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永田町異聞
政治という魔物をどう書くか、迷いの日々です。政治ニュースを、多面的な物体と考えて机の上に乗せ、あちこちから眺め回して、感じたことを書き続ける。ついつい、権力を持つ者、それにすり寄る者に厳しい目を向けることになります。この作業が、
結果としてこの時代に生きた人間の日記になり、何らかの資料になっていけばいいと考えています。

since 2007.4.12

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2009年11月22日(日)

とかく噂の絶えない「内閣官房機密費」の使途

テーマ:政治

野党対策や飲み食い、外遊する議員への餞別、はては女性問題の尻拭いにまで使われたなど、とかく噂が絶えない「内閣官房報償費」。


「報奨」ならともかく、「報償」というと、弁償とか仕返しの意味があって、何のことか分からないから、一般的には「官房機密費」のほうが通りがいい。


要するに、官房長官が内密に使える便利なおカネのことだ。


自民党が衆院選で敗北し、政権交代が決まった2日後に麻生内閣の河村官房長官が通常の2.5倍、2億5000万円を引き出したというので、「駆け込み支出」だと物議をかもしている。


ふつうはいったん、官邸の金庫に納め、必要に応じて使っていくのだが、新政権の平野官房長官が就任したとき、官邸の金庫には一銭もなかったという。


2億5000万円を短期間で何の支払いに充てたのか。時期が時期だけに「選挙費用の支払いに流用したのではないか」などと憶測を呼ぶのも当然だが、河村氏は「使途は非開示だ」とにべもない。


機密費は、カネを誰に、何のために使ったかを明らかにする必要がなく、会計検査院も「官房長官が高度な政治判断でお使いになるので」と、ノータッチを決め込んでいる。早い話、私的流用しても分からないわけだ。


こういう話のたびに、心おだやかでいられない政治家といえば、さしずめ自民党の中川秀直氏だろうか。


官房長官時代の2000年10月、順調に見えた中川の政治家人生を狂わす大スキャンダルが発覚した。


愛人と寝室にいる写真を写真週刊誌に掲載され、覚せい剤容疑のかかる愛人に捜査情報を漏らした録音テープがテレビで流された。


国会で追及され、責任を取って官房長官を辞任した中川は「事実無根」として、週刊誌側に慰謝料を求める裁判を起こしたが、これがかえって裏目に出た。


2000年の7月と8月に中川が官房長官の権限で、官房機密費から2億2000万円を引き出していたことが分かり、内閣官房が広島地裁の求めに応じて、その証拠文書を提出していたのである。


その事実がマスコミで報道された直後の2004年2月10日、衆議院予算委員会で、民主党の木下厚はその資金の使途を追及した。


木下はさすがに「女性問題の尻拭い」とまでは言わなかったが、そうした私的流用を疑っていたことは間違いない。


このとき、答弁したのが当時の福田康夫官房長官と、杉浦会計検査院長。いずれも逃げの一手で、その後、中川氏自身もいっさい説明していないため、真相はいまだ藪の中である。


一昨日、平野官房長官が発表した官房機密費の支出記録によると、自公政権は毎年12億円前後を国庫から引き出していた。


今年度は14億6000万円ほどの官房機密費予算を計上、うち8億5000万円を麻生政権が引き出し、鳩山政権は9月と10月の2回にわたり、6000万円ずつを請求している。


外務省機密費は、在外公館の情報収集や要人接待の名目で、内閣官房より多い30億円ていどのワクが設けられているが、このなかから内閣官房へ上納する仕組みがあるのはよく知られている。


200年4月、森喜朗が大統領就任直前のプーチンと会うさい、鈴木宗男が官房機密費から支出された1億円を用意して同行したことも有名な話だ。


そのほか、首をひねる使途のいくつかを下記にあげてみる。


かつて宇野内閣で官房長官をつとめた塩川正十郎氏。「現ナマでやるか一席を設けて、機密費を野党対策に使っている」(テレビでの発言)。


村山内閣の官房長官、野坂浩賢氏。「最も多い使い道はせんべつだ。与野党問わず国会議員が海外視察に出かけるときに渡した」(新聞のインタビュー記事)


加藤鉱一が官房長官時代、地元の芋煮会の会費に機密費を使ったという、せこい話も伝わっている。


民主党は野党時代、機密費公表法案を国会に提出した経緯がある。支払記録を保存し、機密性の高いものは25年後、それ以外は10年後に公表するという内容だ。


こういう法律ができると、私的流用を防止することができる一方、国家のインテリジェンスにかかわる支出を制約する面もある。


国益に寄与する機密情報の収集に実際、どれだけこの資金が使われてきたかは不明だが、与党になった立場からは、機密費をできるだけ温存しておきたいというのがホンネだろう。


