ルドン「アポロンの二輪馬車」
今回はフランスの画家オディロン・ルドンを取り上げる。
彼は我々には理解しがたい
少し難しい絵を描いている。
例えば眼球、首、怪物など奇怪な作品だ。
また、晩年には神話を主題にした作品も多く、
1905年から太陽神アポロンをテーマにして、
およそ10点の作品を繰り返し描いている。
この絵は「アポロンの二輪馬車」である。
なんとも不思議な絵だ。
先ず、真ん中にある4つの塊は何だろう。
そして右の金色の光
そして下にある不気味な物。
この白い4つの塊は4頭の白馬、
右の金色の光の中には
2輪車の手綱を引く太陽神アポロンがいるというのだ。
そして下には大蛇が、
この大蛇は
不気味な光を帯びた黄緑色で
のたうち苦しんでいる様だ。
これは神話の中の一場面である。
簡単に言ってしまうと、
太陽神アポロンが、
天を翔ける4頭の白馬の馬車に乗り、
大蛇ピュトンと戦い、打ち負かしたという話なのだ。
なんと格好のいい白馬なのだろう。
この深みのある綺麗な青い空を
真っ白い4頭の白馬が翔る様は、
どんなにか美しいことだろう、
そして暗黒の地にいる大蛇と、
金色に包まれた太陽神アポロンとの
コントラストがなんとも見事で迫力のある絵だ。
このテーマの絵はロマン主義の画家ドラクロワが、
ルーヴル美術館の天井画に描いている。
この天井画を見たルドンが、
深く感銘を受け、この絵を描いたといわれている。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
このアポロンの天を翔ける二輪馬車に乗って・・・・・
ヤン・ブリューゲル1世・2世 「机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」
16世紀後半~17世紀のフランドル地方の静物画は
貴族のコレクションとして発展していた。
この頃に活躍した画家ヤン・ブリューゲル1世(父)は
花や森、動物などを
色彩豊かに光溢れる細密な描写で
表現したことから「花のブリューゲル」と言われていた。
この絵は父と、その工房で弟子として学んでいた
息子ヤン・ブリューゲル2世が共作で
描いたものである。
タイトルは
「机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」である。
大きな花が迫ってくる、
バランスの悪い、小さな花瓶が倒れそうで、
何か不思議な花たちだ。
先ず4本のチューリップがちょっと不気味。
そして、すいせん、ダリア、バラなどなど、
それぞれの開花時期も違うような気がする。
しかし、豪華で美しいことに変わりはない。
また、背景は黒っぽい、
これによって柔らかな花が
より立体的に鮮やかに見えてくる。
どうやら、これはただの「静物画」ではなさそうだ。
大きくして観てみると、
花びら、ガク、茎や葉が、
その姿、形をとてもリアルに大げさに
色彩豊かに描いている。
また、テーブルの上には、
ガラスの花瓶のほかに、折れた花の枝や、
昆虫などが置かれていて面白い。
これには何か意味があるのだろうか。
この時代は、チューリップは
とても高価な花だったようだ。
他の花もそうだったに違いない。
ブリューゲルはここに最高の花束を
描きたかったのかもしれない。
そして、3代続くブリューゲル一族の
「花の最高傑作」にしたかったのだろう。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
このブリューゲルの花束を求めて・・・・・
ブリューゲル2世「野外での婚礼の踊り」
大勢の人が集まり、
いろいろな動きをしている。
これから何が始まるというのだろう
この絵はピーテル・ブリューゲル2世が描いた
「野外での婚礼の踊り」である。
どうやらこの人達は楽しく踊っているようだ。
タイトルにあるように婚礼の祝いの踊りなのだ。
でも、花嫁はどこに?
花婿は?
奥の方で
長テーブルの前に座っているのが、
花嫁かもしれない。
頭上の黒い布に、花嫁の冠が飾られている
ところから、そう推測できる。
花婿は、この踊りのどこかに紛れ込んでいるのか?
それを皆で探しながら踊っているのか。
それとも、後から厳かに現れるのか。
男たちは、いつもより少し上等な衣服を着て、
女性たちも、新しい前掛けを付け、
髪には白い頭巾をかぶりオシャレしている。
画面の中の洋服の赤がポツンポツンと
あちこちにあり、いいアクセントになっている。
そしてお祝いの感じが良く出ている。
いずれにしても、大盛り上がり、
みんな、楽しくて楽しくて、しょうがないようだ。
このワイワイとはしゃいでいる声が聞こえてくる。
なんて平和なのだろう!!
