$・・・この先生キノコるには。-ほたる火葬ペットを飼ってる方には
誰しも訪れるお別れの時。
考えたくないだけに・・いざその時になって
どうしていいか分からない という方も多いはず。

先だってのご報告
 → 【猫日記】ほたる、永眠する。
からの続きとして、その顛末を記しておきましょう。
誰かの参考になれば幸いです。
ーーー

■ あなたが出来る事
動物の遺体の行き先として
最後に出来る事をよく考えてあげましょう。
ペットの場合はいくつかの選択肢からあなたが選ぶ事になります。

1) 公的な火葬場へ持ち込む。
2) 民間の動物霊園へ依頼する。
3) 敷地内へ土葬する。


今回は 1) のケースを紹介しますが、
よりペットの供養をしてやりたい、ペットのお墓や継続的な供養の機会が欲しい、
っという方は 2) のような業者を探すといいでしょう。
3) については都市部の方にはお薦めできません。
いずれにせよ 動物愛護管理法 にはこうした火葬・埋葬に関する規定は無く、
飼い主さんに任されている現状、責任ある行動をお願いしたいところです。

野良の場合は通報すれば保健所が引き取りにきますが、
これに関しては 動物愛護管理法 第35・36条 によって行政・自治体に課せられた
公衆衛生上・公的処理の責任の所在を明らかにしようという義務なので、
持ち主がはっきりしている ペットに適用されるものではありません 。

行政において、近年では飼い主への説明や、
捨て・負傷動物は里親になるよう諭したり、斡旋する努力義務も盛り込まれてきていますがー。
ペットの埋葬に関しては保健所は関係ない という点だけ今は理解しておいて下さい。
もちろん、相談すれば地元の火葬施設などについて教えてくれるでしょうけどね。

 参考 → 環境省 平成18年01月20日公布
      【 犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について 】

 [動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第35条第1項及び第2項の規定による
 犬又はねこの引取り並びに 法第36条第2項の規定による 疾病にかかり、又は負傷した犬、
 ねこ等の 動物及び動物の死体の収容に関する措置 は、次によるものとする。]

ーーー

■ 火葬場へ行く
さて、自分の場合は 名古屋市立八事(やごと)霊園 の中にある 八事斎場 へ行きました。
 → 名古屋市「暮らしの情報」 八事斎場の詳細ページ 

人間だと死亡証明書・火葬許可証など区役所へ行っての事前準備が必要ですが
(通常は葬儀屋さんが代行している)
動物は一切そのような手続きは要りません、自分で決めた日に直接向かえば結構です。

ただし、人と同じく、 棺に入れてはいけないもの等 が自治体によって規定されてますから、
あらかじめネットで調べるなり、問い合わせるなどして確認しておきましょう。
人間の場合でも直前に係員さんがドライアイス等は取り出しますが、
動物の場合は 飼い主さんがすべてを 行わなくてはいけません。

通夜や葬儀で棺(箱)に入れた保冷材や副葬品は、
火葬場へ向かう前か、着いてすぐに取り出せるよう配慮しておくのがいいでしょう。

八事斎場 でのペットの場合、受付時間は午前8時45分から午後5時00分まで(1月1日を除く毎日)。
予約は不要、管理事務所受付へ行ってその場で申し込めばよいとなっています。

$・・・この先生キノコるには。-火葬2
左) 霊園の中を通って斎場入り口へ、霊柩車が横を走ってゆく・・・。
右) 人間用火葬施設の奥から入り口方向を見る。駐車場にはガイドの色ラインがひいてある。


その日も暑かった、もうろうとしながら霊園を進むと・・・そこはもう別世界。
立ち並ぶ墓石が視界を埋め尽くす。
流れる汗が・・熱いのか冷たいのか分からなくなる非日常。
やがて霊柩車が走り去ってゆくその先に、八事斎場の入り口が見えてきた。

ゲートを入ってすぐの管理棟へ向かうと、入り口正面に 「動物はこちら」 の看板が。
窓口のカウンターの前にはいくつかの机と椅子がある。
私は ほたるさん をそこに置いて、ひとまず汗を拭いていると・・
「猫ちゃんかね?」
・・っとカウンターの向こうから係らしきおじさんが声をかけてきた。

