤジの天国 「磯一」 さん。もしも 「アナタの町の岡星(by美味しんぼ)」 を決める事になったなら、オレは間違いなくここかもり晴 を選ぶだろう。



この日のお通しはお出汁が染み染みの菜の花のおひたし。
程よいお味ですきっ腹に優しい。



今回頼んだお酒は、ちゃんと黒ぢょかに入れて作ってくれる前割り焼酎のホット。なんかまどろっこしい言い方だが、予め水と焼酎を合わせておいて、馴染んだ頃に黒じょかに入れて火にかけるのである。こうすると前割り焼酎のまろやかさと、お湯割り特有の強い香りが両方味わえると。

まあそんな能書きはどうでもいいんだ。
とにかくすげー美味ぇーんだ。



ホタルイカとサヨリのお刺身。
サヨリが思ったよりも肉厚で旨味たっぷり。
ホタルイカはワタの風味がお味噌みたいで醤油つける必要なし。



そんでもってサヨリの皮を串に巻いてパリパリに焼いてくれた。
こんなポッキーがあったらオレは毎日大人買いするね。



蓮根とこんにゃくの煮物。
田舎のお婆ちゃんが作ってくれたような素朴な味なんだけど、食感も味付けも抜群。鷹の爪のピリ辛さに食欲をそそられまくり。



牡蠣酢。
何でもこの日が最後の入荷だそうで、思わず心の中で 「今期もありがとう!」 とお礼を言いながら一飲みにしてみた。
来年も良い子と出会えますように。



そんでもってマグロのネギ間串。普段はあまりマグロに欲情しないオレなんだけど、この串焼きはべらぼうに美味かった。柔らかいしジューシーだし、そこにネギが最高のアシストをするしで何も文句ない。

で、ここまでが 「本日のおまかせコース」 1人前。
これだけ食べてなんと2,100円という謎の板橋価格。

※注意点
今回は彼女さんと2人で行って、1人分だけコースを頼んで後はアラカルトにしようと思ったんだけど、店のご主人が 「1杯のかけそば」 かと不憫に思って気を遣ってくれたらしく、明らかに普通の1人前より多い量を出してくれてます。

ご主人は 「ちょっとだけサービスしちゃっただけだよ」 と言ってたけど、絶対にちょっとじゃ済まない気がする…。下手したら倍の量出してもらってないかコレ?もの凄く申し訳ない気持ちで一杯なんだが。



ご主人の好意に応える為にも、メタボっぷりを全開にしてやろうと頼んだ子持ちヤリイカの煮付け。まさかこんなデカイのが出てくるなんて…。

すんごい柔らかく煮込んであって、身も足も食感の差があまりわからないくらいだった。しかもそこに卵の香りが加わっちゃうんだからヤバイよなあ。上に散らせてある柚子も憎いよなあ。

メタボっつうか、高血圧+肝臓ぶっ壊して死んじゃうなこりゃ。




本日のトドメは蚕豆焼き。
ここで彼女さんと蚕豆の食べ方について議論が巻き起こる。


「サダオちゃん何で皮剥かないで食べるの!」

―え?

「剥くの面倒なら剥いてあげるから!」


―待て!勝手に剥くな!オレは皮付きの蚕豆が好きなんだって!

「はあ?本気で言ってんの?(見下げるような目で)」


―本当だって!この皮のコリコリした食感の中から、柔らかい豆が出てくる感じが好きなんだって!

「蚕豆って皮剥かないと青臭いじゃん!」


―その臭さがいいじゃねえかよ!(段々と火病り気味に)

ここで汁カップルの討論は平行線になり、磯一のご主人に 「どういう食べ方の人が多いですか?」 とゲタを預ける事に。

すると…



「まあ大体のお客さんは剥いて食べてらっしゃいますね。」



オレ様少数派決定。皮ごと食べるのが普通だと思って生きてきたのに、実は弾圧される少数民族だったのである。なんかえらいショックだ。



■総評
この店は板橋のクセにちょっとお値段が張る点が少し気になる程度で、基本的に文句の付けようがない。その値段にしても、これだけ良い物が出てくるのだから、適正価格と言うしかないだろう。いつ行っても仕入れの質がぶれないし、調理方法もばっちりだし、魚と酒が好きな人間にとっちゃ天国である。だからこそ、この店はオレにとって 「岡星」 なんだなあ。「今日は良い○○が入ったので○○にしてみました」 みたいな。

という訳で、魚と酒が大好きなオレ様は、100点満点で90点付けておきます。ありがとう岡星。



■磯一(魚料理)
住所:東京都板橋区板橋1-49-14
TEL:03-3579-0809
営業時間:11:30~13:00 17:00~23:00(LO10:30)
定休日:日
ご主人のブログ(その日の仕入れ情報など)



□ ■ □ 過去紹介分 ■ □ ■


という訳で、当サイトは地元東京都板橋区のステキなお店を紹介するグルメサイトなわけだが(反論不許可)、今回はオヤジの夢である『お魚の美味しい小料理屋』を紹介してみる。

もしかすると小料理屋という肩書きは嫌がられるかもしれないんだが、オレ様にとって小料理屋とは『大人のお店の象徴』であり、憧れなのである。

思い起こせば小学校1年生の頃、当時の実家(明治だか大正だかに建てられた古臭い九龍城のような一軒家)の耐久度が見事に限界を迎え、近代的なビルヂングに建て替えることになった。