ただし、かつての自民党政権のように機密費を使いまくって平然としていられる時代ではない。


平成13年02月09日の衆院予算委員会で、共産党の志位和夫は、内閣官房と外務省だけで機密費が72億円にのぼり、その予算の使いきり率が100%に近いと指摘、「年度末に私的な飲み食いに化けている証拠だ」と追及したことがある。


痛くもない腹を探られないよう、鳩山政権は機密費を厳密に運用して、使用額を必要最小限度にとどめるのが賢明といえよう。


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2009年11月20日(金)

日程国会から議論国会への転換を

テーマ:政治

「国対政治」といえば、裏取引のイメージが強い。


強行採決はもちろん乱闘さえも、与野党の筋書き通りに進めて、支持団体に言い訳ができるようにしておく。裏金や接待も付きもので、自民、社会両党のなれあい時代にしばしば行われた。


20日未明の深夜国会で、いわゆる「返済猶予法案」が強行に採決されたのを、朝日新聞社説は「国対政治」への逆戻りと論じているが、より正確に表現するなら、「日程政治」がまだ続いているということだろう。


「日程政治」とは、政策論議より、会期や審議スケジュールをめぐる駆け引きが中心となっている日本の国会運営の現状を嘆いた言葉である。


「会期不継続の原則」というものが幅を利かせている。会期中に議決できなかった案件は廃案となる原則だ。そこに最大の問題がある。


内閣が提出した議案を、少数の野党が通さないようにするためには、審議を遅らせて、審議未了とし、廃案に追い込むことが主要な国会戦術となる。


そうはさせまいと、与党の国対幹部が必死に防戦するのは、今の制度ではしかたがない。政府与党の重要政策を実現しなければ、次の選挙結果にかかわってくるからだ。


さてそこで、国会改革というものが、どうしても必要になる。日程をめぐる駆け引きで国対族、議運族ら腕力の強い政治家が活躍する場から、政治家どうしのガチンコ政策論議の場へと、国会を変えていかねばならない。


どうすればいいのか。官僚答弁禁止など、国会改革に執念を燃やす小沢一郎幹事長の求めに応じ、21世紀臨調の佐々木毅(元東大総長)、飯尾潤(政策研究大学院教授)ら五人が11月4日に緊急提言をしている。


まず改革の前提として、有識者らが挙げているのは、常会、臨時会など細切れになっている会期を見直し、「通年国会」にすること。すなわち休会期間を含む300日以上の長い会期に改めるよう求めている。


そして、「会期不継続の原則」をなくし、たとえば選挙で会期が切れて審議未了となっても、選挙後の国会で自動的に審議が継続できるようにする。


そうすれば、会期を気にせず、必要なだけ議員どうしが法案についての議論を闘わせることができ、戦後日本の国会を歪めてきた「日程国会」を「議論国会」に転換できるというわけだ。


これからの政治は、国対族、族議員といったどちらかといえば裏で腕をふるう連中が力を失い、堂々たる議論を国民の前で展開できる政治家が台頭するような仕組みにしてゆかねばならない。


小沢一郎氏が政治改革の集大成としてめざすべき方向は、そこにある。


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2009年11月19日(木)

JR西の井手正敬氏が晩節を汚さぬための唯一の道

テーマ:政治

「一将功なりて万骨枯る」。最近、そう書いていた雑誌もあった。一人の将軍の功名の陰に、戦場に散った多くの命がある。


2005年までJR西日本に君臨し続けた井手正敬氏。


その輝かしい実績と裏腹に、104人の犠牲者を出した列車事故につながる閉鎖的企業体質が醸成されていったとしたら、まさに冒頭の言葉は誇張ではない。


昨日、JR西日本が前原国交相に提出した第三者の「コンプライアンス特別委員会」報告書は、かつて「井手商会」といわれたこの会社の企業風土を鋭く抉り出した。


概して、ワンマン、独裁的といわれる経営者は草創の激動期には強力なリーダーシップを発揮して企業発展の礎を築くことが多い。井手正敬はまさにそのタイプだった。


国鉄をJR各社へ分割したとき、井手は国鉄本社総裁室長として、分割案づくりにたずさわった。


国鉄本社を譲り受けた東日本、エリアの狭い東海にくらべ、強力私鉄との競争、赤字ローカル線を抱える西日本は最初からハンディを背負っていた。


エリートを自認していた井手がなぜか東日本ではなく、意にそぐわぬ西日本の副社長となり、配下の社員を引き連れて乗り込んだとき、現地社員の間から「ボートピープル」という陰口が聞こえてきたという。


