これまでのお話
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+第1話:ついに来たおしるし!+
+第2話:子宮口1cmの帰宅+
+第3話:陣痛襲来①+
+第4話:陣痛襲来②+
+第5話:子宮口6cm開大!+
+第6話:LDRで心の準備!+
第7話:ダーリン陣痛室へようこそ+
+第8話:破水させられました!+
+第9話:押せ肛門、押すな時間+
+第10話:陣痛ジェットコースター+
+第11話:道を作る+
+第12話:スーパー出産ロボ+
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「会陰切開します。」というかけ声で、急に意識が戻る。

目の前には、回診時に対面した、蚊の鳴くような声で話す医者が立っていた。

彼をドクターモスキート(蚊)と名付ける。
ドクターモスキートは、私の股ぐらを見ながら、突然ジョキンジョキンッ!という音を立て、会陰を切りだした。

ハサミのような音と同時に、ジクンッとした痛みが少々走った。
目をそむけるダーリン

痛みは感じたが、陣痛といきみでパニック状態なので、そこまで気になる痛みではない。
しかし、ドクターモスキートの切り方の大雑把さが気になった。
私が小さい頃、弟の髪の毛を切っていた時並みの適当さである。
間違えて耳を切って以来、切らせてもらえていない

私の股は大丈夫だろうか。
なんて考えている間もなく、再び尻に猛烈な圧力を感じ、言われた通り、無言で目を開けながらいきむ。

もう肛門に圧がかかり過ぎて、脱肛しそうだ。
尻からジャイアント大便が出そうというか、ダチョウの卵が出そうというか。

「もういきんじゃダメ!!」
アホなことを考えていると、またもや「いきむな。」などという無茶な注文が入ってきた。
いきめと言ったり、いきむなと言ったり、もうわけがわからない。
「そうそう!いいよ!」
という助産師さんの声と同時に、ドロリンッとしたものが、股から出た。

「ギャ――――――!!!!」
16時42分
息子、爆誕。

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