【夕顔75-2】主語のない文脈の読解の仕方☆
源氏物語イラスト解釈です
では今日も行ってみましょう~♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
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今回の源氏物語
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さるべき折々の御答へなど、なつかしく聞こえつつ、なげの筆づかひにつけたる言の葉、あやしくらうたげに、
訳と内容が不明確の人は、まずイラスト訳からどうぞ☆
夕顔75のイラスト訳はこちら
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻です。源氏が新たな恋人、六条御息所の所に通っていた夏の頃の話。源氏の従者である惟光の母の見舞いに行ったところ、夕顔の咲く隣家の女性と和歌のやり取りをします。
一方、同じく身分のさほど高くない空蝉のことも心に残っており、また、空蝉の身代わりに抱いた軒端荻のことも引っかかっています。空蝉の気持ちを見定めてから…と思っている間に、夫である伊予介が帰国してきました。娘の軒端荻を結婚させ、空蝉を任国へ連れて帰るということでした。
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☆ 主語のない部分の解釈問題 ☆
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さるべき折々の御答へなど、なつかしく聞こえつつ、なげの筆づかひにつけたる言の葉、あやしくらうたげに、
問)傍線部の説明として最も適当なものを選べ。
1.光源氏からのお手紙に対して、しかるべき折々に社交辞令として返事を書くべきであるが、その返信の内容も親しみ深い書きぶりで差し上げる。
2.光源氏からのお手紙に対して、しかるべき折々に返事を書いてよこした和歌の、その書きぶりを見ると、空蝉の事がなつかしく思い出される。
3.しかるべき折々に、伊予介の妻という立場で光源氏に送った和歌に対する、光源氏の返歌を拝見すると、空蝉の心は光源氏に惹かれていく。
4.しかるべき折々に、伊予介の妻という立場で光源氏に送った和歌の書きぶりは、非常に心惹かれるもので、光源氏の胸をつくことになる。
5.しかるべき折々に、空蝉は光源氏に手紙をよこしてくるが、それに対する返歌などを、光源氏は心をこめて書き、空蝉のもとへと差し上げる。
主語のない文脈を見分ける今回のポイントは、
「お答へ」「聞こゆ」などの敬意が
誰に向けられたものかということです。
「聞こゆ」が、今回の述語なので、
この解釈をまずしっかりとしましょう。
(・∀・)
【聞こゆ(きこゆ)】
【自動詞:ヤ行下二段活用】
①聞こえる
②噂される。評判になる
③理解できる。わけがわかる
④受け取られる。思われる
【他動詞:ヤ行下二段活用】
①申し上げる(「言ふ」の謙譲)
②お呼びする(「呼ぶ」の謙譲)
③差し上げる(手紙を送るなどの謙譲)
*学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)より
目的語が「お答へ」とあるので、
この場合の「聞こえ」は、
他動詞③の「(お手紙を)差し上げる」
という意味で捉えます。
これ、謙譲語ですね。
…ということは、つまり、
書かれてない主語は、空蝉だということです。
ならば…。
目的語である「お答(いら)へ」は、
光源氏に対する返信のことですね。
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
「さるべき折々」というのは、
光源氏からのラブレターをまるっきり無視するのも
風情がないことなので、
時々は…何かしら機会のある時には、
あたりさわりのない返信をしていたのでしょう。
(σ・∀・)σ
1.光源氏からのお手紙に対して、しかるべき折々に社交辞令として返事を書くべきであるが、その返信の内容も親しみ深い書きぶりで差し上げる。
2.光源氏からのお手紙に対して、しかるべき折々に返事を書いてよこした和歌の、その書きぶりを見ると、空蝉の事がなつかしく思い出される(△主語ズレ)。
3.しかるべき折々に、伊予介の妻という立場で光源氏に送った和歌に対する、光源氏の返歌を拝見すると、空蝉の心は光源氏に惹かれていく(△「聞こゆ」ナシ)。
4.しかるべき折々に、伊予介の妻という立場で光源氏に送った和歌の書きぶりは、非常に心惹かれるもので、光源氏の胸をつくことになる(△主語ズレ・「聞こゆ」ナシ)。
5.しかるべき折々に、空蝉は光源氏に手紙をよこしてくるが、それに対する返歌などを、光源氏は心をこめて書き、空蝉のもとへと差し上げる(△主語ズレ)。
正解…1