特別委は、井出氏がそのハンディを克服し経営を軌道に乗せるため経費削減、列車の増発、スピードアップを進めたと一定の評価をしながらも、ヒアリング対象者との以下のような生々しいやり取りをもとに、井手体制の問題点を追及してゆく。


複数の役員・社員は井出氏が「その時代の経営課題には応えた」としたうえで、必ずと言っていいほど「しかし」と続け、その後の経営に誤りがあったことを示唆した。誤りとは「他人の意見に耳を傾けないこと」だ。


平成8年10月の株式上場に向けた過程でその誤りが如実に表れた。


「利益を上げるために経費節減に走り、人の面、投資の面、いろいろな面で無理を生み出した」と当時を知る幹部は語っている。


委員会のメンバーが「だれか井出氏に意見を言うものはいなかったのか」とこの幹部にたずねると、以下の答えが返ってきた。


「恐怖感があり、陰では随分文句を言う者がいたが、直接具申する者はいなかった」。山崎前社長もよく怒鳴られていたという。


特別委はこうも指摘する。JR西日本にとっての不幸は、「井出氏が相談役になった2003年4月から、福知山線事故後に退任するまで、その影響力が衰えず、院政が敷かれてしまったこと」。


そのために、本社スタッフの減少、設備投資の抑制、技術の軽視など、数々の問題が出てきても、経営幹部は沈黙を貫いて保身に走ったと推論している。


かつて、JR西日本は「民営化の成功モデル」として、マスコミにもてはやされ、井手は凱旋将軍のように中央政財界に迎えられた。


小泉政権時代には「郵政民営化に関する有識者会議」のメンバーでもあった。横綱審議委員の一人であることも知られている。


2005年4月25日夜、大阪のホテルで「横綱審議委員就任激励ならびに古希祝宴会」が開かれる予定だったが、ちょうどその日に福知山線の事故が起こり、取りやめになったのは、井手正敬という存在の光と影を象徴するかのようだ。


井出氏はまだ遺族に謝罪はもちろん、面会さえ拒否していると仄聞する。過去の栄光は投げ捨てて、被害者やその家族の前にひれ伏すことが、晩節を汚さないための唯一のこされた道だろう。


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2009年11月18日(水)

事業仕分けに評価分かれても、やらないよりずっといい

テーマ:政治

事業仕分けについて「こらおもろいわな。なんで自民党のときにせなんだか」と言う、自民党の参院幹事長、谷川秀善は、大阪の副知事時代に豪腕で鳴らしたらしい。


「とりあえず、やったらええやないか」。商人の町、ナニワのおっさんらしく、グジャグジャ言わんとまずは行動、だったのだろう。


ただ、谷川さんが分かっているのかどうか、自民党が与党だったころにも、ちょっとだけ事業仕分けをやったことがある。


中堅・若手議員らの「自民党無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」が取り組んだ「政策棚卸し」がそうだ。


指南役は、いまの行政刷新会議事務局長で構想日本代表の加藤秀樹氏。したがって、やり方は新政権とほぼ同じだ。ネット生中継はないが、会場に一般の市民が入ることができた。


