前回は、魂の発達のためには、コーザル体の意志
にメンタル体が従い、メンタル体の統御にアストラル
体が従う必要があるということ、そのために自分が人生で何に
ワクワクするのかを教えてくれる直観を大切にすることにより、
コーザル体→メンタル体(とくに上の三亜層の質料が目覚め活性
化することが重要)→アストラル体という流れ(指揮命令系統と
いう喩えはあまり適切ではないかもしれないのですが、便宜上
そうしておきます)ができてくるということをお話ししました。


今回は、これを魂の転生における「投資」の観点から見てゆきます。
コーザル体の中にいる魂は、自分の一部を低我と呼ばれる肉体の
人間に降ろすことで、さまざまな体験を積みます。
そこで得た新たな学びは肉体の死とともに回収されて引き上げられます。

魂の進化にとって有益な経験を低我がするためには、メンタル体
(思考の働きをつかさどる)とアストラル体(感情の働きをつかさどる)
のそれぞれの質料にコーザル体の質料がからみあわなくてはなりません。

ところで、コーザル体というのは、メンタル界にいくつにも層をなす
亜層のうちの高い層である第一、第二、第三の亜層の質料で構成され
ています。
そして、圧倒的に多くの部分を占めるのが第一亜層の質料ですが、こ
の部分は通常人(人類の大多数)においては眠っています。
また、それよりも小さな部分を占める第二亜層のものは、やはり通常人
においては眠っていて、密教学徒にして第二亜層の質料は少しだけ活動
している程度です。それよりもさらに少ない部分を占める第三亜層にな
ると、通常人の中にわずかにこの部分が活動している人がいます。
これが、もっと進化した密教学徒になると、第二亜層の大部分が活動するよ
うになり、アルハット(阿羅漢)といわれる段階においては魂の約半分が
活動しています。

ということで、ふつうは、コーザル界よりも下の界層に魂の一部である
高い質料を降ろせるといっても、コーザル質料のほんのわずかにすぎな
いわけです。
ふつうは魂の大半はまだまだ眠っている状態であるため、魂の低我にた
いするコントロールは極めて弱いのです。
それでも、肉体とメンタル体、アストラル体の成長にともない、それと
からみあっていたコーザル質料は、メンタル体やアストラル体を通じて
届く波動により目覚め始めます。


そうなると、どういうことが起きるのか。「神智学大要」にはつぎのように
書かれています。

 

コーザル質料のホンの微少な部分でもメンタル体、アストラル体と完全に
からみあうと、これらの両体に生命と活力と独立感を与え、それが今度は
逆に両体と絡み合ったコーザル質料に強く作用して生命の明敏なる実現へと
目覚めさせる。もちろん生命の明敏なる実現こそまさしくその必要とするもの、
すなわち前述の部分が下ろされた理由に他ならない。
(第二五章 魂の投資『神智学大要』第四巻 p.203より)