見ると、この部屋のカウンターからこちら側には私ひとり・・、
そりゃ火葬場の受付が混雑してる事もあるまいがな・・。
「はい、猫です。」
答えながら足を進めると、おじさんは書類を差し出した。
氏名・住所だけのあっさりしたものだったが、むしろ今はそれがありがたい。

ちなみに、動物に関しては市民も、それ以外も同じ料金である。
・大型犬又はこれと同等大(15kg以上) 4,400円
・中型犬又はこれと同等大(5kg以上15kg未満) 2,200円
・猫又はこれと同等大(5kg未満) 1,100円


所定の料金を払うと、おじさんは続けた。
「じゃあ・・  あ、おたくさん初めて?」
「・・ええ。」
「あっそうか、ここのね、青い線に沿って行くと・・」
カウンターの上に置かれた施設図を指しながら動物用の場所を説明する。

「初めて?」って言われてもなあ・・。
市役所とか以上にここは特殊な場所なんだが、おじさん自覚ないなこりゃ・・。
大概の人は初めてだろうに、ここは人生で そう何度も来る場所じゃ無い 訳だしね。
っと心の中でひそかに突っ込む私だった。
しかも、自分でその場所まで持っていけって事か・・・・il||li ○| ̄|_

$・・・この先生キノコるには。-火葬3
左) 管理棟の前から駐車場を通り、青いラインに沿って進むと看板も出ていた。
右) 人間用施設の前を通り、周りこむと裏に動物用の建物が見えて来た。


管理棟から人間用火葬炉のある建物の前へ歩いてゆく。
葬儀社のバスが何台か並び、待合室周辺には既に何家族か訪れていて、
人間用施設の辺りは騒がしかった。
誰かの火葬の準備が整ったのだろう・・、
火葬炉の前に台車と、制服に白手袋の係員が並んで待っている。
ああ、親父の時もこうだったっけ・・・、少し思い出しながら
ほたるさん を抱えて、目を伏せその前を通り過ぎていく。

青いライン は施設の脇に回りこみ裏へ続く。
なかなか普通はこんなふうに見ることもあるまい・・、
人間用火葬炉の建物をしげしげとながめながら足を進めた。

かつては重油を使っていたので、黒い煙がもうもうと・・なんてイメージの火葬場だが、
エコにうるさい昨今は完全に排煙の無煙・無臭化設備が整っている。
裏へと続く道からは、建物に沿って沢山のパイプが見え、処理装置の音が静かに響いていた。
自分もいつか・・・ここへやってくるのだな。

$・・・この先生キノコるには。-火葬4
左) 動物用焼却炉を二基そなえる「獣し棟」の全景。
右) 「死亡動物保冷庫」の看板が目に入る。火葬されるまでここに安置されるのだ。


やがて見えてくるのが 『獣し棟』 である。
動物用の火葬炉二基、大型保冷庫を備えた施設だ。
この「し」がなぜひらがななのかはよく分からなかったのだが、さしずめ 「獣屍棟」 といったところか?

騒がしかった表側とは真逆に・・、火葬施設の裏は人気も無く静かだ。
すぐに 「死亡動物保冷庫」 の大きな看板が目に入り、ここがその場所だと分かった。
係員がいなければ、保冷庫を開けて中へ置いてくれと先ほど管理棟で言われている。
うん、いなくてよかった・・・。
ゆっくりお別れできる。

たぶん・・人間よりも動物はそうそう頻繁に訪れる人も居ないのかも知れない。
予約制ではないのでいつ来るかも分からぬ訳だし・・・。
もともと係員が常駐してはいないのだろう。

$・・・この先生キノコるには。-火葬5
左) いづれ・・・保冷庫のお仲間と共にこの中へ入るのだ。
右) 中央に置かれた机には犬猫の人形が置かれ、最後のお別れをする場所となる。


火葬炉の前には小さな机が置かれていた。
おそらくは多くの飼い主がここで別れを惜しんだのだろうな・・・。

ちなみに、ここだと以下の注意事項がある。

1・燃えると黒煙が発生するものは箱の中へ入れないでください。
  (禁止例)タオル、シーツ(ペットシーツを含む)、
  毛布、缶詰、餌の器(紙製品を除く)、首輪、おもちゃ、など。
2・遺体を入れる箱は、紙でできた箱だけにしてください。
  (禁止例)木箱、プラスチック箱、金属箱など
3・箱の大きさは、奥行100cm×幅70cm×高さ65cm以内 にしてください。
4・底が抜けないように ひもを十字(又は二の字)にかけて お越しください。


