『日本防衛論』・その2 | くらえもんの気ままに独り言

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 前回に引き続き中野剛志氏の『日本防衛論』の内容のまとめおよび感想を書いていきます。前回は現在直面しているリスクについてと日本政府がそのリスクを認識していないどころか、自ら突っ込んでいっているということをまとめてみました。


 それでは後半です。


第五章 中国というリスク

 ここでは台頭する中国の地政学的リスクについて述べられています。アメリカには中国を抑える力がなくなってきていること、中国が軍事費を増強させ領土的野心をむき出しにしていること、そして中国国内の政治的経済的不安定さから、そのリスクは高まってきております。

 それなのに中国移民を増やしましょうとか、日中韓FTAだーとかやっている日本政府はもはやお花畑としか言いようがないですね。日本の防衛費だって結局ほとんど増やす気配がないですし・・・。まさか、日本人が全部中国人に置き換わっても、人件費が安くなって日本の国際競争力が高まるからハッピーとでも考えているんじゃないでしょうね?世界情勢の変化にもう少し敏感になってもらわないと・・・。まだ冷戦時代だとでも思っているんですかね?


第六章 失われた世界

 ここでは2050年まで視野を拡大し、エネルギー、水、食糧の問題について取り上げられております。

 2050年には世界の人口は推計で90万人を超えるのではないかと言われていますが、エネルギー、食糧の危機を救うにはイノベーションが不可欠となってきます。しかし、1980年代以降、ビジネスモデルはイノベーションへの投資から株価つり上げのための投資へと変わり、生産性を画期的に高めるようなイノベーションは起こらなくなってきた。メタンハイドレートや燃料電池、バイオテクノロジーの実用化への見通しがなかなか進まないのはビジネスモデルが変わり、投資をしにくい経済環境となっているからである。そんな中で資源はどんどんジリ貧になっていくのですが、そうなると地政学的な問題がより濃くなってきます。

 それにもかかわらず原発の停止によるエネルギー自給率の棄損、食糧自給率だってなかなか高まる気配はない。水資源だってあっさり中国人に水源を買われる始末・・・。危機管理はグダグダですな。状況によっては日本の水資源を奪うために外国がどんどん侵略するみたいなケースや、食糧・エネルギーを輸出してくれなくなるなんていうケースは起こりうると考えるべきではないでしょうか?


第七章 日本の選択

 ここでは日本はどうすべきかということについて述べられていました。

 中野氏は二十一世紀の世界についてこうまとめています。

『経済は成長しなくなり、画期的なイノベーションは起こらなくなった。エネルギー価格は需要の停滞にもかかわらず高止まりし、食糧や水資源も不足しつつある。交通インフラや電力インフラが老朽化・脆弱化しているのに放置されている。知識、情報、サービス、文化の時代が来るはずだったのに、エネルギー、食糧、水といった必需品や、社会インフラのような基本的な財の不足に悩まされる時代になってしまっている。グローバル化は終わり、新興国は経済的にも政治的にも不安定化している。日本の周辺で領土を巡る緊張が高まり、資源をめぐる国際紛争が激化し、ナショナリズムが高揚している。アメリカは、もはや中国の軍事力を封じ込めることができなくなり、日米同盟は形骸化しつつある。ヨーロッパ統合の夢は失望へと変わり、国によっては内部分裂の動きすら出ている。人類共通のグローバル・リスクがいくつも顕在化しているが、それらを解決するのに必要な国際協調ができない。』

 相変わらず絶望感がハンパないですね(;^_^A

 でも、こういう世界の現実が見えているか見えていないかで、とられる対策というものは全然変わってくるんじゃないでしょうかね。


 それでは、最後に中野氏が提言した日本のなすべきことをまとめます。

①国防、エネルギー、食糧、大規模地震などの安全保障を優先して強化すること。そのための財政出動を政府は惜しんではならない。

②外的なショック(ユーロ危機etc.)から日本経済を防衛すること。早急にデフレ脱却させ、スクリューフレーションに陥らないようにも注意。

③デフレ脱却による内需活性化により輸入を拡大させ、アジア太平洋の経済関係を安定化させる。

④上記を行うため、政府は長期的な計画を策定し、着実に実行すること。


 いやぁ。ごもっともでございます。

 しかし、この本を読んだ感想としては繰り返しになりますが、絶望感がハンパないということですね(;^_^A

 なんせ、日本政府は緊縮財政やって格差は拡大させてって政策を突き進もうとしているんですもの・・・。


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