この絵からブリューゲルの農民への
深い愛情が感じられる。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
この婚礼の輪の中で踊りたい・・・・・
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カール・ラーション「春」
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
新年にあたり、カール・ラーション「春」
というタイトルの絵を見つけたので取り上げる。
なんと爽やかな絵なのだろう。
真ん中にどーんと白い木、
これは白樺だろうか、
幹にはツタがからまっている。
小さな緑色の葉からは、
柔らかい新芽が顔を出しているのかもしれない。
そして、オシャレな帽子をかぶり、
ピンクの上品なワンピースを着た女性が、
立っている。
この木立の中で、
白樺の白い太い幹、そして素敵な女性、
それだけで、ここの空気が
清々しく流れていくような気がする。
この女性は白樺の幹にもたれて、
今年はどんな年にしたいか、などと、
いろいろな計画を思いめぐらせているのかもしれない。
皆さん、今年は何をしたいですか?
この爽やかな明るい絵を観ていると、
力が湧いてきて、
何かやってみよう!!
という気になりました。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
この白樺の木立の中へ・・・・・
モネ「雪の中の列車、機関車」
今年も、あと少しで終わろうとしている。
ニュースなどでは、お土産をたくさん抱え、
ふるさとに向かおうとする人たちの
笑顔が映し出されている。
飛行機も列車も満席だ。
今回の絵はモネの描いた
「雪の中の列車、機関車」である。
なんて寒そうなのだろう。
一面の雪景色の中に、
列車がライトをつけ止まっている。
昼間のようだが、きっと薄暗いのだろう、
空もどんよりと曇っている。
この列車は何両あるのか、
木製の柵と並行して、
ズーと、奥の方まで続いているようだ。
ホームには列車に乗り込もうとしているのか、
何人かの人が立っている。
そして、あまり見ることがなくなった
モクモクと煙突から出る煙、
これは蒸気機関車ならではの光景だ。
この駅はモネの自宅近くのアルジャントゥイユ駅で、
彼がよく利用している駅だ。
この列車の向かう先はどこなのだろう。
北の方か、南の方か、
私なら、賑やかで暖かいところへ向かいたい。
いずれにしても、
白く降り積もった雪、
その中で停車している黒い蒸気機関車、
そこから排出される灰色の煙、
これらの色が見事にマッチしている。
寒々とした絵ではあるが、とてもロマンを感じる。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、
この蒸気機関車に乗って出発だ・・・・・
カール・ラーション「ツリーの飾りつけ」
今年も、この季節がやってきました。
皆さんはツリーを飾りましたか?
私は、ささやかに小さいのを飾りましたよ。
今日の絵はカール・ラーションの描いた
「ツリーの飾りつけ」です。
美しい少女がモミの木に飾りを付けている。
このモミの木は相当大きいのだろう。
白い椅子に乗り、手にはローソクを持って。
そして、モミの木も、少女の着ている服も
とても美しく繊細に描かれている。
ラ―ションの描く絵はいつも優しく繊細だ。
ちょっと、おめかしをしたと思われる
少女の白いブラウスの袖のプリーツ、
スカートのしなやかな質感、
そして、頭には花柄の帽子をかぶり、
肩にはストール、
胸には刺繍のはいった赤いベストと、
赤いストライプの前掛けをして、
この少女にとても良く似合っている。
これは北欧スェーデンの民族衣装のようだが、
モミの木の緑と、少女の洋服の赤が
いかにもクリスマスらしい。
このツリーの飾りつけは、まだ途中のようだが、
完成しても、そんなにきらびやかには
ならないような気がする。
きっと、幸せな楽しい夜になる事だろう。
静かにクリスマスを迎えようとしている
この家の家族の姿が伝わってくる。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマンの」の旅は、
このラーション家のクリスマスに参加したい・・・・・
イヴァン・シーシキン「北部の荒野」
これはクリスマスツリーだろうか?