昨年8月に文科省、9月は環境省、10月は財務省・・・という具合に進めたものの、大部分は族議員の抵抗にあって腰砕けになった。


自民党政権の政策決定は、内閣よりむしろ党政調会の各部会が実権を握っていたのだから仕方がない。


チームの中心、河野太郎がアニメの殿堂を「百害あって一利なし」と断じても、麻生首相に無視されたのは記憶に新しい。


ただそれでも「政策棚卸し」で21年度予算を8800億円削減したと無駄遣い撲滅PTは強調しているから、一定の効果はあったわけだ。


それを評価しなかった自民党の幹部の姿勢のほうが問題だった。


さて、政府の行政刷新会議が鳩山政権の目玉として進めてきた事業仕分けは、昨日でとりあえず前半5日間の作業を終えた。


こちらは政府与党が全力をあげて取り組んでいるのだから、自民党のPTよりは実効性が高いといえる。


この仕分けの評価が、それぞれの立場でさまざまなのは、当たり前のことで、いちいち取り上げればきりがない。


大島理森自民党幹事長が「パフォーマンスにしか見えない」と批判するのも、立場上、当然のことだろう。


絶対に正しいやり方というのはありえない。より良いと思われることをやるしかない。


事業仕分けに政府として取り組むのが是か非かとなれば、筆者は「やらないより、やるほうが良いに決まっている」と考える。


なぜなら、予算のムダばかりでなく、制度の問題、省庁関連法人の埋蔵金、嘱託というかたちの隠れ天下りの実態など、氷山の一角とはいえ、事業仕分けをやらなければ分からなかったことが次々と白日のもとにさらされているからだ。


情報を公開し、国民がそれを共有し、要求ばかりでなく、我慢すべきことはする。そういう流れをつくる第一歩としてとらえたい。


短時間でばっさり斬っていく仕分け人のあり方に疑問を投げかける向きもあるが、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一氏は、自らのかかわる事業の予算削減を言い渡されながらも、次のように語っていた。


「予算の削減だけを考える場かと思ったが、よく理解したうえで議論しているということもわかった」


今日の朝日新聞には、田中さんが「産学連携の重要性が認められなかったことが残念だ」と述べた部分だけを取り上げて、「ノーベル賞田中さん落胆」と見出しを掲げているが、田中さんの認識は、それほど単純なものではない。


乗りかかった船には、しばらく乗っていないと、行き先が見えてこないだろう。


その間、船頭に細かいことで文句をつける姑根性は見過ごすしかないが、もし間違った流れに乗ろうとするようなら、船頭の交代を真剣に考えなくてはならくなる。


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2009年11月17日(火)

懲りない天下り王国「UR」への出資に見直し判断

テーマ:政治

昨日は少し時間があったので、事業仕分けのネット生中継を1時間弱、観ることができた。


たまたま、むかし住宅公団、いまURで知られる独立行政法人「都市再生機構」が、マナ板に乗っていた。


二年前、独法改革でUR民営化を主張する渡辺喜美行革相と、それを阻止しようとする冬柴鉄三国交相が火花を散らしたのを思い出す。


民営化するのかどうか、曖昧なまま、メディアの話題から遠ざかっていたが、どっこい天下り法人URは不滅だった。


この日の仕分け対象になったのは、514億円にのぼる国からの出資である。内訳は、、賃貸住宅の建て替え分434億円、都市再生事業の用地取得80億円だ。


建て替えについては今年度予算で354億円が国庫から出資されており、来年はさらに増額を、というわけだ。


この巨額出資要求に理屈をつけるのに国交省が持ち出したのは住民の高齢化対策だ。


URの賃貸住宅は昭和40年代までに建設されたものが半数を占め、世帯主が65歳以上の家庭が3割で、低所得層も多いのだという。


そこで、建て替えや改修が必要であり、そのために普通に資金調達すると利子負担がのしかかって、家賃がよけいに上昇する。だから、出資金方式で利子負担分を浮かし、それを家賃軽減にあてたいのだという、なんだかこじつけたような理屈だ。


仕分け会議では、民間住宅の高齢者はそういう恩恵が受けられないのに不公平ではないかとか、入居高齢者の中にも高所得者がかなりいる、などの意見が出されたが、いちばん問題になったのは、出資金方式だった。


利払い負担分を活用するというこの方式だと、どうしても必要額より過大な資金を投入することとなるし、たびたび国から出資すれば、それだけ組織の肥大化を招く。


仕分け会議での裁断が「出資金方式を見直し、所要額の措置に改める」だったのは、とりあえず妥当といえようか。


それにしても、都市再生機構は懲りない組織である。一昨年12月24日に閣議決定された「独立行政法人整理合理化計画」がいかに骨抜きだったとはいえ、まだ自己増殖を止めようとはしないのだ。


どれだけ赤字を膨らませ、血税を投入してもらっても、反省する風もない。都市再生事業の用地取得に80億円の出資を国に要求するなど、甘えにもほどがある。まずは、随意契約をやめてコスト削減をし、経営努力を示すべきだろう。


URは旧公団から引き継いだ賃貸住宅の管理が主な仕事だ。公団から独立行政法人に移行したのが平成16年7月。それにともない、財投から借りていた3兆2000億円を繰り上げ償還し、9018億円の債務(利払い分)免除を受けた。