その間しばらく風呂が使えなくなるということで、家族仲良く銭湯に通っていたわけだが、その際に父親が必ず風呂の帰りに近くの小料理屋に寄って一杯引っ掛けていたのである。

確か「小料理・お茶漬け さつき」とかなんとかいうお店だったんだが、子供の頃のオレ様はその「さつき」という小料理屋にそれはそれは憧れてなあ。

たまにご相伴に預かって「さつきでサイダーとお茶漬け」という、今じゃ絶対にしないようなオーダーをして至福の一瞬を過ごしていたわけである。

その時の思い出があるからか、未だにオレ様は「小料理屋」と聞くと無条件で萌え萌えしてしまうわけである。


話は長くなったが、そんなオレ様の「小料理屋萌え体質」に強く訴えかけてくれるお店が今回ご紹介する『磯一』である。

この店は完全日替わりメニューで、その日仕入れた良い魚を「煮物」「焼き物」「刺身」などにジャンル分けしたメニュー構成であり、魚好きにはたまらないラインナップが並んでいる。(メニューだけ見たら本格的な魚料理のお店なんだが、あえて小料理屋だと断言してみる)



この日のお通し「ゲソ焼き」

醤油で軽く味がつけてあるが、基本的にはゲソを焼いただけというシンプルな一品。だがこれが美味いのよ。柔らかいゲソの食感と、磯の香りと少しこがした香ばしい醤油の風味がほのかに広がって…。これで焼酎とか日本酒をクイっと引っ掛けて次のメニューを待つという幸せな時間の流れがたまらないのよ。まさに小料理屋をたしなむ上でのはじめの一歩なのよ。



『ホタルイカの刺身』

沖漬けも好きだけど、やっぱ刺身も美味いよねえ。こう、箸でつまんだ時に柔らかくて足が抜けちゃいそうになるのを慌てて醤油つけて口の中に放り込んで、名残惜しそうに酒で流し込むアノ感覚がねえ…。「あー!もうちょっと噛みたかったのに飲み込んじゃったよ!もったいねえ!」みたいなねえ…。



『お刺身3点盛り』

その日のお刺身の中から好きな物を種類盛り合わせにしてもらうという、夢のようなオヤジメニューである。ちなみに今回は「子持ちシャコ、コハダ、イワシ」の3種類。コハダの〆方が絶妙で脂もあって美味い。イワシも当然のごとく美味い。何よりやっぱ回転寿司と違ってシャコがうめええ!(あたり前だ)



『野菜の煮物盛り合わせ』
※彼女さんが写真を撮る前に食べてしまったので量は半分になってます。

こんにゃく、筍、蓮根、かぼちゃを煮付けたお袋の味であり、魚の合間に挟むのに丁度いい。『小料理屋でおふくろの味』という、これまたオヤジロードを突き進むメニューである。



『いわしのつみれ汁』

お椀物が欲しくなったので迷わず注文。散々酒を飲んだ後でこのつみれ汁を飲み干すと、なんていうかベホイミくらいかかったんじゃないかと思うほど癒える。



『鮪のステーキ』

つみれ汁で〆る予定が、逆に加速してしまいマグロステーキを注文。これまたシンプルなんだけど美味いんだよなあ。焼いているから余分な油分が落ちてさっぱり食べられて白いご飯持って来い状態である。



『磯一』外観。見てくださいこの正統派の小料理屋テイスト。こんな門構えをされたら、ついついフラフラ入ってしまうに決まってるじゃないか!


■総評
地元で三代続いている店だけあって、居心地はいいし仕入れがしっかりしてるから魚も凄く美味い。だが特別安くはないし、〆メニューが弱かったり酒の種類が少なかったりするので、この店だけでその日の飲み&食いを完結させるのはちょいと難しい。

だが、不思議とそういうマイナス要素はあまり気にならない。

なぜならこの店は「理想の小料理屋」だからである。

ふらりと入って抜群に美味い刺身と焼き物でクイっと2、3杯酒を引っ掛け、最後に〆のつみれ汁でも飲み干して出て行くというのが正しい磯一ライフなのである。食い足りなかったり飲み足らなかったりしたら、2軒目に向かえばいいだけなのだ。

という訳で、ふらりと立ち寄って幸せ気分に浸れる『理想の小料理屋』ということで90点。この店だけで本気で飲み食いしようと考えると、値段が跳ね上がって80点くらいになってしまうのでご注意。(宴会なんかでコース料理食べるならガッツリ系でもいいかも)


■磯一
住所:東京都板橋区板橋1-49-14
アクセス:JR板橋駅から徒歩3分
電話:03-3579-0809
※コース料理や地図などはサイトでご確認を

で、その日の仕入れの状況とかオススメメニューなんかをご主人の個人サイト で逐一報告しています。これって素晴らしいことだと思うんだがどうだろう?(ご主人が自分のお店を『活魚料理屋』って紹介してるよぅ…。小料理屋なんて呼んだら怒られそうだよぅ…)


※さて、次回は磯一とセットで考えるべき夜中までやってる安くて美味しいお寿司屋さんを紹介いたします。