つまりは 「紙製の箱で、中には何も入れるな、縛っとけ、」 って訳だ。
お花ぐらいはいいんだろうけど、隙間は新聞紙などで押さえてやれるぐらいか。

こういう事は機会がないと気づかないもの・・、
首輪とか、おもちゃとか、やっぱり入れたいよね。
でも、これらを知らずにここへ来ると、
この机の上でまた自分の手で取り出さなくてはいけなくなる・・。
最後に再び辛い思いをしないよう、どうか気をつけていただきたい。

$・・・この先生キノコるには。-火葬6
左) 大きな動物用保冷庫。 開けるのはとても気が重い・・・・。
右) 様々な注意書きがしてある。あらかじめ知っておかないとここで取り出す事になる。


動物の場合、人間のように 火葬に立ち会ったり、お骨をもらうことは出来ない 。
そういうのが望みならば民間の業者に相談するといいだろう。
ここではまとめて行われるので、それまで保冷庫に入れておく仕組みとなっている。

さて、係員がいないので、ここから先もこの手で行わなくてはならない。
見ているだけで圧倒される保冷庫の存在感。
大きな金具を引くと、ガチャリっという鈍い音と共に厚い扉がスゥ~っと開いてゆく。
箱を抱え、体で扉を押さえながら滑り込んだ。

青いスノコがひかれた保冷庫の中には、既に14~16体の先客がいた。
皆さん、おじゃまします・・・・ ( ̄h ̄)南無
大小の箱が鎮座する中 ほたるさん は真ん中の高いところに置く。
高いところ好きだからね・・・。
下になった誰かさんには悪いけども 汗

$・・・この先生キノコるには。-火葬7
大きい箱は犬だろうか・・、小さい箱は鳥や子猫だろうか・・・、
しばしの時間、他の子達と共に静かに待つがいい。


当たり前だけどひんやりしたそこは 「死」 の臭いがする。
あの大きい箱も、この小さい箱も、
語りつくせない物語があって惜しまれながらここに置かれたろう。
それらを想うと締め付けられるように胸が痛い。
背後の扉がガチャリと閉じ、 ロックされそうな圧迫感 の中で・・・
それでも、しばらくそこを動けなかった。
(扉は中からも開けれるようになってますから心配なく・・・。)

保冷庫から出てくると、途端に汗が噴出して来る。
強引にこちら側の世界へひき戻す無慈悲な陽の光が肌につき刺さった。
何度も、何度も、振り返ってはしばらく保冷庫を見つめながら、
たどってきた道をまた進む。
早くこの場を立ち去りたい気持ちと、離れがたい気持ちが混ざり合う。

これでやっと、弔ってやれた。

寂しさや・・満足感や・・・いくつもの何ともいえぬ思いをかかえながら帰路に着いた。
あの部屋へ・・、思い出してしまうから帰りたくない気もする・・、
共に暮らしたあの部屋へ・・・・。
ーーー

■ あとがき
以上が ほたるさん の最後のエピソードになります。
永らくありがとうございました。

没になった下書きをはじめ、やってみたい企画もあったのだけど・・、
すっぱりお蔵入りしようと思います。
ほたるさん は写真集を作ってやれた事も、間に合ってよかった。
来年になったら第二弾も作ってやるつもりだったのにな・・・。
残された時間を自覚してからは、沢山かまってやれてよかったと思うばかり。

$・・・この先生キノコるには。-ほたる写真集外で黒猫を相手にすると、
無意識に「ほたる~」 っと呼んでる自分にはっと気づく。
しばらくはそういうクセもぬけないのだろうな。
部屋で何か音がすると・・、
思わずそっちを見て「ほたるー」と声をかける。
そういう習慣も残ってゆくのだろう。

お墓も、遺影も、今は残さない・・・引き止めたくは無いから。
少しの染み付いた習慣と共に、この心にだけ残ればいい。
いつかどこかで生まれ変わってまた出会えるようにね。

いっぱい、いっぱい・・・・・ありがとう。
   END

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