本来、国庫に戻すべき1兆円近いカネをチャラにするのだから、国民はたまったもんじゃない。


データが少し古いが、平成18年度の累積赤字が4955億円で、その年には国から1142億円もの補助金が交付されている。


ところが、UR本体が大赤字なのに、下請けのファミリー企業39社には膨大な利益が内部留保されている。URから随意契約で仕事をもらっているからである。


昨日の会議で明らかにされたURから関係法人への天下りは203人におよんでいる。


ファミリー企業のうち、住宅管理業務をURから請け負っているのが財団法人住宅管理協会で、そこを通して仕事をもらっている代表的な企業が日本総合住生活㈱だ。この会社の内部留保は500億円をこえるといわれる。


UR本体は親方日の丸で大赤字をつくり、その実、ファミリー企業にはカネをためこんで、天下り官僚OBに高い報酬を配分し続ける構造だ。


一日も早く民営化して、自己責任で経営するまっとうな組織に変貌させることが、鳩山政権に求められている。


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2009年11月16日(月)

普天間移設、利権構造も検証を

テーマ:政治

頭のなかで堂々巡りしているうちに袋小路に入ってしまう。普天間基地のことは、人のエゴと、他国との関係がからんでいるから、考えるほどにややこしい。


県外移転の期待を沖縄の人々に抱かせたのは、鳩山由紀夫だけではない。小泉純一郎もそうだった。


2004年10月7日、小泉首相は訪問先のハノイで記者団に語った。「沖縄の負担を全国民が分かち合おうということならば、本土移転、国外移転の両方を考えていい」


ところが、2005年9月の衆院総選挙で大勝し、10月に米軍再編協議の中間報告を取りまとめる段階になって、「これは難しい問題だ」と、逃げをうちはじめた。


実はハノイでの小泉発言はホンネとは全くかけ離れたものだった。選挙を意識した、いわば騙しといえる。


小泉の胸のうちがどうだったかを検証してみよう。


米国防長官ラムズフェルドは2003年ごろから「地元に歓迎されていない在外米軍は撤退させる」と繰り返していた。


新基地もできていない時点で、普天間から海兵隊を撤退させる考えが米軍内に出てきたのである。レーダーもきわめて古く、老朽化がいちじるしい普天間基地に執着はなかった。


長年にわたり沖縄の基地問題と深いかかわりをもってきた元国土庁事務次官、下河辺淳氏は当時の米軍の考えを、かつて、こう分析した。


「対中関係で、(普天間基地が)いらなくなったって見ているわけです。台湾を、蒋介石の軍隊が占拠したっていう意味で緊張してたわけでしょ。蒋介石親子が死んで、兵隊は年取っちゃって、いまや台湾に軍事的なテーマないですよ。」(江上能義早大大学院教授らによるインタビュー)


米軍の普天間撤退論議に動揺したのが小泉首相だ。「在日米軍撤退は北東アジアの抑止力を低下させる」と、逆に基地機能強化を米政府に対して働きかける始末だった。


「小泉さんは慌てて、有事のために米軍が必要なんてことを積極的にしゃべっているわけ。海兵隊は、もう有事なんて言っている時代じゃないって言っていますよ」(下河辺証言)


普天間の代替施設として、辺野古沖に長さ2500メートルの埋め立て空港を建設するという基本計画が決定されたのが2002年。


1996年、橋本政権のもとで普天間基地の返還が決まったとき、米軍が求めていた代替施設は50メートルていどの滑走路でいいということだった。


当初、浮かんだ案が辺野古沖の海上ヘリポートだ。海に浮かぶ撤去可能なフローテイングの工法で、漁業を守ろうとした。


ところが、そこに政官業の欲がからんでくる。どうせつくるのなら、地元に多くの金を落とすため大規模なほうがいいというわけだ。「2500メートルの埋め立て空港」と、ばかに話がでかくなった。


どうやら、小泉首相の慌てぶりの背景には、防衛論とは別に日本側の利権にまつわる事情もあったようだ。


ただ、この埋め立て空港案も、その後の在日米軍再編協議で白紙に戻され、「辺野古沖」ではなく、「辺野古崎」に1800メートルのV字型滑走路を持つ基地が建設されることになった。


「テルカン」こと、社民党の照屋寛徳は当初の計画より規模や機能が拡大したことに怒り、「V字型滑走路基地の事業をめぐって、特定の土建業者、官僚、政治家らがうごめき、工作し、不正に利権をむさぼっている」と国会で再三にわたり防衛省にかみついている。


