メンタル体の発達している人は、アストラル体(感情体)の発達している

人に比べてはるかに少ないのですが、ほとんどの人においては、メン

タル体の上の層(三つの亜層として、コーザル体を形成)は休眠状態で

す。そして、アストラル体に近い下の層が活動しています。

これは魂の発達からすると、好ましくない状態です。

というのは、本来ならば、メンタル体というのは、感情や欲望に影響さ

れることなく、自律的に働かなくてはいけません。
メンタル体が完全に機能するには、メンタル体の高位にある三亜層が

眠りから覚める必要があります。

魂(エゴ)-神智学では通常のエゴイズムのエゴとは異なる使い方になっています。真我と考えていただければよいでしょう-がその中に住んで

いるところのコーザル体がより強力にメンタル体に働きかけ、メンタル

体は生命いきいきと明敏に機能するのです。それによって、アストラル体をもきれいにしてゆくことができます。


通常のアストラル体とメンタル体は、「カーマ(欲望)-マナス(精神)」とい

う言葉があるように、ほとんどの人間において一生のうちに発する想念で欲望の影響下にないものはないといわれるくらいに下位メンタル体アストラル体の欲望とからみ合っています。

おまけにアストラル界には、欲望エレメンタルといわれる生物たちがた

むろしています。そして、怒りなど激しい感情を人間が出すのを、まる

で餌をありつこうとする獣のように虎視眈々とねらっています。そのお

目当ての感情を出すやいなやエレメンタルが群がり寄ってきてその人

のアストラル体に憑依し、いっそう激しく怒り等の否定的想念感情に揺

さぶりをかけ増幅させるわけです。

そうなると、肉体の脳とメンタル体との連絡は、それらの真ん中に位置するアストラル体がハイジャックされるために完全に断たれてしまって、まともに思考が働かなくなります。


一方、メンタルエレメンタルという存在もいます。それにやられてしまう

と、一つの思考から別の思考へと落ち着きなく飛び移り、重要な事柄を集中して明晰に思考することができなくなります。


こうした危険を避けるには、コーザル体の意志が常にメンタル体に命令を下し、メンタル体は常にアストラル体を統御するという正しい流れ

が完成される必要があります。

これこそが、人間が生れ変わり死に変わり(輪廻転生)しつつ、意識を

進化させてゆこうとする目的です。魂の目的といってもよいでしょう。
眠っていたメンタル体高位の三亜層の質料が活性化し、コーザル体からの働きかけに応えて清純で高尚な思考ができるようになると、もはやアストラル体がメンタル体の働きを阻害することもなくなってゆきます。


いつも心配ばかりしていたり、不安を抱きがちだったり、ちょっとしたことでふさぎこんだり、悩み苦しんだり、疑いの念がはらいのけられなく

なったりという心の状態は、習慣化したメンタル体の癖のようなもので

す。いうまでもなく下層の質料が使われているのですが、これと反対に

少しでもコーザル体とのパイプを強めようと思ったら、いくつかの訓練

や心がけをすればよいのです。


そのひとつが、毎日一定の時間をかけて集中的に物事を考える習慣を生みだすことです。これについては、別の機会に譲ります。


もうひとつは、いつもワクワク感を大事にして行動する心がけが有効で

はないかということです。


これは、神智学の本には書いてないことなのですが、ワクワクするかどうかは自分がよく知っていて、これをするときワクワクするかどうかと自分の声を聞いて、それに素直に従うときは、コーザル体と一体化しているのではないかと私は考えています。


別の言葉でいえば、私たちが各自で異なる固有のワクワクを信頼して

行動に移すときには、高次の魂(真我)からのメッセージが受け取る用意ができているということではないかということです。

当然、低いところからやってくる欲望や否定的想念などとは波長が合わなくなるので、それらの雑念に頭脳が煩わされることはなくなっています。


しかし、この社会で生きているかぎりは、たいていは妨害が入ります。自分が好きなことやワクワクすることをやろうとすると、自分は能力がないとか、上手じゃないとか、時間がないとか、お金がないとか、ありとあらゆる言い訳や心配が邪魔をしてくるのです。

どれもみな「いいものは有限なのだ」という誤った信念にもとづいています。
そして、こうした低い波動につい同調しやすい習慣的回路のために、またまたメンタル体の下位の層へと引っ張られて、再び不快と快楽、心配と安心のあいだを往ったり来たりして過ごすことになってしまいます。


ところで、この妨害というのは、自分自身の意志で何かを選んだ結果であるということがわかれば、おかしいくらいに簡単に解決してしまいますね。

だから、どんな小さなワクワクでも無視しないで、その内なる声に直観的に従って、行動してゆくことが大切だといえそうです。

そうするうちに、しだいに有限性を信じるあまりに恐怖に支配されてしまう古い回路から、いのちと創造の無限であることにたいする信頼にもとづくワクワク体験で味わう喜びのシナジー効果により新たな回路ができてくることになるからです。