【夕顔75-3】古文単語「なげなり」
源氏物語イラスト訳の重要古語です
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はほぼほぼ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
死語的形容動詞の語幹用法☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
さるべき折々の御答へなど、なつかしく聞こえつつ、なげの筆づかひにつけたる言の葉、あやしくらうたげに、
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今回出てきた古文単語
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■【さるべき】…しかるべき。相応な
■【折々(をりをり)】…機会ごと。折々
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語
■【答え(いらへ)】…返事
■【など】…例示の副助詞
■【なつかしく】…シク活用形容詞「なつかし」連用形
※【なつかし】…親しい
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」の連用形
※【聞こゆ】…(手紙を)差し上げる(作者⇒光源氏)
■【つつ】…継続の接続助詞
■【なげ】…ナリ活用形容動詞「なげなり」の語幹
※【なげなり】…いいかげんだ
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【筆(ふで)づかひ】…書きぶり。筆の使い方
■【に】…対象の格助詞
■【つけ】…カ行下二段動詞「つく」の連用形
■【たる】…完了の助動詞「たり」の連体形
■【言の葉(ことのは)】…言葉。和歌
■【あやしく】…シク活用形容詞「あやし」の連用形
※【あやし】…不思議だ。神秘的だ
■【らうたげに】…ナリ活用形容動詞「らうたげなり」連用形
※【らうたげなり】…かわいらしげである
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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☆ 本日の古文単語「なげなり」 ☆
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【なげなり(無げなり)】
【形容動詞:ナリ活用】
①なさそうだ
②いいかげんだ
*学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)より
あまり見たことないかもしれませんが、
今でも、「こともなげに」などと用いる、
そう、「なさげ」という意味の形容動詞です。
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☆ 形容動詞の語幹用法 ☆
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今回は、「なげの」という形になっています。
つまり、形容動詞の語幹「なげ」に、
格助詞の「の」がついた形です。
ちなみに、形容詞の語幹用法は、
「―を…み」などと特殊な形もあり
注目されていますが、
形容動詞の語幹用法は、以下の通りです。
【形容動詞の語幹用法】
1.語幹で言いきり、強い感動や余韻を表す。
(※終助詞がつくこともある)
例:「あな、あはれや。」
2.格助詞「の」に接続して連体修飾語を形成し、感動を表す。
例:「あはれのことや。」
この2つです。
1の場合は、
「まあ、きれいだ」と言うところを、
「まあ、きれい!」と、今でもよく用いますね。
(σ・∀・)σ
2の用法は、
文法的に問われることはあまりないですが、
古文では、けっこうよく出てきています。
ではここで、入試対策問題を1つ…☆
さるべき折々の御答へなど、なつかしく聞こえつつ、なげの筆づかひにつけたる言の葉、あやしくらうたげに、
問)傍線部の意味として最も適当なものを選べ。
1.言いしれない筆遣いの中に置かれた和歌の言葉
2.よくある書体の中に付け添えてある和歌の言葉
3.さりげない書きぶりの中に詠み込まれた和歌の言葉
4.長い間書いていたと思われる和歌の書体
5.すっきりとした書簡の中に書かれた和歌の言葉
正解……3
さるべき折々の御答へなど、なつかしく聞こえつつ、なげの筆づかひにつけたる言の葉、あやしくらうたげに、
● 過去記事リンク
■さるべき
■なつかし
■あやし
■らうたし
■~げなり
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