いや、得体のしれないおばけのようにも見える。
北の荒野にたった1本立っている。
この絵はロシアの風景画家イヴァン・シーシキンの
描いた「北部の荒野」である。
これは有名なロシアの詩人
ミハイル・レモントフの詩集、
「パイン」のイラストとして描かれたようだ。
この物体はモミの木ではなく、
パイン、つまり松の木だった。
それにしてもよく見かける
枝ぶりの良い日本の松の木とは少し違う。
誰も足を踏み入れたこともないような
この様な北の荒野に、
よくこんなにもしっかりと立っているものだ。
雲海の岩の上で、
強い寒風、氷雨、吹雪などに吹き付けられるだろうに、
幹は曲がることもなく、裂けることもなく、
雪の重さに耐えながら、
岩の端にしっかりと立っている。
松の木の下を見ると、影ができているところから、
月が出ているようだ。
この寒々とした青白い光は月光のせいか、
雪明りと月光と・・・・・
なんと神秘的。
そして、なんと神聖な空気なのだろう。
この松には神が宿っているのかもしれない。
観ているだけで、全てが浄化されていくようだ。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマンの」の旅は、
この厳寒の地で神聖な松に祈りを捧げに・・・・・
モネ「雪の効果、日没」
日没というがこれはいったい何時ごろなのだろう。
こんなに明るい日没があるのだろうか。
この絵は雪のアルジャントゥイユの街並みを
描いた「雪の効果、日没」である。
うっすらとオレンジ色に染まった空は、
白い雪景色を明るく照らしている。
雪景色というと暗く重たく寒々とした印象を持つが、
この風景は違う。
ここには道路を歩く人々がいて、
遠くにはもくもくと煙が立ち上る工場の煙突が見え、
道端に草木が生えているこの街並みから、
人々の生活のにおいのようなものが感じられる。
雪という白い世界に、ほのかに淡い色を付けたように、
何ともいえない柔らかさと温かみを感じさせる。
1874年から1875年にかけての冬、
モネは雪のアルジャントゥイユを描いた作品を
15点ほど残しているが、これはそのうちの1点である。
モネはそうとう雪というものにこだわっていたようだ。
そんなモネが描いたこの雪景色は
春を予感させてくれる。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマンの」の旅は、
この雪のアルジャントゥイユの夕陽を見に・・・・・。
モネ「積みわら、夕陽 (積みわら、日没)」
夕陽に染まったこの大きなものは何だろう。
小屋のようでもあり、土の塊のようでもあり、
不思議な物体だ。
この絵はモネが後年に手がけた連作のひとつ、
「積みわら、夕陽 (積みわら、日没)」である
日本なら、刈り取った稲を稲木(?)に干す風景は
秋の風物詩だが、
ここはフランスの片田舎 ジヴェルニー。
この積まれたものは脱穀前の麦で
小屋のように積み上げていったものだ。
これだけ大きな塊にするのは大変な作業だろう。
国は変わっても、刈入れが済んだ秋は、
豊かな実りに感謝するとともに、
この様に人々の目を楽しませてくれる。
この見事なまでの色彩には、ただただ、感動する。
向こうに見える空は夕陽で金色に輝いている。
そして積みわらは夕陽を十分に受けているが、
どんな色を放っているのか。
積みわらの輪郭は
金色のベールに覆われているようだ。
こちら側の積みわらは夕陽の陰になるので、
暗く赤く染まり不思議な色を醸し出している。
手前の地面には、その影が青白い色で広がっている。
そして、空と、
遠くにおぼろげに描かれている山並みと、
人家などが積みわらと溶け合って、
一体感を出している。
この金色と赤の暖色系の、
熱を帯びたような風景を観ていると、
ジワーっと温かいエネルギーが全身に伝わってくる。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマンの」の旅は、
この風景の中でエネルギーを感じる旅に・・・・・。
カイユボット「シルクハットをかぶったボート漕ぎ」
ギュスターヴ・カイユボットの絵は、
人物の表情が良く分からないものが多い。
横を向いていたり、顔を隠していたり、
遠くにぼんやり描いてあったり、
中には、後ろ向きのものさえある。
しかし、この人物だけは正面バッチリだ。
この絵は紳士がイエール川で、
ボートを楽しんでいるところを描いた
「シルクハットをかぶったボート漕ぎ」である。
この絵は顔がしっかり描かれ、服装がまた目を引く。
シルクハットに蝶ネクタイ、
黒いベスト、
ちょっと違和感があるこの姿でボートを漕ぐとは、
どういう人なのだろう、
職業は?
顔まではっきり描かれて、
余程、この男性を描きたかったに違いない。
しかし、何といっても、この水面の描き方には驚く、
まるで写真。
水面の波のキラメキ、
両岸に生い茂る草、映す影など、など、
そして、水の流れまで、はっきり分かる、
いや、それ以上の生々しさで、
迫ってくる。
こうしてみると、この水面と紳士が妙にあって見える。
1848年、カイユボットは、
繊維業を営む裕福な事業家の息子として
パリで生まれ、
豊かな財産を基に、高い教養と豊富な趣味の中で
生活をしていたとか。
彼もこのような姿で
ボート遊びを楽しんでいたのかもしれない。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマンの」の旅は、
このイエール川でボート遊びを・・・・・









