これまでのお話
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+第1話:ついに来たおしるし!+
+第2話:子宮口1cmの帰宅+
+第3話:陣痛襲来①+
+第4話:陣痛襲来②+
+第5話:子宮口6cm開大!+
+第6話:LDRで心の準備!+
第7話:ダーリン陣痛室へようこそ+
+第8話:破水させられました!+
+第9話:押せ肛門、押すな時間+
+第10話:陣痛ジェットコースター+
+第11話:道を作る+
+第12話:スーパー出産ロボ+
+第13話:息子爆誕カウントダウン+
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産まれた瞬間、息子は「ギャ―――――!!!」という大音量で泣いた。

私のイメージでは、「おぎゃあ、おぎゃあ」と元気かつ慎ましやかに泣くものかと思っていたが、息子の泣き声は、強烈な炭酸の入ったガロン缶を、100回振って開けた時のようなは弾けっぷりでった。

産まれ出た途端に、陣痛もいきみも嘘のように消え去り、陣痛中ずっと続いていた手足の震えだけが残っている。

「胎盤出しますねー。」
お腹を押され、ぐにゅりとしたものが飛び出た。
◇
タオルか何かで包まれた息子が、お腹の上にやってきた。

「はぁ~。」
出産前から、きっと私はこのシーンで大号泣をし、ダーリンもつられて涙するだろうと予想していたが…
イメージ

出産の疲れで放心状態となり、大量の汗で脱水し、私もダーリンも、1滴も涙を流さなかった。
6時間肛門を押し続けた人、6時間肛門を押され続けた人

代わりに、深い安堵をおぼえた。

「では、赤ちゃんの状態を見たり、計測したりしますから、一旦お預かりしますね。ママの後処置もしますから、旦那さんは一度外にお願いします。」
息子は連れられ、「後処置」という嫌な響きが渦巻くLDRに1人残される。

もう痛いのは嫌だ。
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