ところで、2006年に日米が合意した内容は、沖縄の海兵隊員8000人のグアム移転と、普天間の新基地移設という、二つをパッケージしたものだ。


グアム移転も沖縄への配慮というより、対中戦略の色彩が強い。


下河辺証言の2003年ごろと違い、中国の軍拡の勢いは米国にとっても大きな脅威だ。中国が航続距離の長い原潜を増やし、グアム方面にまで活動範囲を広げてくることが予想される。


このグアム移転計画をめぐっても、守屋武昌元防衛事務次官の汚職事件をめぐる騒ぎのなかで、防衛商社日本ミラ イズの宮﨑元伸が利権漁りをしようとしていた疑惑が浮上した経緯がある。


辺野古の新基地建設は、少なくとも4000億円、下手をすれば1兆円以上かかる事業だとみられる。グアム移転の日本側負担額は60億9000万ドルで、アメリカが算出した総予算の59%にあたる。


これだけの巨額事業に、欲深き人々が群がるのは当然といえば当然だ。


岡田外相は日米合意の中身を検証すると繰り返し語っている。ぜひ、政官業の利権構造まで踏み込んで調べてほしい。


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2009年11月14日(土)

日米首脳会談の記事について考える

テーマ:政治

新聞記事を、ネタ元は誰か、という視点でみてみるとけっこう面白い。発信源によって、記事の方向は違ってくるからである。


たとえば、初来日したオバマと、鳩山の日米首脳会談。日経新聞のワシントン支局長、大石格は、今回の日米首脳会談を演出された「シャンシャン会談」と評し、オバマのアジア歴訪で、良好な米中と米韓、ぎくしゃくする日米という構図が浮き彫りになりかねない、と悲観論を展開する。


さて、ここで筆者は想像する。新聞社の特派員の生態とはいかなるものか。


筆者の知る限りにおいて、現地の要人と現地の言葉で政策論を交わすことができる語学力の持ち主は、さほど多くない。もちろん、大石氏は別格かもしれない。


一般的には、支局のスタッフ数も少ないため、現地メディアの報道から情報の大半を集め、限られた人脈を頼って補強取材をするというのが実態だろう。


当然、群れやすい日本人記者どうし、同一行動、均一思考となりやすい。


それはともかく、大石氏の記事に目を凝らすと、案の定、この人の名があった。米ヘリテージ財団のクリングナー上級研究員。いわゆる「安保マフィア」の世界では、よく知られた人物だ。


ヘリテージ財団といえば、小さな政府、企業の自由を唱えるワシントンの保守系シンクタンクとして著名だ。市場原理主義、新自由主義経済の権化といえる存在である。


大石記者は次のように書く。


クリングナー上級研究員は日米の現状を「家庭内別居」に例える、と。


「家庭内別居」、なるほどその「ココロ」は、と思って次の行に目を移すと、何もない。


「日米のすき間風は鳩山首相になって急に吹き始めたのではない」と続き、中国の米国債購入額が日本を抜き、GDPもまもなく世界第2位に躍り出るという現状が書かれているだけである。


ならば、われわれ読み手は「家庭内別居」を独自に解釈するしかない。同盟だけど、冷たい関係という意味だろうか。


さてここで、「家庭内別居」と言う張本人の、クリングナー上級研究員のものの見方をチェックするために、国会図書館海外立法情報課、井樋三枝子氏のレポートに登場していただこう。


民主党が大勝した衆院選に関する米シンクタンクの論調を調べたものである。最初に次のように概要が書かれている。


「本稿は、ヘリテージ財団のクリングナー氏、戦略国際問題研究所(CSIS)のグロッサーマン氏、マイケル・グリーン氏、ブルッキングス研究所の伊藤庄一氏らの報告書を参考にまとめたものである」


「クリングナー氏は政権移行が日米の安全保障問題に少なからず影響を与えると明確に主張している」


「だが同じく保守系とされるCSISを含め他のいずれの論者の間にも大きな対立点は見られず、日米関係に緊急の問題が生じることは危惧されていない」


つまり、クリングナー氏は、鳩山民主党政権を日米関係にとってネガティブにとらえている代表的人物であり、「日米危機」の文脈で記事を書く場合には、まことに都合のよいコメンテーターであることが分かる。


普天間基地移設問題は日米関係にとって、重要な問題であることは確かだが、それがすべてではない。


昨日の首脳会談で、日米安保改定50周年にあたる来年に向け、同盟を深めるための協議を1年がかりで進めるという合意がなされたのは、時代の変化への対応という意味で、前向きにとらえるべきことであろう。


