『資本主義の預言者たち』・その1 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回から数回に分けて中野剛志氏の『資本主義の預言者たち―ニュー・ノーマルの時代へ』(角川新書)を取り上げてみたいと思います。以前、コメント欄でボルハンハルドゥンナ偏弾or背面Xさんより『恐慌の黙示録―資本主義は生き残ることができるのか』(東洋経済新報社)の書評についてのリクエストがあったのですが、本書はその新書版ということになります。


 本書はコチラ


資本主義の預言者たち―ニュー・ノーマルの時代へ (角川新書) 新書

中野剛志 著

http://www.amazon.co.jp/dp/4047317357/


 第1回目の今回は前作からの加筆部分であるプロローグの部分についてまとめてみたいと思います。


 ご存知の通り、新自由主義的な政策(代表例が小さな政府、健全財政、規制緩和、自由化、民営化、労働市場の流動化、グローバル化など)が1970年代後半(日本では1990年代頃)から世界的に推進されてきたわけですが、その結果として経済の不安定化、金融危機、低成長、格差拡大などの問題が生じてきております。(それにもかかわらず日本政府はなお新自由主義的な政策を推進しようとしておりますが・・・。)


 本書のサブタイトルにもあります「ニュー・ノーマル(新常態)」とはPIMCOの前CEOであるモハメド・エラリアン氏が提唱した言葉で、低い経済成長率と高い失業率の持続という停滞状況が例外的なものでなく常態化してきているということを指しております。


 もっとも、PIMCOの現CEOの一人は「ニュー・ノーマル」の状態から脱しつつあるという見解を示しておりますが(;^_^A。


PIMCO:「ニューノーマル」の時代、終わりつつある

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4PX3R6KLVRA01.html


 とは言え、アメリカにおいてはまだまだ格差の問題はありますし、本格的な景気回復へと移行するかどうかは定かではありません。(現在のアメリカの景気はバブル相場という可能性もありますし、なかなか見通しは不安定な状況といったところです。)


 プロローグでは今話題のトマ・ピケティ氏の『21世紀の資本論』についての解説も書いてありました。当ブログにおきましても、昨年6回(予告編入れて7回)にわたって解説しましたので、未読の方は是非ご覧になってください。


(参考)『21世紀の資本論』 

その0http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11891951450.html

その1http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11892151580.html

その2http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11894579109.html

その3http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11894753877.html

その4http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11894820263.html

その5http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11894821553.html

その6http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11894823148.html


 資本主義には格差を拡大させる原理がもともと内在しており、政府の政策によってそれをコントロールすることが可能であることが、ピケティ氏の論理なのですが、実際に日本政府がとっている(とろうとしている)政策は消費税増税、法人税減税、規制緩和、グローバル化に金融緩和格差を逆に拡大させる政策ばかりになっております。


 まぁ、日本政府は格差拡大が好ましいものと考えているようですが・・・↓。


 「私たちは景気を回復させて、企業が収益を上げる状況をつくり、そして、それが皆さんの懐へと回っていく、この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感できる」(衆院解散直後の安倍総理の会見より)


 要約:富める者をもっと富ませる(格差を拡大させる)ことで経済が成長します(by安倍総理)。


 さて、世界的に低成長が続いている昨今、政府による公共投資拡大の必要性が世界中でささやかれるようになってまいりました。つまり、民間の需要不足が低成長の原因となっている状態で、それを穴埋めする意味でも政府が積極的に財政出動を行うべきだという話ですね。


 それにも関わらず日本政府は増税や政府支出削減の話ばかりで、2015年は緊縮財政となることがほぼ確定的ではございますが・・・(苦笑)。


 ちなみに日本政府の推進する格差拡大政策ですが、経済全体の総需要の伸びを抑制することで経済成長を鈍化させるということが、すでに知られています。しかも、金融の不安定化をもたらし金融危機の遠因にもなるのではないかと。


 そして、現代において行われる投資とはイノベーションに対する投資ではなく短期利益を目的とした株式への投資が主流となっており技術革新も起こりにくくなっている様子。


(参考)『日本防衛論』・その2

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11836515980.html


 さらにはグローバル化IT化労働者の賃金抑制や技術革新の阻害に一役買っているという話ですし。そう言えば、ダニ・ロドリック氏も過剰なグローバル化は経済成長の足を引っ張ると述べておりました。


(参考)『グローバリゼーション・パラドクス』 

その1http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11777436199.html

その2http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11780615407.html

その3http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11780811520.html

その4http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11783089671.html


 そして過剰なグローバル化は国家主権あるいは民主主義を犠牲にしてしまうということも述べられておりました。(詳しくは上記リンク参照)


 しかもアメリカの衰退によりリーダーシップをとれる覇権国家が不在となったことも、まともな自由貿易を困難にしている一因になっております。覇権国家の不在は国際協調を難しくしてしまうのです。


 このような状況となってしまっては教科書ケインズ主義的な財政出動では需要を生成することができず、景気回復に結びついていきません。新自由主義的政策とは逆の構造改革(グローバル化の抑制、労働者の保護、規制強化など)を同時にやりながらの財政出動が必要となってくるのです。


(参考)アベノミクスは地獄への片道切符?

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11967566402.html


 新自由主義的な構造へ資本主義が変容したことによって、経済成長の停滞が固定化されてしまったわけですが、それを脱するには新自由主義的政策と真逆の政策をとらなければならないというわけですね。要するに従来の見方を根本的に変える必要があるというわけです。


 なのに、安倍政権は「この道しかない!」というキャッチフレーズで総選挙で大勝利し、従来通りの間違った経済政策を取り続ける事になっておりますがorz


 「金融資本主義」とでも呼ぶべき現代の資本主義が崩壊したということが紛れもない事実であることが明らかになってきたわけですが、この状況を予見していた5人の経済思想家がおりました。


 資本主義の終焉・・・・・・事の発端は「所有と経営の分離」でした。そして、それに着目した5人の経済思想家たち。


 次回はその5人についてまとめてみたいと思います。


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