世間の注目を集めている事件に関与する弁護士はマスコミとの対応に特に注意すべし
マスコミが注目し世間での関心が高まっている事件について、被疑者が自分で弁護人を選任しようとしない場合に弁護士会が刑事弁護委員会の決定で弁護士を派遣することがある。
これを委員会派遣制度と言っている。
昔は、こんなことはしなかった。
警察の違法かつ強引な取調べで被疑者に虚偽の自白を強要し、犯人でないものを被疑者、被告人にしないための弁護士会による任意の制度である。
弁護士や弁護士会が冤罪被害を発生させないためにこうしたさまざまな取り組みをしていることは高く評価されるべきである。
しかし、時には行き過ぎではないかと思われることも出てきた。
被疑者と接見した弁護士が接見内容を記者会見で簡単に披露してしまう。
これは、問題だ。
取調べの状況が弁護士を通じてマスコミにどんどん流れてしまう。
被疑者の主張が検証なく、どんどんマスコミに登場してくる。
本来捜査を遂げ、十分の証拠を固めた上で起訴するか否かを決めるべきことが、捜査の進展状況と関わりなくマスコミの取材した不確定、不確実な事実を前提に世論によって決められていく。
そしてそのニュースソースは、警察官の立会いなくして被疑者との接見が法律で認められている弁護士というのでは、接見禁止処分の潜脱になってしまう。
本来弁護士は仕事を通じて知り得た秘密については、口を開かぬもの。
仮に取り調べ方法について違法ではないか、という疑いを持ったとしても、被疑者本人がそう言っている、というだけでは滅多に口に出さない。
勿論、弁護士たるもの被疑者の言い分を鵜呑みにしたり、あるいは被疑者の言い分を端から排斥するなどということはしないものだが、慎重かつ有能な弁護士だったら、取調べについての本人の申立てを直ちに書面化して本人の署名を求め、その申立書を警察なり検察庁に提出し、そういう書面を関係官署に提出した事実のみを、マスコミに明らかにするに止めるものだ。
密室でのやり取りだから、弁護士が自分で経験したことのように言うことは出来ない。
場合によっては、勾留理由開示請求や勾留場所の変更申立てを行い、そういう法的手続きをしたということをマスコミに明らかにする、という方法を取るのが精々だろう。
マスコミを利用しようと思って安易に考えていると、とんでもないしっぺ返しを食うことがある。
お互い気を付けたいものだ。