日本滞在が実質1日で、中国が3日だから、中国重視の表れという短絡思考は、かえって日米関係を日本人自ら害するもととなることを肝に銘じたい。


信頼できる人とは、そんなに時間をかけなくても分かり合える。厄介な相手と話すときは時間も手間も必要である。


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2009年11月12日(木)

竹光を真剣に持ち替えた?会計検査院

テーマ:政治

“必殺仕分け人”に刺激を受けたのか、会計検査院が竹光から真剣に持ち替えて、豹変したようだ。


行政刷新会議が「これから」の予算のムダを洗い出すとすれば、会計検査院は「これまで」の予算執行を調べてムダを指摘するのが仕事といえる。


ところが、とかく会計検査院の報告といえば、生ぬるさが目立ち、しばしば批判を浴びてきた。


その原因は、検査院の官僚が検査対象の独立行政法人や公益法人などに天下ってきたからだ。OBに、にらみを利かされて、つい手心を加えるというのが実態だった。


それが、このほど提出された昨年度の検査報告で、どう真剣味を帯びてきたのか。


まずは、不適切な経理処理として報告した金額が07年度の1253億6011万円から倍増し、08年度は2364億5000万円となったが、そればかりではない。


刮目に値するのは、公益法人の内部留保や使われていない基金への切り込みだ。いわゆる「埋蔵金」の発掘である。


詳しくは会計検査院のHP を見ていただくこととして、要点だけをピックアップすると、こうなる。


国や独立行政法人から補助金をもらった公益法人や任意団体などにたまった内部留保を合計すると、2432億円。


国から無利子貸し付けを受けたまま抱えている金額を合計すると、1190億円。


まだまだある。途方もない巨額資金が、公益法人などに設けられた145の基金のなかに眠っていた。


経産省関連391億円、農水省関連353億円・・・と各省庁の所管法人を足していった結果、はじき出された数字はなんと、1兆872億円なり。


これらの基金の大半が、直近3年間の事業実績を大きく上回る額に膨れ上がっているという。つまり、実際の事業にさほど支出されないまま、カネがたまっている実態が明らかにされたわけだ。


もっともらしい事業名はついていても、実は省庁の天下り団体に置かれた隠し金庫のような基金がいっぱいある。


ここに現ナマをプールし、国債などで運用益を稼ぎ、天下り王国を保っておけば、エリート官僚たちは秘書、運転手、個室つきの優雅な第二の人生を謳歌できる。


こうした倒錯的な仕組みをぶち壊し、不要な基金から埋蔵金を国庫に取り戻すのも鳩山政権に与えられた使命だろう。


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2009年11月11日(水)

劣化するテレビ報道

テーマ:政治

いま、「事業仕分け」をネット生中継で見ている。ようやく、全国民に公開して国家予算をチェックする時代が来た。感慨深い日である。


ただし、国民の誰もがパソコンを持っているわけではない。いくつもチャンネルがあるNHKがたとえ2~3時間でもテレビ中継をしてもいいのではないか。


ところでテレビといえば、このところ事件報道に占拠され、政治関連が何となくかすんでいるように見える。


昨夜もいきなり市橋容疑者逮捕の報が飛び込み、多くの時間がそれに割かれた。


安全な国と思っていた日本で、英会話を教えていた愛娘をむごたらしく殺害された英国の両親が、どれほどつらい日々を送ってきたか、想像することさえ不遜な気がする。


容疑者逮捕の報に、日本人として少しだけ肩の荷が下りたとはいえ、リンゼイさんが戻ってくるわけではなく、メディアへの父君のジェントルな対応を見るにつけ、いっそう切ない。


英外務省が「日本の警察の努力に感謝する」とコメントした。個人の事件とはいえ、国をまたぐ外交の問題でもあるのだとあらためて気づかされる。


それにしても驚いたのは、市橋容疑者のご両親が逮捕直後、報道陣の前に出て会見し、NHKやテレ朝など昨夜のテレビでそのままボカシなしに放映されたことだ。


こういう例はあまり記憶がない。報道陣の求めに応じて、家の外に出てきたことは、社会への責任を親として痛切に感じているゆえだろう。


「親の顔が見てみたい」という、俗物根性が筆者のなかにもあることは確かだが、公共の電波で、その顔を世間にさらす必要があるのか、いささか疑問だ。


さすがに各局とも、今日になって自粛をしている。どうやら、かなり抗議が殺到したようだ。


この件も報道合戦のなせる業だろうが、このところ、テレビの報道番組の質がどんどん低下しているように感じる。


政治についても、つまらぬもめごとを針小棒大に伝える旧来の報道姿勢から脱却できないままだ。


政権交代を選択した国民の切羽詰った思いに寄り添うことなく、局の社員はあいかわらず高給を食んでいる。


事実をあるがままに伝えるというのは、限られた時間で難しいとしても、あまりにも恣意的で、好奇心や敵意をそそる編集VTRが目立つ。そして事実はゆがめられ、誤解が社会に広がる。


