魂の投資(2)
「神智学大要」では、魂の第三コーザル亜層の目覚めている部分を図のように上からa,b,cの三つに分けたとき、aを体、bを腕、cを手にたとえています。魂が進化するため、低我のメンタル体、アストラル体の各質料と完全にからみあっているのが、cの手です。bの腕もaの体もそれらの質料とはからまずに第三コーザル亜層にとどまっています。c(手)が常にb(腕)を通してa(体)による指示を受けてメンタル体、アストラル体を導くことができると、コーザル質料のからみが手を目覚まし、いろいろな微妙な波動にたいし精確に感応できるようになります。そして、それはまた手から腕、そして体を経て魂に伝えられ、魂の進化を可能にするのです。そうやって、魂(高我)は自分の一部を肉体にある低我へと注ぎ、そこで得たプラスの経験を回収して自らをより豊かなものへと進化させているわけで、これが魂の投資計画であるというわけです。ところが、この計画も必ずしも上手くゆくとはかぎりません。a(体)のコントロールがきかないとき、c(手)が下級の質料とからみあい、それを自分自身と思いこむことがあります。その場合は、本来の自己である高我を忘れてしまうのです。下級の質料といいましたが、それがメンタル界の下層なら、物質主義者になって、利口な人物ではあっても、霊性は低く、霊的なものへの理解に乏しい冷酷な人間になります。また、アストラルの質料なら、利己主義者となって、欲望の世界に生きることになります。