- ダ・ヴィンチ・コード キーワード完全ガイド (ぶんか社文庫)/ダヴィンチの謎研究会
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「ダヴィンチコード」の本編ではなく、作品の中に出てくるキーワードについて解説した本。
本編も面白かったんだけど、やっぱり背景にこそ醍醐味がある!
「モナ・リザ」「ウィトルウィウス的人体図」「スフマート画法」「岩窟の聖母」「最後の晩餐」など。
ダヴィンチの作品に関する解説はもちろん、小説に出てくるミステリー性を演出するキーワードも。
「ルーブル美術館」「シオン修道会」「バチカン市国」「テンプル騎士団」「聖杯」「フィボナッチ数列」などたくさん。
「ダヴィンチコード」の面白さはその暗号世界。すべてに「いにしえの秘密」的な要素がもりこまれているので、歴史を知れるのはもちろん、ダヴィンチの芸術にも触れられる。
この本の中でおもしろかったのは、ストーリーの骨格である「キリスト教文化」。
その聖域である「バチカン市国」なんて、分かってるようで分かってなかった。
「イタリアの首都ローマに位置するバチカン市国は世界でもっとも小さな独立国。しかし、この国はその最小の面積にもかかわらず最大の国家だとさえいわれる。それはカトリック教会を支配する総本山だから。ローマ教皇の権力は宗教・政治に対しても絶大。」
そして、ミステリアなテンプル騎士団は、本来巡礼路を警備するために組織された小隊だったらしいのだけど、強さと権力を増し、次第に商人としての活動もはじめていたという。
だから、経済的にはかなり潤っていて、そのうち権力者たちをも脅かす存在になっていった。
なぜミステリアスかというと、彼らの最期が壮絶だったから。
「神の神聖を冒涜する行為」をしたと濡れ衣をきせられ、ひどい拷問にあったそう。最初は巡礼路を守る、清貧で有名な騎士団だったのに、悲しい最期を迎えてしまった。
そして、総長ジャック・ド・モレーの呪いであるかのように、彼を処刑したクレメンス5世などが相次いで死んだという。
さらにさらに、ダヴィンチ・コードの魅力はそのインテリジェンス。
これはダヴィンチも含め、昔の科学者たちがどれほど優秀だったかを知れる貴重なキーワード。
「フィボナッチ数列」「黄金比」なんかが有名。
1:1.618は黄金比。ピラミッドの底辺を足した数と高さの比率がこれ。
巻貝の螺旋もこれでつくられていて、枝から生える葉の比率なども相当するという、まさに自然の中に「意図して」隠された比率。
ダヴィンチもこれを知っていたのだろう。優れた芸術作品にはこの黄金比が隠されているし、今でもはがきやテレビ画面の比率にも使われている。やはり、見る人の心に残る作品とは、万人の無意識に根ざしたものだなあと思った。
が、やっぱりこの比率を見抜いた芸術家たちの観察眼がすばらしい!
読んでいるとまた映画が観たくなる、促進剤的一冊。