世界不況でCM収入が減少したため、少しでも視聴率を高めて、CM単価を上げたいということではないだろうか。


視聴率を気にしなくていいはずのNHKでさえ、民放と同じ土俵で報道合戦をしようとするのは、記者クラブという同一価値観の競争的共同体の弊害といえるかもしれない。


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2009年11月10日(火)

制度改革の必要性を強調した加藤行刷会議事務局長

テーマ:政治

国家予算のムダを洗い出すため、11日から447項目について公開で「事業仕分け」をはじめる行政刷新会議。


その事務局長をつとめる構想日本代表の加藤秀樹はかつて、国会の参考人陳述でこう語ったことがある。


役所の縦割りを打破できない政治家、内閣、大臣の責任について。


「本来であれば、役所が、大臣、ぜひここは譲らないでくださいと言ったとしても、大臣が、冗談じゃないということで役人を殴り飛ばさないといけない」


加藤は、「政治主導」の必要性を繰り返し主張してきた人物だ。


古巣の大蔵省を飛び出し、民間のシンクタンク「構想日本」をつくって赤字財政に悩む全国の自治体でおこなってきた「事業仕分け」が、ようやく国の予算チェックにも生かされることになった。


公開の場で、ネット配信して実施される「事業仕分け」を、「劇場型予算編成」(産経)と揶揄し、加藤が大蔵OBというだけで、財務省主導の証拠と決めつけるメディアもあるなか、国民はこの作業に大きな期待を抱いている。


それは、自民党長期政権で確立された「官僚主導」の予算編成システムに風穴をあけ、国民注視のなか、政治家と民間人が予算に切り込む初の試みであるからだ。


「官僚主導」から「政治主導」へ。この意味をほんとうに分かっているならば、「脱官僚依存」と「官僚排除」を混同するはずはない。


だれでも分かることだが、議院内閣制にとって大切なことは、一流の人材を省庁に集め、省のためでなく国家のために働いてもらうことだ。


つまり、国民から選ばれた政治家で構成する内閣が、官僚をいかにうまく使いこなすかによって、国の命運が決まるといってもいい。


ところが、これまでの政権は「官僚任せ」だったために、官僚に権力が集中する構造ができあがっていた。


加藤秀樹は、その構造が生まれる最も本質的な部分を以下のように指摘する。


「官僚がしんどい部分をやるわけです。与野党に対する根回し、関係団体など利害関係者に対する説明。ここに実は政治の真髄がある」


本来、政治家がやるべき交渉、折衝、説得を官僚が任されてやってきたというわけだ。


「政府案はこうだが、関係団体が反対しているから、ちょっと妥協してこういうふうにとか、そのさじかげんを官僚が持っているから官僚に権力が残る。しんどい交渉と権力を持つことは、当たり前ですけれども、セットです」


加藤の言う「しんどいこと」を、鳩山政権でいえば大臣、副大臣、政務官の政務三役が担っていくことが、官僚から政治への主導権奪回につながるのである。


メディアでは、ともすれば、官僚や官僚OBを使うことが「政治主導」に反するかのごとき論調が見受けられるが、政治のリアリズムは、それほど単純なものではない。


これも加藤が指摘してきたことの一つだが、官主導の原因に、各省庁の設置法というものがある。


省庁の仕事の中身、すなわち「所掌事務」を詳細に書いている法律である。


「〇〇に関すること」と記されていて、本来は役割分担に過ぎないのだが、あたかも省庁の権限のように国民生活に口出しをする慣例がまかり通っている。
 
「法律以外にも、こんなことも、こんなこともということで、延々と役所の仕事が広がっていく」と、加藤は言う。


昨日、事業仕分けスタートにあたって、仙谷由人行政刷新相とともに記者会見した加藤は「目の前の財源がいくら出るかより、制度をどうするかだ」と語った。


設置法の廃止も検討対象になるかもしれない。


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